
1,000万円の投資先にはヘッジファンドをおすすめします。
リスクとリターンは一般的に比例関係にありますが、ヘッジファンドはリスクを抑えながら高いリターンを得られる可能性があります。
ヘッジファンドは良いと聞いたことがあっても、他の投資方法と比較検討したいという方も多いかと思います。
本記事では数ある投資方法の中で、なぜ1,000万円の投資先にヘッジファンドがおすすめなのか、その他一般的な投資先のリスクとリターンを解説しながら、理由を4つにまとめ解説します。
1000万円を運用するといくらになる?リターン別の早見表
ヘッジファンドの運用を確認する前に、まずは1,000万円を投資するとどれくらいになるのか確認しましょう。
1000万円を一定リターンで運用した場合
1,000万円を一定のリターンで一定期間運用した場合、いくらになるか計算してみましょう。計算では「複利運用」を前提とします。
複利運用は、投資で得られたリターン改めて再投資することで運用資産を増やし、次に得られるリターンを増やし続ける運用方法です。
1,000万円を一定リターン、一定期間で複利運用するシミュレーションを以下にまとめました。
3年後 | 5年後 | 10年後 | 20年後 | |
---|---|---|---|---|
1% | 1,030万円 | 1,051万円 | 1,105万円 | 1,220万円 |
3% | 1,093万円 | 1,159万円 | 1,344万円 | 1,806万円 |
5% | 1,158万円 | 1,276万円 | 1,629万円 | 2,653万円 |
10% | 1,331万円 | 1,611万円 | 2,594万円 | 6,727万円 |
15% | 1,521万円 | 2,011万円 | 4,046万円 | 1億6,367万円 |
リターンが大きいほど、また運用期間が長くなるほどリターンが大きくなります。
預貯金の金利はほとんど0。いくら預けてもお金は増えない
運用期間が長くなればリターンは大きくなりますが、元のリターンが小さいと複利効果はあまり大きくなりません。
“単利”運用 | “複利”運用 | 複利効果 | |
---|---|---|---|
1% | 1,200万円 | 1,220万円 | +20万円 |
3% | 1,600万円 | 1,806万円 | +206万円 |
5% | 2,000万円 | 2,653万円 | +653万円 |
10% | 3,000万円 | 6,727万円 | +3,727万円 |
15% | 4,000万円 | 1億6,367万円 | +1億2,367万円 |
複利運用は効率的に資産を増やす方法ですが、利回り1%以下の銀行預金などのように、あまりにリターンが低いと効果はほとんど得られません。
【参考】「72の法則」を使うと倍になる期間がすぐにわかる
資産運用の効果をシミュレーションする簡単な方法が「72の法則」です。これは「72をリターンで割ると資産が倍になる期間が分かる」という法則です。
たとえばリターンが年1%の場合、以下のような計算になります。
72÷1(%)=72(年)
つまり、リターンが年1%の場合、1,000万円を2,000万円にするには72年間掛かるということになります。これも複利運用が前提となっており、仮に単利運用なら100年掛かる計算です。
投資先の大まかなリターンが分かったら、72の法則で倍になる期間を計算してもおもしろいかもしれません。
1000万円投資したらどれくらい金利・配当がもらえる?
1,000万円を投資したら、どれくらいの金利や配当がもらえるのでしょうか。金利や配当のように、定期的に獲得できるリターンを「インカムゲイン」といいます。大まかな利回り(配当回り)から試算してみましょう。
日本円建ての債券:10年国債利回り0.03% 年間3,000円
日本の10年国債の市場利回りは、2020年9月で約0.03%です。日本円建ての債券(日本円で投資でき、利子や償還金も日本円で支払われる債券)はこれを基準に利回りが決まるので、大体この水準の金利になります。
0.03%ですから、1,000万円投資しても年間3,000円程度にしかなりません。リスクは低い投資先ですが、大きな利回りも期待できない資産といえるでしょう。
【まめ知識】個人向け国債は0.05%を最低保障
日本の債券のうち、個人向け国債は0.05%の利回りを最低保証しています。市場金利よりは高い水準なので、場合によっては個人向け国債の方が有利な運用ができるかもしれません。
米ドル建ての債券:10年国債利回り0.68% 年間6.8万円
アメリカの金利は日本より高い傾向にあります。アメリカ国債の市場利回りは、2020年9月では約0.68%です。1,000万円の投資で約6.8万円の利子が受け取れます。
日本円建てよりは高い利回りが期待できますが、やはり高い水準とはいえないでしょう。また、為替リスクにも注意が必要です。
日本株:配当平均利回り2.15% 年間21.5万円
日経平均の配当利回り(実績)は、2020年9月25日時点で平均2.15%でした。1,000万円投資すれば年間21.5万円の配当がもらえる計算です。債券よりは大きなインカムゲインが期待できますね。
なお、株式は一般的に値動きが大きい投資先です。配当以上に値動きが大きくなることもよくあるので、配当さえもらっていれば必ず利益になるというわけではないので注意しましょう。
参考:日経新聞 配当利回り
日本の高配当株ランキング
日本株の配当利回りランキングは以下の通りです。
銘柄 | 配当利回り (2020年9月28日時点) | |
---|---|---|
1位 | (8219)青山商事 | 8.86% |
2位 | (6032)インターワクス | 8.82% |
3位 | (6104)芝浦機械 | 8.77% |
4位 | (8016)オンワード | 8.75% |
5位 | (2914)JT | 7.88% |
配当利回りは株価の変動で変化します。また配当の額が変動したり、あるいは支払われない可能性もあるので注意しましょう。
アメリカ株:配当平均利回り2.27% 年間22.7万円
アメリカの株式(NYダウ)の配当平均利回り(実績)は2020年9月25日時点で2.27%です。1,000万円で22.7万円の配当がもらえる計算です。
参考:配当利回り(NYダウ・ダウ輸送株平均・ダウ公共株15種平均)の推移とチャート|株式マーケットデータ
アメリカの高配当株ランキング
アメリカの高配当株式ランキングは以下の通りです。
銘柄 | 配当利回り (2020年9月25日時点) | |
---|---|---|
1位 | (CVX)シェブロン | 7.19% |
2位 | (BA)ボーイング | 5.53% |
3位 | (IBM)IBM | 5.49% |
4位 | (WBA)ウォルグリーン・ブーツ・アライアンス | 5.34% |
5位 | (VZ)ベライゾン・コミュニケーションズ | 4.26% |
参考:NYダウ30銘柄配当利回りランキング|アメリカ株(米国株) | 投資の森
順位別でみるとの日本の方が高い配当利回りとなっていますが、平均で見るとアメリカの方が債権も株式も高い傾向があります。
投資のリスクとリターンはどれくらい?各資産のリスク・リターン表
投資先を選ぶとき、各資産の大まかなリスクとリターンが分かっていないと選びにくいですよね。代表的な投資先である株式と債券を、日本と海外に分け、計4資産それぞれのリスクとリターンを表にまとめました。
最高リターンは海外株式
最高のリターンを稼いだのは海外株式です。1970年1月から2015年6月まで、平均7.4%のリターンがありました。仮に1,000万円を投資していたら、約4,500万円になっていた計算です。
リスクも最高水準 安定的なリターンがあるとは限らない
優秀なリターンを残した海外株式ですが、リスクも4資産の中で最高でした。いずれの資産もそうですが、常に安定的なリターンが得られるわけではない点に注意しましょう。
ハイリスク商品が向いている方
より積極的なリターンを追及したい方はハイリスク商品が向いているでしょう。上述のリスク・リターン表に記載の数値は、各資産の中で複数銘柄に分散投資した平均的な値です。個別に投資すればより高いリターンを得られる可能性もあるでしょう。
主なハイリスク商品
主なハイリスク商品は以下の2つです。
- 個別の株式
- FX
個別の株式は代表的なハイリスク商品です。これまでに株価が10倍になる「テンバガー銘柄」もいくつか出現しました。日本の株式だけでなく、海外の株式にも個別に投資することができます。
FXも代表的なハイリスク商品です。投資先は海外の通貨で、レートの変動で利益を狙います。
FXでは自己資金以上の取引が可能で、国内では自己資金の25倍までの取引ができます。1,000万円あれば最大2.5億円です。大きな金額で取引することで、より大きなリターンを得られる可能性があります。
ミドルリスク商品が向いている方
リスクとリターンのバランスを取りたい方はミドルリスク商品が向いているでしょう。ある程度リスクを取りながら、一定のリターンを追及できます。
主なミドルリスク商品
主なミドルリスク商品は以下の2つです。
- 投資信託
- ヘッジファンド
投資信託は、いくつかの資産・銘柄を組み合わせ、1つのポートフォリオにした商品です。分散投資されているので、リスクを下げつつ、リターンの追及が可能です。
ヘッジファンドは投資信託に似ていますが、特殊な運用戦略を駆使し、常に一定の収益を稼ぎ出す「絶対収益の追求」を運用方針に持つ点に特徴があります。ヘッジファンドについては後述します。
ローリスク商品が向いている方
リスクを避け、安定的な運用をしたい方はローリスク商品が向いています。
主なローリスク商品
代表的なローリスク商品は以下の2つです。
- 銀行預金
- 債券
低金利のため、銀行預金ではほとんど利息が付きません。しかし元本が保証されており、また万が一銀行が破綻した場合も、預金保険機構から1,000万円までの元本とその利息が補償されます。安全性の高い投資先といえるでしょう。
債券も同じく安全性の高い商品です。債券の発行者が償還金と利息の支払いを約束しているので、発行者が健全なうちは元本が保証されます。預金と違い、補償の仕組みはありませんが、リスクの低い投資先といえるでしょう。
1000万円の投資先にヘッジファンドをおすすめする4つの理由
さまざまな投資先を紹介しましたが、その中でも1,000万円の運用はヘッジファンドをおすすめします。理由を4つご紹介します。
理由1:「絶対収益」を追求する運用戦略で安定的なリターンが期待できる
少し上述しましたが、ヘッジファンドは「絶対収益」を追求します。絶対収益とは相場の影響を受けない収益のことで、市場全体が上下どちらに動いても収益を獲得できるような運用戦略を行います。
ヘッジファンドはさまざまな運用戦略を行いますが、代表的な運用戦略の1つ「アービトラージ」を例に取ってみましょう。アービトラージ戦略のイメージは以下の図を参照してください。
資産の中には、同じ銘柄にも関わらず複数の価格が付いている場合があります。その価格差を利用するのがアービトラージ戦略です。
アービトラージ戦略では、安い価格でロング(買い)ポジションを持ち、同時に高い価格でショート(売り)ポジションを持ちます。価格差がなくなればポジションを決済し、利益が生まれます。仮に価格差が解消されず、上下どちらかに値が動いたとしても、それぞれのポジションで損益を相殺するため、最終的に価格差が利益として残ります。
理由2:リスクを抑えながら高いリターンの追及ができる
前章のリスク・リターン表で確認したように、通常の投資ではリスクとリターンが比例します。しかし、ヘッジファンドは絶対収益を追求する戦略を取るので、リスクを抑えつつ高いリターンを得られる可能性があります。
参考に、ヘッジファンドの運用戦略別のリスク・リターンを以下にまとめます。
リスク | リターン | |
---|---|---|
アービトラージ | 3.63% | 8.05% |
マネージド・フューチャーズ | 4.50% | 2.22% |
グローバル・マクロ | 5.63% | 5.76% |
株式ロングショート | 13.04% | 10.24% |
(参考)TOPIX 配当込み | 19.58% | 9.78% |
参考:日興リサーチ p.4
理由3:資産運用を一任できる
ヘッジファンドは資産運用を一任できるメリットがあります。個別の株式やFXでは自分で投資判断を行わないといけませんが、知識や経験がない方にとっては簡単な作業とはいえません。
ヘッジファンドは資産運用を運用の専門家に一任できるので、知識がなくてもハイレベルな資産運用を行うことができます。
理由4:1000万円あれば国内ヘッジファンドの最低投資額をクリアできる
ヘッジファンドはおすすめの投資先ですが、最低投資額が大きいという特徴があります。しかし、1,000万円あれば投資可能なヘッジファンドも出てきます。
最低投資額はヘッジファンドによって違うので一概にはいえませんが、1,000万円あるからおすすめできる投資先といえるでしょう。
ヘッジファンド投資の注意点
ヘッジファンドに投資する際に気をつけておきたい注意点を確認しましょう。
リスクがないわけではない
ヘッジファンドの運用戦略は、相場の影響を受けないようにする戦略が基本ですが、絶対に損をしないわけではありません。元本が保証されているわけではない点に注意しましょう。
クローズ(解約制限)期間がある場合もある
ヘッジファンドの中には、解約期間に制限がある場合があります。
ヘッジファンドの運用戦略には、長期投資を前提としているものがあります。短期の解約に対応していると、効果的な運用ができない可能性が出てきてしまい、それを防ぐために解約期間に制限が掛けられる場合があります。
ヘッジファンドは1000万円の投資先として魅力的な存在
通常の投資だと、高いリターンにはどうしても高いリスクが伴います。しかし、ヘッジファンドなら低いリスクでも高いリターンを狙う運用が期待できます。
1,000万円の資金があるなら最低投資額をクリアできるヘッジファンドも見つかるでしょう。投資先として、ヘッジファンドを検討してみてはいかがでしょうか。