
1,000万円を運用する場合、運用先をどうするか悩みますよね。どの商品がどれくらいのリターンになるか、ある程度の目安がないとなかなか判断がつかないと思います。
本記事では運用先を判断する参考のために、各運用商品の利回りをご紹介します。過去の実績や調査を参考に、できるだけ具体的に数字で示しますので、運用先に悩んでいる方はぜひ参考にしてください。
そもそも運用利回りってなに?
まずは運用利回りの概要を確認しましょう。
運用利回り=過去の実績を1年あたりに直した数値
運用利回りは過去の累積リターンを1年あたりに直した数値のことです。その運用商品でどれくらいのリターンを得られるか、判断の目安になります。
1年あたりのリターンに直す場合、割り算で計算する「単純平均」ではなく、べき乗で計算する「幾何平均(きかへいきん)」で行われるのが普通です。単純平均より幾何平均で計算する方が小さい数字になります。
運用利回りは「インカムゲイン」+「キャピタルゲイン」の合計で計算
運用利回りの計算の基になるリターンは「トータルリターン」で計算されます。その運用商品から得られる全てのリターンのことで、大きく「キャピタルゲイン」と「インカムゲイン」に分かれます。
キャピタルゲインは値上がり益、インカムゲインは配当などの定期的な収入のことです。
主な運用資産の利回り 実績一覧
代表的な運用資産の「株式」と「債券」の運用利回りを、それぞれ代表的な指数から確認してみましょう。
日本株式の利回り +8.03%
日本株式の運用利回りは、日本株式の代表的な指数「日経平均」に配当を加味した「日経平均トータルリターンインデックス」で確認しましょう。
日本株式の過去5年間の運用利回りは8.03%です(2020年9月末時点)。5年間で約47%のリターンがあった計算です。配当を除いた「日経平均」の運用利回りは5.92%なので、日本株式のインカムゲインは概ね2%強であったことが分かります。
海外株式の利回り +11.39%
海外株式の運用利回りは「MSCIコクサイ(米ドル、グロス)指数」で確認してみましょう。日本を除いた先進国の株式だけで構成されています。
海外株式の過去5年間の運用利回りは11.39%でした(2020年9月30日時点)。5年間で約71%のリターンがあった計算です。日本株式より大きなリターンを獲得できたようですね。
ただし、日本円に換算すると運用利回りは8.61%まで下がります。この5年間は円高傾向にあり、年間2.8%程度の下押し圧力が働いていたようです。海外資産への投資は為替の影響を受ける点にも注意しましょう。
日本債券の利回り +1.18%
日本債券の運用利回りは「NOMURA-BPI総合指数」で確認してみましょう。日本の公社債の値動きを表す代表的な指数です。
日本債券の過去5年間の運用利回りは1.18%でした(2020年9月30日時点)。5年間で6%のリターンがあった計算です。日本債券に金利はほとんど付きませんが、債券価格の値上がりがリターンを下支えしました。
海外債券の利回り +4.34%
海外債券の運用利回りは「FTSE世界国債インデックス」で確認してみましょう。世界の国債(投資適格以上)で構成されている指数です。
海外債券の過去5年間の運用利回りは4.34%でした(2020年8月31日時点)。5年間で約24%のリターンがあった計算です。日本債券の約4倍のリターンを獲得しました。
ただし、日本円に換算すると運用利回りは1.09%まで下がります。海外株式同様に、こちらも円高の影響を受けたようです。
(参考)利回りは一定ではない 各年の株式利回り
運用利回りを考える際に注意したいのは、実際の利回りは毎年変動しているという点です。運用利回りはあくまで過去の平均的な利回りで、変動するのが普通です。参考に、上記で取り上げた株式指数の年ごとのリターンを下にまとめました。
2015年 | 2016年 | 2017年 | 2018年 | 2019年 | |
---|---|---|---|---|---|
日本株式 | 11.00% | 2.38% | 21.33% | ▲10.29% | 20.72% |
海外株式(米ドル) | ▲1.21% | 8.69% | 22.94% | ▲7.78% | 29.19% |
上記の期間では概ね上昇しましたが、マイナスになっている年もあります。運用利回りで示されたリターンが必ず受けられるわけではない点に注意し、あくまで参考にとどめておきましょう。
ほかの運用資産の利回りは?リスク別に運用商品を大まかにチェック
株式や債券以外の商品の場合、運用利回りはどれくらいなのでしょうか。一概にはいえませんが、過去の実績や調査から、大まかな運用利回りを確認しましょう。
ローリスクの運用商品:1%未満の利回りを狙う場合に選択
まずはローリスク商品を確認してみましょう。リスクの低い運用が期待できますが、運用利回りは概ね1%未満になると思われる商品です。
銀行預金
2020年10月21日時点で、銀行預金の平均金利は以下の通りです。
定期預金金利(10年) | 0.00% |
---|---|
普通預金金利 | 0.00% |
参考:日銀 店頭金利
ネット銀行ならもう少し金利が高い傾向にありますが、高い利回りは期待しにくいでしょう。
個人向け日本国債
2020年10月募集分の個人向け日本国債の金利は以下の通りです。
変動10年 | 0.05% |
---|---|
固定5年 | |
固定3年 |
参考:財務省 国債
期間が長いほど金利が高くなるのが普通ですが、3種類全てで0.05%になっています。0.05%は財務省が設定する下限の金利で、最も低い水準です。銀行預金の平均よりは高い金利ですが、高い利回りは期待できないでしょう。
ミドルリスクの運用商品:3~10%程度の利回りを狙う場合に選択
次はミドルリスクの商品を確認しましょう。銘柄ごとの差が比較的大きいですが、概ね10%までの利回りを狙う場合に選択する商品です。
投資信託
投資信託は、株式や債券など、さまざまな資産で運用される商品です。どの資産で運用されているかで利回りが異なるので、利回りは一概にいえません。前章でお伝えした株式や債券の利回りを参考にしましょう。
REIT(不動産投資信託)
投資信託の一種に、「REIT(リート)」というものがあります。さまざまな不動産物件で運用する商品で、比較的少ない金額で実質的に家主になることができます。
REITの代表的な指数は「東証REIT指数」ですが、公開している運用利回りの期間が1年以下と短いので、日本経済新聞が公開している「日経高利回りREIT指数」から確認しましょう。
参考
過去5年間 運用利回り (2020年9月30日時点) | |
---|---|
日経高利回りREIT指数 | 5.11% |
REITの運用利回りは概ね5%強となりました。日本株式よりは低く、外国債券よりは高い利回りとなりました。
実物の不動産投資
実際の不動産物件を取得し、家賃収入や売却益を狙う商品です。一般社団法人「日本不動産研究所」の「不動産投資家調査(2020年4月)」によると、期待利回りは以下の通りです。
種類 | 東京 | 東京以外の地区 |
---|---|---|
標準ビル | 3.7~4.3% | 4.5~7.0% |
賃貸物件(一棟) | 4.0~4.5% | 4.9~5.7% |
概ね東京では4%前後、その他の地区では5%前後の利回りが期待されているようです。
ヘッジファンド
ヘッジファンドはさまざまな運用戦略を駆使し、相場の影響を受けない「絶対収益」を追求する存在です。「ニッセイ基礎研究所」によると、ヘッジファンド全体の運用利回りは以下のようになりました。
2005~2014年 | 7.90% |
---|---|
2015~2019年 | 3.90% |
2019年 | 8.40% |
ヘッジファンドについては後述します。
ハイリスクの運用商品 10%超の利回りを狙う場合に選択
最後に、ハイリスクの運用商品を確認しましょう。ミドルリスクの運用商品以上の利回りを狙う場合に選択する商品です。
個別の株式
前章で日本株式の運用利回りは8%程度だとお伝えしましたが、これはあくまで平均的な数値です。当たり前ですが、個別ではさらに大きな運用利回りとなる銘柄もあります。
参考に、2019年に最も値上がりした銘柄と値下がりした銘柄を3銘柄ずつまとめます。
値上がりTOP3 | 値下がりTOP3 | |
---|---|---|
1位 | ホープ(+1305%) | MTG(▲83.5%) |
2位 | レアジョブ(+1093%) | 地域新聞社(▲79.0%) |
3位 | AKIBA(+591%) | UMCエレクトロニクス(▲74.6%) |
参考:株探ニュース
FX
FXは海外の通貨に投資する商品で、株式より高いレバレッジを掛けられる点に特徴があります。
レバレッジとは、自己資金の何倍までの取引ができるかを表した数値です。株式の場合は最大3.3倍ですが、FXの場合は最大25倍の金額で取引ができます。通常なら運用利回り1%でも、レバレッジ25倍なら25%の運用利回りになります。
レバレッジを高くするとリスクが大きくなりますが、より高い利回りを狙うことができます。
1,000万円を一定の利回りで運用したらいくらになる?
仮に1,000万円を一定の利回りで運用した場合、いくらになるか大まかに確認しておきましょう。ここでは「複利運用」を前提に、運用期間ごとにまとめます。
複利運用すると、運用期間が長くなるほどお金が増えやすくなる効果があります。ただし、元の利回りが低いと、効果が弱くなってしまいます。それぞれの利回りで確認しましょう。
利回り1%で運用した場合
利回り1%で1,000万円を運用すると以下のようになります。
開始 | 5年 | 10年 | 20年 | 30年 |
---|---|---|---|---|
1,000万円 | 1,051万円 | 1,105万円 | 1,220万円 | 1,348万円 |
複利の場合、運用期間が長くなるほど1年あたりの利益額は大きくなりますが、元の利回りが低いと大きな差になりません。1%なら単純に1年で10万円ほどの利益額ですが、30年運用しても1年あたりの利益額は11.6万円までにしか増えません。
利回り3%で運用した場合
1,000万円を利回り3%で運用した場合では以下のように成ります。
開始 | 5年 | 10年 | 20年 | 30年 |
---|---|---|---|---|
1,000万円 | 1,159万円 | 1,344万円 | 1,806万円 | 2,427円 |
3%なら単純に1年で30万円ほどの利益になりますが、30年間複利で運用した場合、1年あたりの利益額は約47.5万円です。1.5倍以上の利益になりました。
利回り5%で運用した場合
利回り5%なら以下の通りです。
開始 | 5年 | 10年 | 20年 | 30年 |
---|---|---|---|---|
1,000万円 | 1,276万円 | 1,629万円 | 2,653万円 | 4,322万円 |
30年間複利で運用したときの1年あたりの利益額は約110.7万円です。5%の単純な利益額50万円の倍以上の利益を得られる計算です。
10%で運用した場合
利回り10%では以下のようになります。
5年 | 10年 | 20年 | 30年 | |
---|---|---|---|---|
1,000万円 | 1,611万円 | 2,594万円 | 6,727万円 | 1億7,449万円 |
30年間複利で運用した場合の利益額は548.3万円です。10%なら単純に1年あたり100万円ですから、約5.5倍以上の利益を得られます。
複利運用の場合、長期間運用するほど効率的に増やすことができ、元の利回りがある程度高いとより効果的に増やすことができます。
1,000万円の運用先はどうすべきか?
1,000万円を運用する場合、具体的にどの商品で運用すればよいのでしょうか。運用先の考え方を確認しましょう。
1,000万円をいくらにするかが大切
選ぶべき運用先は、お金をどれくらい増やすかという「運用目標」によって決まってきます。「お金が増えなくても構わない」という方なら銀行預金などを選択すべきですし、「倍にしたい」という方ならある程度リスクの高い商品を選択する必要があります。
【運用期間別】運用目標の達成に必要な利回り
参考に、1,000万円の運用目標を「1,500万円」「2,000万円」「3,000万円」と仮定し、運用期間ごとに必要な運用利回りを以下にまとめました。
運用期間 | 運用の目標 | ||
---|---|---|---|
1,500万円 | 2,000万円 | 3,000万円 | |
5年 | 8.45% | 14.87% | 24.57% |
10年 | 4.14% | 7.18% | 11.61% |
20年 | 2.05% | 3.53% | 5.65% |
30年 | 1.36% | 2.34% | 3.73% |
いずれの運用目標でも、期間が長くなるほど必要な運用利回りが小さくなります。一方、短期で目標達成するには野心的な利回りが必要になります。
「72の法則」 資産を倍にするのに必要な期間、利回りが分かる
必要な運用利回りの計算には「72の法則」を覚えておくと便利です。資産を倍にするための期間や利回りが計算できます。以下のように使います。
倍にするのに必要な“期間”が知りたい | 72÷利回り |
---|---|
倍にするのに必要な“利回り”が知りたい | 72÷運用期間 |
目標の利回りが決まったらポートフォリオを作りましょう
必要な運用利回りが計算できたらポートフォリオを作成しましょう。
ポートフォリオとは運用商品の組み合わせのことです。さまざまな商品を組み合わせて、1つのポートフォリオを作成しましょう。
積極派は株式の比率を高めに
高いリターンを狙う場合、株式の比率を高めるのが基本戦略です。リスクは高くなる傾向にありますが、高い利回りが期待できます。
より高い利回りを積極的に狙う場合、1つの銘柄で運用する選択肢もあります。ただし、基本的には「分散投資」を前提にし、複数の商品でポートフォリオを組みましょう。
慎重派は債券の比率を高めに
慎重派はポートフォリオに占める債券の比率を高めにしましょう。利回りは下がりやすいですが、低リスク運用が期待できます。
1,000万円あるなら検討したいヘッジファンド運用
運用商品を個別に選択してもよいですが、せっかく運用資産が1,000万円あるなら「ヘッジファンド」に資金を預けるのも選択肢です。
「絶対収益」の追求 安定的に高い利回りを獲得する
ヘッジファンドは投資家のお金を集めて代わりに運用してくれる存在です。投資信託と似ていますが、特徴は「絶対収益」の追求にあります。絶対収益とは、相場の変動と無縁の収益のことです。
通常の資産運用の場合、全体の相場の影響を受けます。相場全体が上昇傾向なら利益を得やすく、逆に下落傾向なら損失につながりやすい傾向にあります。ヘッジファンドはさまざまな運用戦略を取ることで、相場の変動と関係なく、安定的な収益の獲得を目指します。
ヘッジファンドの代表的な運用戦略に「マーケットニュートラル」があります。値上がりしそうな銘柄を買う一方、相場全体(たとえば株価先物)に売りを仕掛けます。相場の影響を排除し、純粋に当該銘柄のリターンを得ることが期待できます。
このような運用戦略を用い、ヘッジファンドは絶対収益を追求します。リスクがないわけではありませんが、比較的安定的な運用利回りが期待できるでしょう。
1,000万円なら最低投資額に届く
ヘッジファンドの最低投資額は、通常の商品より大きく設定されていることが普通です。ヘッジファンドごとに違うので一概にはいえませんが、1,000万円あれば最低投資額に届くヘッジファンドは見つかるでしょう。
最低投資額を1,000万円としているヘッジファンドを3つご紹介します気になる方は、お問い合わせをして資料などを確認してみましょう。
まとめ
1,000万円を運用する場合、1,000万円をどこまで増やしたいか「運用目標」を決めることが大切です。運用目標ごとに必要な運用利回りを計算し、複数の商品で目標達成できそうなポートフォリオを組みます。本記事で紹介した各運用商品の利回りを参考にしながら選択しましょう。
1,000万円あるならヘッジファンドに資金を任せてしまうのも1つです。最低投資額をクリアできますし、絶対収益を追求する戦略で比較的安定的な運用が期待できます。