
中小型株によるバリュー投資を行うアクティビストファンド。
初めて聞いたときに、この投資戦略がこんなに奥が深く、こんなにも利回りの良いヘッジファンドだとは思いもよりませんでした。
実際に投資を行い結果的に私の資産は大幅に増え、ポートフォリオとしては安心できるようになりました。
しかし、投資初心者の方にとってどんな投資方法なのかわからないことも多いかと思います。
そこで、この記事では日本有数のアクティビストである投資会社JapanActについて投資方法、利回り、懸念点などを徹底的に解説していきます。
JapanActの概要
投資会社JapanActが運用しているアクティビスト型私募ファンドです。
会社概要は以下の通り。
商号 | Japan Act 合同会社 |
---|---|
代表 | 葛生 大祐 |
本店所在地 | 東京都中央区銀座1-16-7 |
契約形態 | 合同会社への出資契約 |
年間利回り(平均) | 19% |
報酬制度 | 成功報酬 |
最低投資金額 | 1000万円~ ※1000万円以下は応相談 |
問い合わせ方法 | 直接問合せ |
JapanActの高パフォーマンスな運用成績
2018年開始時点での私の資産は1500万でしたが各年以下のように資産を増やせています。大幅に増やせている理由はJapanActの運用結果が好調であったために他なりません。
年 | 総資産資産 |
---|---|
開始 | 1500万 |
2018年 | 1619万 |
2019年 | 1966万 |
この棒グラフは、株式や投信など、JapanAct以外の投資先も含まれていますが、私の総資産を表したものです。内訳を確認すると、JapanActへの出資割合が大きいことがお判り頂けると思います。
各経済指標との成長率の比較をすると
以下の折れ線グラフは、私の総資産と日経平均、TOPIXを比較したものになります。
私のポートフォリオには投資信託もあるので、年末にかけて相場が下落した2018年は正直、マイナスの成績も覚悟しました。しかし、JapanActが予想以上のリターンを叩き出してくれたおかげで、現在まで順調に総資産を増やすことが出来ています。
私の投資方針は中長期ですが、1年間という短期間で見てもプラスになっているのは大変嬉しい結果です。
ここまででも、JapanActは相場の状況に左右されることなく、公募ファンドよりも非常に高いリターンを出していることがご理解頂けたと思います。次は具体的になぜこんな結果を出せているのかをまとめました。
JapanActの3つの投資戦略
ヘッジファンドというとハイリスクハイリターンの投資を行うイメージを持つ方もいるとは思いますが、そんなことはありません。
ヘッジ(hedge)には直訳すると「避ける」という意味があり、本来、ヘッジファンドは相場が下がった時でもリスクを極限に減らし、相場の上げ下げに関係なく徹底的にリターンを追い求める仕組みを戦略的に構築している組織です。
JapanActも徹底したリスク管理を行った上で以下のような運用を行っており、初心者でも十分検討できるポートフォリオになりえると言えます。
戦略1:投資の王道バリュー投資を採用
バリュー投資は、世界的な投資家「ウォーレンバフェット」が行っている運用方法です。
具体的には、現在の株価が本来の企業価値や利益水準に対して割安になっているものに積極的に投資をしていくことです。
すでに割安状態なので、これ以上株価が下がりにくく、ここからの上昇を待つだけといった特徴があり、リスクを抑えてリターンを狙える非常に堅い王道の投資手法と言えます。
初めの銘柄選定が重要ですが、購入した後は「待つだけ」でも十分リターンが見込めるでしょう。
戦略2:アクティビストとして企業価値向上を狙う働きかけ
アクティビストと聞いて分からない方も多いと思いますが、要は「物言う株主」のことです。有名なアクティビストとして「村上ファンド」の名前を思い浮かべた方も多いのではないでしょうか。
アクティビストと言えば、以前は「物言う」の表現から株主総会で騒ぎ立てるといったイメージを持つ方もいました。しかし、いわゆる総会屋とは根本的に異なり、以下のような特徴が正しいと言えます。
- 株主としての権利を積極的に行使する
- 投資先の企業価値を向上するため、経営陣に対して積極的に提言する
株をただ保有しているだけではなく、必要であれば積極的に株主の権利を行使し、企業価値・株主価値を向上させるためにできることを行います。その結果、今まで注目されていなかった企業に投資家の注目が集まり、様々な期待を受けて株価が上がることになるのです。
一定数の株式を保有していないとそもそも経営陣と対話することも難しいため、個人ではなかなか難しい手法です。
戦略3:状況により収益機会を逃さないイベントドリブンも
バリュー投資を主体としたアクティビスト投資を行っていますが、私募ファンドならではの柔軟性も持っています。
状況に応じてイベントドリブン※1で短期的に利益を狙う場合もあります。
リーマンショックやコロナショックといった突発的な出来事にも対処することができるのは大きな強みと言えるでしょう。
※1 イベントドリブン:株価に影響のある大きなイベントが発生した際に生じる変動を、収益機会として投資する手法
私がJapanActを選んだ5つの理由
ここまでは、JapanActの強みとして投資戦略をまとめました。
私は、初めてアクティビストの話を聞いたときに、非常に面白いと思いました。最初はアクティビストのことをあまり理解しないで投資するのはリスクが高いのではないかとも思いましたが、実際にJapanActに投資をしていると、投資初心者の方にもかなりメリットがあるのではないかと思うようになりました。
次は、その理由を解説していきます。
- 年間10%以上の利回り
- 過去にマイナスがない
- 物言う株主の専門知識
- 物理的にも精神的にも負担が少ない
- 実績がある
理由1:年間10%以上の高利回りで大幅な資産増加が見込める
JapanActの運用開始は2018年の8月からですが、2018年の利回りは10%以上。2018年末の日経平均株価が昨年末比で12%安になったことを考慮すれば十分評価できる成績でしょう。また、2019年は上昇トレンドということもあり30%近い利回りを叩き出し、私も大きく資産を増やすことができました。
規制が多く、柔軟性が少ない公募のファンドは上昇トレンドには強いものの、一旦相場全体が下降し始めると対応できる手段が限られてくることも事実。その点、私募で、運用手法に柔軟性があり、リスクヘッジを徹底しているJapanActは、下降トレンドにおいても検討しやすいポートフォリオであると言えます。
理由2:過去にマイナスを出した年がないため安心できる
運用開始から約2年と比較的運用実績の短いJapanActですが、上記に記載した通り、過去2年間はマイナスを出したことがありません。また、2018年末の下降トレンドにおいても10%以上のプラスの成績を維持できたことは、個人的には非常に安心できる材料になります。
理由3:極めて専門性の高い、アクティビストファンド出身のメンバーで構成
JapanActは、メンバーが「日本株に特化した実績のあるアクティビストファンド出身者」で構成されている数少ない和製アクティビストのひとつです。
アクティビスト投資は、徹底した情報収集能力と分析力が必要不可欠です。また、投資先の経営陣との関係構築や投資戦略を実践する高い専門性が求められます。
そのため、通常は証券分野に従事している方でも、アクティビスト投資に関して言えば業務外の領域になってしまいます。
その点、JapanActはアクティビストファンドでの勤務経験があるメンバーで構成されているので、投資戦略や実際のアクションの遂行能力が高い企業です。
メンバーが過去に在籍していたアクティビストファンドでは、第三者評価機関によって投資実績が評価された経験もあります。
- ・2018年:「AsiaHedgeAwards2018」
- 部門「Emerging Manager -Smaller Fund $10M-$50M」ノミネート
- ・2019年:「The Eurekahedge Asianhedge Fund Awards 2019」
- 部門「Best Japan Hedge Fund Award」ノミネート
部門「Best Asian Event Driven Hedge Fund Award」ノミネート
理由4:投資信託のような手軽さと物理的・精神的負担の少なさ
私が投資を行う上で大事にしていることは、いかに楽できるかという点です。
大きく分けると、「物理的な作業が発生しない」、「ドキドキするような精神的なストレスが発生しない」ことに重きを置いています。
自分でバリュー投資を行う場合、銘柄選定に膨大な時間を必要とするにもかかわらず、結果が伴わず、塩漬けになることもよくあります。その結果、「自分の投資基準は間違っているのではないか・・・」と不安に苛まれることもあります。
特に仕事中などに、マーケットに対してネガティブな情報が報じられたときは不安で目の前のことに集中できないという経験をした方は多いででしょう。
その点、JapanActの場合は「ただ待つだけ」。プロが銘柄選定から投資判断やリスクヘッジまで全てやってくれるので、圧倒的に楽です。
また、なかなかバリュー投資の結果が現れなくても、自ら投資対象にアプローチを行いながら道を切り開いていくアクティビストとして戦略を持っていることも最大の強みです。個人でこれを真似することは難しいので、これは非常にポイントが大きかったです。
さらに、大きな経済的出来事が起きた場合にも柔軟に対応してくれて短気利益も狙える。
「バリュー」、「アクティビスト」、「イベントドリブン」。この3本の矢が私の物理的・精神的なストレスから解放してくれています。
理由5:実際にアクティビストとしての実績が公になっている
私は、アクティビストに興味を持った際に、まず国内の会社を調べることにしました。
アクティビストを掲げる会社はいくつかありますが、実際にアクティビストとしての活動実績を公表していない会社が多いことが気になりました。
もちろん水面下でアクティビスト活動を行っている場合には、調べても出てこない情報もあるかと思います。
一般的にアクティビストは、自らの株主提案に賛成してもらうために、株主提案の内容が企業や株主、社会や関係者にとってどのようなメリットを与えるのかを株主に説明し、広く賛同を得ようと行動します。
そのため、取材内容や株主提案の根拠を記載した資料等は、積極的に自社HP等で開示する戦略をとることが多いです。
なぜなら、多くの株主に賛成してもらわなければ、自分達の株主提案が通りづらくなってしまうからです。
単独で株主提案を通してしまうほどの株式を保有していれば話は別ですが、多くの場合、単独で株主提案を可決させるほど株式を保有することは難しいため、既存株主の賛同を得られやすくするために、このような行動に出るのです。
その点、JapanActはアクティビストの活動状況を公にしており、信用性の面でもかなり安心できると言えそうです。実績に関しても下記にまとめてみました。
- ①公式サイトでアクティビストの活動を公表している点
- 定期的に株主提案や要望書の内容に関して報告しています。
参考:JapanActニュース一覧より(外部リンク) - ②国際的な法律事務所に、アクティビストファンドとして認識されている点
- 企業・政府・金融機関にサービスを提供している国際的な法律事務所(White&CaseLLP)のレポートによると、JapanActのアクティビストとしての活動は、2019年のサンエー化研への株主提案が取り上げられているようです。
参考:WHITE&CASE―2019年6月総会の結果報告(アクティビストの最新動向)より(外部リンク) - ③日本経済新聞の特集企画に協賛している点
- 2020年6月30日の日本経済新聞朝刊に「~進むスチュワードシップ活動の高度化~ 開示拡充が進む運用会社の議決権行使」
という特集記事が掲載されており、「責任ある機関投資家」として有名企業とともにJapanActが載っています。
参考:日経新聞「進むスチュワードシップ活動の高度化」より(外部リンク)
世界で活躍する法律事務所から、第三者の目線で「日本株に対する、アクティビスト活動を行うファンド」としての実績を評価されていることは、非常にポイントが高い点です。
また、日本経済新聞といえば、日本経済新聞社が発行し、言わずと知れた日本を代表する新聞ですよね。
JapanActの今後の活動に、業界各所から期待されている証拠であるといえます。日本でいま、最も注目度の高いアクティビストファンドと言えるでしょう。
私がJapanActの検討で気になった3つのポイント
ここまではJapanActの運用手法や実績について説明してきました。様々な投資商品を見てきた私ですが、JapanActに投資する上で気になった部分があったことも事実です。ここからはその気になった部分について、解説していきます。
私募ファンド型の合同会社の形態が怪しい
正直、この「私募ファンド」「合同会社」という2つのキーワードを聞いたとき、最初は「少し怪しいのではないか?」と思いました。
担当者から説明されて、私の単なる知識不足であったと今では反省しています。
では、この形態はどんなメリットがあるのか?
すでにご存知の方もいるとは思いますが、Google、Amazon、Appleといった有名な外資企業から、西友、DMM.com、乃木坂46といった国内企業もあり、最近では合同会社の数は増えてきています。
合同会社は、株式会社と異なり資料の公告の義務がなく、運営コストも抑えられるため運用のパフォーマンスを追求しながら、重要な機密情報を守ることができるといったメリットがあります。
特に、どこの銘柄を持っている、どんな働きかけをしているのかといった水面下で活動することが多いアクティビストファンドにとっては最適な組織形態になっています。
金融庁への届け出がないのはなぜ?
金融庁が提供している情報をネットで確認してみると、登録がありませんでした。ここで私はさらに疑問を感じ「怪しい」と思いました。
なので、これは私も知り合いの法律の専門家に確認して調査しました。
その結果、そもそも合同会社の社員権購入による出資契約は、金融商品に該当しないため、金融庁への登録が必要ないということがわかりました。
それでも、金融ライセンスの有無を問う声も多いので、担当者にこのことをぶつけたところ、実際は、金融庁からのヒアリングが入るため、都度応対しているそうです。
また、株主提案や委任状勧誘、大量保有報告書など目立つことも多いアクティビストは、日頃から当局との連携を図っているとのことでした。
公開情報が少ない?
この記事を読んでいる方が共通で思うことの一つにアクティビストとしての実績はあるものの、それ以外のJapanActの情報がかなり少ないということではないでしょうか。
なかには、投資している人をはじめ、個人的に情報発信している方もいますが、情報の真偽が定かではありません。
以前、私も気になったので担当者に確認したところ
「アクティビストの戦略・保有銘柄などは公開すべき情報ではありません」
このように回答されました。当時の私はアクティビストに対してそこまで知識があったわけではなかったため、もう少しわかりやすく説明してもらえないかとお願いしました。
答えをシンプルに言えば、情報を公にすると安く仕込めなくなる可能性があるためです。安く仕込んで保有率を上げて、影響力を増しアクションを起こすアクティビストとしては、当然のことだったんですね。
実際には、オフレコだそうですが、何も話せないというわけではないようなので、面談で詳細説明を受けてみるのもいいでしょう。
要確認!税金面で注意すべき点とは?
一般的な投資ファンドの場合には、パススルー課税の適用により法人や投資組合などで、発生した利益対して直接組織では課税されず、利益や配当を受け取る出資者において課税されます。つまり税金の徴収は1回です。
しかし、合同会社の場合、パススルー課税が適用されません。そのため、JapanActでは法人の所得税を徴収された後、配当を受け取る出資者側でも確定申告を行うことになり、いわゆる二重課税になります。
個人で出資した場合には総合課税扱いになり、実際にどのくらいの所得税を払う必要があるのかは、その人の収入状況などによって変動します。ただ、配当控除という控除が受けられることになるため、実際にはそこまで大きな負担にはならない可能性があります。
この辺りに関しては担当者、又は税理士等に確認して、必ず自分の現状と照らし合わせて判断するようにしましょう。
以上、JapanActに関してまとめてみました。
私募型ヘッジファンドということで、公式HPでは情報があまり公開されていない点は懸念材料です。ただ、ヘッジファンドの特性を考えれば、今後も運用手法などの情報が公開されないのは仕方ありません。
面談時には情報を公開してくれるので、より詳しく知りたい方、出資を検討している方は一度面談してみることをおすすめします。