2021年に5000万円を運用していたらいくら増えた?資産別ランキング

お金持ちは資産運用をしています。
「家計調査(2020年)」によると、貯蓄が最も大きい2人以上世帯(第Ⅴ階級)の平均貯蓄額は5,339万円で、その17.7%は株式などの有価証券で保有されているようです。2番目に貯蓄が大きい世帯(第Ⅳ階級)では8.5%にまで下がるため、いかにお金持ちが投資しているかがわかります。

では仮に5,000万円を運用していた場合、2021年はどれくらいお金が増えたのでしょうか?

本記事では主な資産の2021年のリターンランキングをまとめました。
また2021年の相場環境の振り返りや2022年の見通しについても解説しています。ぜひご参考ください。

2021年5000万円資産運用ランキング

最も利益を出し続けている資産ブロック

実績利回りから、2021年に5,000万円を運用していた場合のリターンランキングは以下のとおりです。「先進国株式」が最も大きなリターンとなり、実績利回りは36.46%となりました。5,000万円を先進国株式で運用していた場合、1,800万円以上の利益を得られた計算です。

2021年5,000万円運用ランキング
順位 資産の種類 利回り リターン
1 先進国株式
※MSCI World
(グロス・円建て)
36.46% 1,823万円
2 新興国株式
※MSCI Emerging Markets
(グロス・円建て)
9.06% 453万円
3 日経平均
(日経平均トータルリターンインデックス)
6.66% 333万円
4 個人向け国債
(※1)
0.05% 2万6,500円
5 定期預金
(※2)
0.00% 1,500円
6 普通預金
(※2)
0.00% 500円

※1.2021年発行分の平均(変動10年は初回利率)
※2.日本銀行「預金種類別店頭表示金利の平均年利率等について(2021年12月29日時点)」より

先進国株式には届きませんが、「新興国株式」と「日経平均」も比較的リターンが高く、300~400万円程度お金を増やすことができたようです。

「個人向け国債」は厳しい利回りでした。個人向け国債のうち「固定3年」「固定5年」は2021年の発行すべてで国が最低保証する0.05%となり、「変動10年」でも4月(0.09%)・5月(0.08%)・12月(0.07%)を除きすべて0.05%で発行されています。仮に2021年で最高だった0.09%で5,000万円を運用できても4万5,000円にしかなりません。

預金はさらに悲惨です。日本銀行によると、2021年末時点で「定期預金」の平均金利は、最も高いものでも0.003%でした。5,000万円で1,500円の利息しか受け取れない計算です。さらに「普通預金」は0.001%で、わずか500円の利息しか受け取れません。

2021年はリスクを取った方が報われた年になったようです。

2021年はどんな年だった?相場振り返り

相場を分析しなおす様子

2021年はどのような相場環境だったのでしょうか。株式と金利に分け、日本とアメリカそれぞれで確認しましょう。

株式相場編

株式相場は以下のとおりです。「日経平均」は概ね2万7,000~3万500円の範囲を上下に往復するように動きましたが、アメリカの株価指数「S&P500」はほぼ右肩上がりに上昇しました。

2021年日米株式の推移
※Investing.comより作成

日経平均は年の前半に大きく値上がりしましたが、その後国内で新型コロナウィルス感染症の拡大もあり、年央に向けて値下がりしました。

9月には当時の菅総理辞任の意向が伝わると政策への期待感などから値を上げましたが、年末に向けて失速し、年始よりやや高いという水準で取引を終えています。

金利編

次に日米の金利動向を見てみましょう。以下は日本とアメリカの10年国債利回りの推移です。
両者には10倍ほどの差がありますが、株式と異なり連動性が高いことがグラフから見て取れますね。

2021年日米金利の推移
※Investing.comより作成

2021年は日米どちらも金利が上昇しました。先導したのはアメリカです。アメリカは新型コロナウィルスへの対策から2020年3月に緊急利下げを行っています。しかし、アメリカが下げた金利を元に戻すのではないかという警戒感と、アメリカの財政出動に伴う財務悪化懸念などが金利上昇につながったと考えられます。

金利の上昇は一般に株価の下落要因ですが、上述のとおり「S&P500」は右肩上がりに上昇しました。2021年に見られた金利の上昇は、市場が動揺するほど大きくはなかったと考えられるでしょう。

2022年は投資すべき?経済の見通しをチェック

投資をどうしたらいいのか、これからの見通しを立てる

2021年の振り返りも大切ですが、やはり気になるのは2022年の見通しでしょう。2022年は投資すべきなのでしょうか。簡単に確認しましょう。

日本は3.2%、世界は4.9%の成長が見込まれる

IMF(国際通貨基金)によると、2022年は世界的な経済成長が予想されるようです。世界全体では4.9%、日本では3.2%の成長見通しが示されました。2021年よりは鈍化するようですが、概ね経済は拡大していくようです。

IMF世界経済の見通し(2021年10月)
エリア 2020年 2021年 2022年
世界 ▲3.1% 5.90% 4.90%
先進国 ▲4.5% 5.20% 4.50%
米国 ▲3.4% 6.00% 5.20%
ユーロ圏 ▲6.3% 5.00% 4.30%
日本 ▲4.6% 2.40% 3.20%
新興国 ▲2.1% 6.40% 5.10%
中国 2.30% 8.00% 5.60%
インド ▲7.3% 9.50% 8.50%
アセアン5か国 ▲3.4% 2.90% 5.80%

※2021年、2022年は見通し

株価と経済状況は必ずしも一致しませんが、一般的に経済の上昇は株価の上昇要因です。2022年も株式への投資で利益を得られるかもしれません。

変異型コロナ、金利の急騰などは懸念材料

しかし、2022年の相場環境は万全とはいえないでしょう。
南アフリカで発見されたと見られる「オミクロン型」の新型コロナウィルスは、世界で多くの感染者を出しました。
いずれ収束するかもしれませんが、再び異なる変異型ウイルスが発生する可能性もあります。感染者数の高止まりが続けば、景気減速の警戒感から株価が下落する可能性があるでしょう。

金利も懸念材料です。
上述のとおり金利の上昇は昨年から続いていますが、金利の上昇ペースが早まると株価は下落する可能性があります。
金利の上昇は、企業の資金調達コストが高くなり利益を圧迫すること、また債券と比較したときに株式の魅力が相対的に下落することなどから、一般に株価を押し下げます。

景気回復局面における金利上昇は基本的なサイクルのため、金利上昇が直ちに株価下落に結び付くわけではありません。
ただし、市場の予測よりも金利上昇ペースが早い場合は株価にも悪影響があるでしょう。

もちろん、これらが杞憂に終わる可能性もあります。世界の株価は多くの困難な状況を乗り越えながら長期的に上昇してきました。例えば不幸にもリーマンショックで世界的に株価が下がった2008年の直前に投資していた場合でも、2021年まで保有していれば倍以上に上昇しています。

全世界株式の実績利回り
実績利回り 2007年末に5,000万円投資していた場合
2008年 ▲52.81% 2,360万円
2009年 39.06% 3,281万円
2010年 ▲1.37% 3,236万円
2011年 ▲11.65% 2,859万円
2012年 31.26% 3,753万円
2013年 50.05% 5,631万円
2014年 19.44% 6,726万円
2015年 ▲1.51% 6,624万円
2016年 5.18% 6,968万円
2017年 20.37% 8,387万円
2018年 ▲11.30% 7,439万円
2019年 26.09% 9,380万円
2020年 10.99% 1億411万円
2021年 32.77% 1億3,823万円

※MSCI ACWI(グロス・円建て)

これから5000万円運用するなら選択肢にいれたい投資先は?

これから伸びそうな商品を取り上げる

ここまで、2021年の分析をしながら見通しについて解説してきました。
基本的に上昇していく見立てではあるが、新型コロナウィルス次第で変動する。しかし、上下変動はあっても、長期的には上昇していく予想です。

そこで、

  • 利回りが期待できそう
  • 長期的な投資が可能
  • 分散効果もある

という観点から5,000万円を投資する場合、選択肢にいれたいおすすめ商品を以下の3つに絞って取り上げていきます。

  • 国内外の株式
  • 国内外の不動産投資信託(REIT)
  • ヘッジファンド

国内外の株式

世界景気の拡大に期待するなら株式が有力な投資候補です。景気の拡大局面では企業の利益は一般に大きくなるため、株価も上昇が期待できます。

しかし、一般に株式はハイリスク・ハイリターンの商品で、大きく下落する場面もあるでしょう。特に時価総額が小さい「小型株」や、今後の成長が期待されるものの現時点では割高感もある「グロース株」では大きな値動きが予想されます。

株式の大きな値動きを抑えるためには「分散投資」が有効です。
1つの銘柄に集中投資するのではなく、複数の銘柄に資金を分けて投じることを指します。業種や企業の規模を分散させることで値動きも分散され、資産全体ではリスクの低下が期待できるでしょう。

分散を考えれば国内の株式だけではなく海外の株式も選択肢です。特にアメリカには世界的な大企業も上場しています。日本の株式だけでなく、海外の株式にも目を向けるといいでしょう。

国内外の不動産投資信託(REIT)

不動産投資信託とは、オフィスビルや住宅など、実物の不動産で運用を行う投資法人を指します。株式と同じく証券取引所に上場しており、「Real Estate Investment Trust(実物不動産の投資信託)」から「REIT(リート)」と呼ばれることが一般的です。

REITは投資家などから資金を集めて実物の不動産を取得し、得られた家賃収入から経費を差し引いた利益の90%超を投資家に分配します。したがってREITの分配金利回りは、株式の配当金利回りよりも高い場合が多いでしょう。

REITの分配金利回りの例
投資法人 利回り
日本ビルファンド投資法人 3.85%
日本プロロジスリート投資法人 2.78%
ジャパンリアルエステイト投資法人 3.82%

※2022年1月23日時点

なお、REITも海外に上場しています。株式と同じく、海外のREITへの分散投資も検討してください。

ヘッジファンド

「ヘッジファンド」に運用を任せる方法も選択肢です。ヘッジファンドとは運用会社の一形態で、一般的な投資信託と異なり「絶対収益を追求します。

絶対収益の「絶対」とは必ずという意味ではなく、相対の対義語です。つまり相場の影響を受ける相対的な収益ではなく、相場の影響を受けない絶対的な収益を目指す運用方針を指します。

多くのヘッジファンドは「売り」の取引を行うこと絶対収益の実現を目指します。「売り」を仕掛けることで値下がり時も利益を得られるため、少なくとも手腕次第でいつでも利益を獲得できる可能性が芽生えます。

一方、通常の投資信託のように「買い」しか行わない場合は「買う」か「買わない」かしか選べません。
仮に投資信託のファンドマネージャーが相場の値動きを完全に予測できたとしても、相場全体が値上がりしない限り利益を得られないでしょう。

つまり、一般的な投資信託はどうしても相場に依存してしまうのです。

「売り」の取引を行うヘッジファンドは相場の値上がりを待つ必要がありません。値下がりが予想されるなら「売り」を仕掛ければ利益を得られます。この仕組みでヘッジファンドは相場の依存から解放され、絶対収益を追求できるのです。

絶対収益を追求するヘッジファンドは、ほかの資産との連動性が低い特徴があります。ほかの資産が値下がりしている場合でも、独自の運用戦略で一定の利益を確保できるケースがあるでしょう。
したがって、ヘッジファンドは分散投資の対象として適しています。株式や債券といった伝統的な資産と合わせてヘッジファンドを持つことで、値動きが分散されリスクの低減が期待できるでしょう。

まとめ

投資は時間をかけて育てていくのが大事

本記事の内容を以下にまとめます。

  • 2021年は「株式」で運用していれば資産が増えた
  • 2022年は経済成長が期待されるも、変異型ウイルスや金利の急騰は懸念
  • これから投資するなら「株式」や「REIT」、「ヘッジファンド」が候補

本記事で比較した結果、2021年は「先進国株式」の利回りが最も大きくなり、5,000万円を運用して入れば1,823万円(36.46%)増えていました。一方「個人向け国債」や「預金」ではほとんど増えていません。

IMFは2022年の経済成長を見通していますが、新型コロナウィルスの拡大や金利の急騰などは懸念点です。万全な見通しとはいえませんが、これまで株価が上昇してきた経緯を考えれば2022年も投資を検討してもいいでしょう。

これから投資を行うなら「株式」や「REIT」がぜひ投資したい商品です。国内外の銘柄に分散投資することで、リスクを下げながら利益の獲得が期待できるでしょう。また絶対収益を追求する「ヘッジファンド」への分散投資も候補に入ります。

利回り重視の方は、下記の記事も参考ください。

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