インフラファンド7銘柄徹底比較ランキングと公募増資のメリット

2015年4月、東京証券取引所にインフラファンド市場が誕生しました。

2021年2月末現在で7銘柄が上場しています。この記事ではインフラファンドの魅力や銘柄の詳細、注意点について詳しく解説していきます。

インフラファンド7銘柄上場!魅力的な特徴とは?

インフラファンドとは、太陽光や風力など再生可能エネルギーや港湾施設など「インフラ」を投資対象とする金融商品です。2021年2月現在、7銘柄が上場されており、すべて「再生可能エネルギー発電設備」を保有している商品です。

基本的な仕組みはREIT(不動産投資信託)とよく似ているため、「インフラ版REIT」と呼ばれることもあります。

今後さまざまなインフラ施設を投資対象とするファンドが上場し、市場が拡大していくことが期待されています。

インフラファンドの最大の特徴は、安定的な利回りが期待できることです。例えば、太陽光発電所の運営で得られる収益は、「発電量 × 売電価格」です。

発電量への影響が大きいのは、日照量と気温。日照量が多いほど発電量が多く、気温があまり高くない方の発電効率が高くなります。多少の変動はあるものの、日照量や気温は過去のデータから予測することが可能です。

また、売電価格については「固定価格買取制度(FIT制度)」により安定しています。この買取価格は、あらかじめ定められた期間中に変わることはなく、2021年現在では、家庭用太陽光発電(10kW未満)は10年間、、事業用太陽光発電(10kW以上)・風力・水力・バイオマス発電は20年間と高い価格のまま買い取ることが決められています。

参照:エネチェンジ(外部サイト)

インフラファンド利回りランキング

それでは、上場インフラファンドにはどのようなファンドがあるのか確認していきましょう。(2021年2月時点)

(1)東京インフラ・エネルギー投資法人(9285)

東京インフラ・エネルギー投資法人

  • 上場日 2018年9月27日
  • 決算月 6月、12月
  • 分配金利回り 6.51%
  • 投資口価格 97,500円

出典:ヤフーファイナンス(外部サイト)

メインスポンサーは、再生可能エネルギー発電設備に関するノウハウを有するアドバンテックです。

その他、東京インフラホールディングス、あいおいニッセイ同和損害保険、NESネッツアイの3社が出資しています。

再生可能エネルギー発電所全体を投資対象としていますが、上場時のポートフォリオは全て太陽光発電所です。

(2)カナディアン・ソーラー・インフラ投資法人(9284)

カナディアン・ソーラー・インフラ投資法人

  • 上場日 2017年10月30日
  • 決算月 6月、12月
  • 分配金利回り 5.59%
  • 投資口価格 132,300円

出典:ヤフーファイナンス(外部サイト)

スポンサーは、カナディアン・ソーラー・プロジェクト。太陽光発電の世界的大手で、米国ナスダックに上場しているカナディアン・ソーラーのグループ会社になります。上場インフラファンドとしては初の「外資系」となっています。

(3)日本再生可能エネルギーインフラ投資法人(9283)

日本再生可能エネルギーインフラ投資法人

  • 上場日 2017年3月29日
  • 決算月 1月、7月
  • 分配金利回り 6.14%
  • 投資口価格 104,300円

出典:ヤフーファイナンス(外部サイト)

スポンサーは、再生可能エネルギー専業のリニューアブル・ジャパン。太陽光発電所の開発・運営を行っていますが、将来的には風力やバイオマスといった他の再生可能エネルギー発電への進出も目指しています。

また、東急不動産と資本業務提携を行っており、共同出資のファンド創設を進める予定です。

(4)タカラレーベン・インフラ投資法人(9281)

タカラレーベン・インフラ投資法人

  • 上場日 2016年6月2日
  • 決算月 5月、11月
  • 分配金利回り 5.78%
  • 投資口価格 118,500円

出典:ヤフーファイナンス(外部サイト)

2015年4月に東証が開設したインフラファンド市場に上場した第一号銘柄です。スポンサーは、東証1部上場でマンション分譲大手のタカラレーベン。2010年より太陽光発電マンションに取組み、実績が豊富です。2013年に太陽光発電事業に参入しました。

投資対象は太陽光発電設備。株式会社日本格付研究所からAマイナスの格付けを取得していて、財務基盤は安定しています。

(5)いちごグリーンインフラ投資法人(9282)

いちごグリーンインフラ投資法人チャート(2021年3月)

  • 上場日 2016年12月1日
  • 決算月 6月
  • 分配金利回り 5.82%
  • 投資口価格 65,600円

出典:ヤフーファイナンス(外部サイト)

スポンサーは、不動産アセットマネジメントやクリーンエネルギーを主力とする東証一部上場のいちご株式会社です。2012年に太陽光発電事業に参入しています。資産運用会社のいちご投資顧問は、インフラファンドの他に2種類のJーREITを運用しており、豊富な運用経験があります。

価格が6万円前後と、7銘柄の中で最安値で購入することができます。

(6)エネクス・インフラ投資法人(9286)

エネクス・インフラ投資法人チャート(2021年3月)

  • 上場日 2019年2月13日
  • 決算月 11月
  • 分配金利回り 6.66%
  • 投資口価格 90,100円

出典:ヤフーファイナンス(外部サイト)

伊藤忠エネクスをメインスポンサーとするインフラファンドです。サブスポンサーとしては三井住友信託銀行含む3社が名を連ねています。投資方針として太陽光発電所以外の再生可能エネルギー発電所への投資も可能としている銘柄はありますが、優先的売買交渉権取得予定として具体的な物件を挙げている上場インフラファンドはエネクス・インフラ投資法人のみではないでしょうか。

今後、もし優先的売買交渉権の取得からポートフォリオへの組入まで順調に進めば、
太陽光発電所一色となっている現状の上場インフラファンド市場に一石を投じ、新たな投資資金を呼び込むトリガー的存在となるかもしれません。
参考:エネクス・インフラ投資法人 - JAPAN-REIT.COM(外部サイト)

(7)ジャパン・インフラファンド投資法人(9287)

インフラファンド投資法人チャート(2021年3月)

  • 上場日 2020年2月20日
  • 決算月 5月、11月
  • 分配金利回り 6.10%
  • 投資口価格 95,400円

出典:ヤフーファイナンス(外部サイト)

総合商社である丸紅株式会社の子会社ジャパン・インフラファンド・アドバイザーズ株式会社が運営する7番目の上場インフラ投資法人です。丸紅・みずほ銀行・みずほ信託銀行がスポンサーとして名を連ねており、固定価格買取制度に基づき、賃借人より最低保証賃料+売電収入連動賃料を受領して収益の安定化を図っています。

丸紅のセイムポート出資3%およびみずほ銀行グループでのサポートが得られており、上場中のインフラファンドでは最上位となるR&I格付「 A(安定的)) 」も取得しています。

参考:ジャパン・インフラファンド投資法人 - JAPAN-REIT.COM(外部サイト)

インフラファンドの高利回りの理由

インフラファンドは、投資法人が投資証券や投資法人債の発行、金融機関からの借入によって調達した資金をもとに「発電施設」などのインフラ資産に投資し、そこから得た収益を投資家に分配します。

太陽光発電では、専門的なノウハウを持って運営する「オペレーター」に賃貸し、「オペレーター」は売電して得た収益から賃貸料を投資法人に支払います。

その賃借料がインフラファンドの主な収益源となります。そして、利益の90%超を投資家に分配すれば、実質的に法人税が免除されるので、高い利回りが可能になっているのです。

また、再生可能エネルギーでは、「固定価格買取制度」があるので、20年間売電価格が固定されています。ですから、インフラファンドの収益や利回りは安定しているのです。

太陽光発電では、固定買取価格が年々下がってきているので、20年後も高利回りを維持できるのか懸念する声もあります。しかし、年数が経過する分、減価償却で資産を圧縮することができます。

固定買取価格は下がりますが、減価償却費は経費として計上できます。そのため、実質利益率は大幅に下がらないと見られています。

インフラファンドの注意点

しかし、収益や利回りが安定しているということは、景気がよくなっても収益の伸びが期待できないということでもあります。

REITのように景気回復期に賃料を上げたり、不動産売却で利益をだしたりすることは難しいため、インフラファンドは値上がり益を狙った投資には不向きです。あくまでも利回りを中心とした投資対象として考えるようにしましょう。

また、金利変動リスクに注意する必要があります。金利上昇局面では、借入などの資金調達コストが上がるほか、債券の魅力が高まり、インフラファンドの値下がり要因となるからです。

ただ、現状では低金利政策が続いていますし、6%以上の高い利回りが期待できるので、あまり心配することはないでしょう。

インフラファンドの購入方法

インフラファンドは東京証券取引所に上場しているので、通常の株式やJーREITのように証券会社を通じて購入することができます

ただ、市場が創設されて間もなく、市場規模がそこまで大きなわけではないため、機関投資家が本格的に購入できる状態ではありません。

しかし、大口投資家の参入が少ないことが、価格の安定性につながっているとも考えられます。機関投資家が参入すると、決算期の益出し売りなどで価格が大きく動くことがあるからです。

インフラファンドは安定した長期のインカム収入(配当収入)が期待できます。株式と比べて減配リスクが低く、値動きが安定していることから、NISA(少額投資非課税制度)を使った投資にも向いています。

NISA口座で分配金利回り6%のインフラファンドを5年間保有すれば30%の利息がつきます。5年間で30%以上下落しなければ、プラスのリターンになるのです。

NISAの上限120万円を投資すれば、毎年72,000円の利息が入ります。特に、リタイア世代にとって、安定的な利回りは魅力的です。市場規模が小さく、機関投資家が参入しにくいことが、高い利回りと安定的な値動きを実現しています。

市場が小さいと流動性リスクが気になりますが、個人が投資する分には影響はほとんどありません。また、デイトレードのように売り買いを頻繁に繰り返すような投資対象でもありません。

インフラファンドは、「リスクを抑えて収入を得たい」という投資家のニーズを満たした金融商品といえるでしょう。

インフラファンドの公募増資にメリットはあるのか?

インフラファンドは利益の90%以上を投資家に分配するため、新たにインフラ資産を購入するためには、公募増資をするか借入をして資金調達をする必要があります。

株式の公募増資では資金の使い道がわからない場合がありますが、インフラファンドでは新しいインフラ資産を購入するという明確な目的があります。太陽光発電を購入する場合は次の2つのメリットがあります。

  1. 固定買取価格制度で売電価格が保証されている
  2. 完成した太陽光発電を購入したら、すぐに売電を開始できる

ただし、太陽光発電では各ファンド実績が十分ありますが、それ以外の風力発電やバイオマス発電などは未確定な部分があるので、増資した資金による投資対象の確認はしておくようにしましょう。

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