AIを利用したヘッジファンド「ツーシグマ」の投資戦略とファンドマネージャーは?

ツーシグマ・インベストメント(Two Sigma Investments)はニューヨークに本拠地を持ち、Two Sigma Japan, Ltd.という日本におけるオフィスを持つヘッジファンド会社です。

データサイエンスを分析に用いて、実際の運用はAIがおこなうことにより米国株の代表的な指数S&P500のリターンを大きく上回る成績を出し、大変魅力的なファンドといえます。

この結果に魅せられ、投資をしてみたいと思われる方も多いのではないでしょうか。

しかし、実際投資できるかどうか分からない、情報がないということでこの記事にたどり着いたかと思います。

そこで、この記事ではツーシグマに関して、記事の前半では概要や戦略、後半では利回りや投資額について解説していきます。

ツーシグマの概要

会社名 ツーシグマ・インベストメント
(Two Sigma Investments, LP)
東京オフィス Two Sigma Japan, Ltd.
設立 2001年
創設者 ジョン・オーバーデックデビッド・シーゲル
本社所在地 100 Avenue of the Americas 16th Floor
New York, NY 10013
東京オフィス所在地 東京都港区南青山2-24-11 フォーラムビルディング
従業員数 約1,600人

ツーシグマは2001年にジョン・オーバーデックとデビッド・シーゲルによって設立されたヘッジファンド会社です。本拠地はニューヨークですが、北米に多くの拠点を持ち、ヨーロッパ・アジアにも拠点を持っています。東京の南青山にもツーシグマのオフィスがあります。

ヘッジファンド会社を調べる上で、実在しているかどうか確認することは重要です。

東京オフィスに関しては日本に住んでいれば、実際にオフィスの住所まで足を運ぶこともできます。しかし、ニューヨーク本社に関しては難しいので、Googleマップで確認したところどちらも実在しているオフィスであることが分かります。

日本オフィスの存在は、国内の需要もあることを示しています。海外と国内とで投資の事情は大きく異なることは多いですが、日本でも通用する投資戦略は一体どのようなものなのでしょうか?

次の章で、ツーシグマの投資戦略上の強みを確認していきましょう。

ツーシグマの投資戦略

ツーシグマの投資戦略

ツーシグマはデータサイエンスに基づいたクォンツ運用をおこなうヘッジファンド会社です。これを実現するためツーシグマは次のような戦略を取っています。

  • 従業員総数は1,600人以上で3分の2が研究・開発をしている
  • 6,900以上のサーバーを有している
  • ヘッジファンドの運用におけるデータソースは10,000以上

ツーシグマは従業員のほとんどが研究・開発をしており、金融業界以外にも学術研究の分野にバックグランドを持った人が集まっています。AIによる運用を最適化するため、数多くのサーバーを有し、AIの機械学習のためのデータソースもあります。

経済分析によって投資対象の値動きを予想するのではなく、データサイエンスとテクノロジーを用いて値動きのパターンを見出し、運用を最適化することで利益をあげる投資戦略といえるでしょう。

ただし、ポートフォリオや運用システムは外部に公開されていません。運用システム自体がツーシグマの研究と開発によって作られた財産であるため秘匿する必要があるからです。そのため、投資家は具体的な運用について知ることができないまま投資することになります。

運用内容は、秘匿されていますが研究開発員の存在と、規模の大きなサーバーとデータソースが投資戦略を確かなものにする強みとなっています。

データサイエンスを徹底したファンドですが、この仕組みを作ったマネージャーは一体どんな人物なのか、明らかにすることでツーシグマの特徴が見えてきます。

ということで、次はファンドマネージャーの紹介をしていきます。

ツーシグマのファンドマネージャーは?

ツーシグマのファンドマネージャーは?

ツーシグマはジョン・オーバーデックとデビッド・シーゲルの2人が創業者兼ファンドマネージャーになります。

ジョン・オーバーデック

まずは、ジョン・オーバーデックの簡単な経歴を次の表にまとめました。

年度 出来事
1969年 上級数学者の息子として生まれる
1986年 第7回国際数学オリンピックで銀メダルを獲得
2001年 デビッド・シーゲルと共にツーシグマを設立
2017年 米国アカデミー・オブ・アチーブメントのゴールデンプレート賞を受賞
2019年 第17回年次ヘッジファンド産業賞でマネージャー生涯業績賞を受賞

数学者のジョン M. オーバーデッキ博士の息子として生まれました。16歳のときに自身も数学の分野で功績を残すと、数学をなにかに活かしたいと考えるようになります。

ジョン・オーバーデックは数学を資産運用に活かすことを考え、デビッド・シーゲルと共にツーシグマを設立しました。その後、ツーシグマはわずか5年間で運用資産額を50億ドルから280億ドルにして急成長をとげました。

その後もファンドマネージャーとして様々な賞を受け、デビッド・シーゲルと同様にファンドマネージャーとして評価されています。

デビッド・シーゲル

デビッド・シーゲルの経歴は下記の通りです。

年度 出来事
1961年 誕生
1999年 Blink.comを設立
2001年 ジョン・オーバーデックと共にツーシグマを設立
2011年 慈善活動の一環としてSiegel Family Endowmentを設立
2014年 同じく慈善活動の一環としてScratch Foundationを設立
2017年 Siegel Family Endowmentが合計50の組織に助成金を提供

デビッド・シーゲルは1961年に誕生したコンピューター科学者であり起業家です。1999年にユーザーのブックマークに関連する新しいサイトを自動的に検索するBlink.comというウェブサービスを設立しました。

2001年にジョン・オーバーデックと共にツーシグマを設立した後に、Siegel Family EndowmentとScratch Foundationというコンピューターサイエンス教育に関する慈善活動をおこなう組織を設立しています。Siegel Family Endowmentは2017年時点で50の組織に助成金を提供してきました。

ヘッジファンドのファンドマネージャーだけではなく、慈善家としての側面があることが分かります。

2人のファンドマネージャーには役割分担があり、ジョン・オーバーデックが運用モデルの提案、デビッド・シーゲルがエンジニアリングを担当しています。

ジョンが数学者として企画をし、シーゲルが形にする両輪で一つのためどちらもかけてはならない存在といえます。

そのプロフェッショナル2名は、どのような結果を出し続けているのでしょうか?実際の利回りについてみていきましょう。

ツーシグマの利回り

ツーシグマの利回り

結論から言うと残念ですが、ツーシグマは具体的な利回りやリターンを公開していないので、実際に投資をして受益しない限りは利回りを知ることは難しいでしょう。

しかし、RCM Alternativesで公開されているツーシグマのコンパス US ファンドとS&P500のリターンを比較したデータでは、コンパス US ファンドの長期リターンはS&P500を大きく上回っています。

ツーシグマのコンパス US ファンドとS&P500のリターンを比較したデータ
引用:RCM Alternatives COMPASS US FUND

上記の指標に加え、運用を開始からわずか5年間で運用資産を50億ドルから280億ドルの5倍にした実績を考えると、ツーシグマはこれまでも高いリターンを獲得し続けてきたことが分かります。

ツーシグマの投資方法と最低投資額

ツーシグマの投資方法と最低投資額

ツーシグマの運用するコンパス US ファンドの最低投資金額は100万ドルとなっており、投資するには1億円以上の資産が必要になります。人気のヘッジファンド会社であるため、最低投資額のハードルをあげる形で投資を制限していることが考えられます。

また、海外のヘッジファンドに投資をするなら契約書を英語で読む必要があります。

契約書を未確認のまま、投資するのはリスクが高いので、英語が読めない方は投資助言会社を活用することになります。その場合は、仲介手数料がデメリットになります。

英語に抵抗がない方は、まずは公式サイトからお問い合わせをし、ツーシグマが発行するニュースレターやメルマガで情報を集めてみてはいかがでしょうか?

情報公開が少なく、日本からでは情報収集が困難であるため、総合的に考えて投資するのは難しいといえるでしょう。

ツーシグマの口コミ・評判

ツーシグマの口コミ・評判は下記の通りです。

ツーシグマに実際に投資している人の口コミ・評判を確認できませんでした。しかし、ツーシグマを含む数理モデルを利用したヘッジファンドの運用手法に関しては多くの賛否両論がありました。

ツーシグマは東京にオフィスを持ち、インターンやアルバイトも募集しているので、実際にアルバイトやインターンに参加した人の意見が見られます。年収が高い傾向にあるヘッジファンド会社ですので、アルバイトやインターンに対しても報酬もよいため、実際に働いた人からの評判は良いようです。

また、新型コロナウイルスの影響でツーシグマの運用は苦戦を強いられているので、そのことを指摘する意見もありました。最後にコロナの影響によるツーシグマの動向を解説していきます。

コロナの影響によるツーシグマの動向

コロナの影響によるツーシグマの動向

ツーシグマの運用成績はコロナ禍の2021年1月で、アブソルート・リターンが-5.3%、アブソルート・リターン・エンハンストは-8.6%であり、その他のファンドのリターンもほぼ0であったと関係者が明かしているようです。

上記の2つはツーシグマが運用しているファンドになります。後者は、2019年のリターンも年間で2.5%であり、コロナ禍の前から運用に苦戦していたようです。

ツーシグマのデータサイエンスを用いた運用モデルはコロナの前例のない相場には対応できない結果となりました。しかし、ツーシグマがこれまでS&P500の成績を上回る実績を出してきたので、状況が落ち着けば再びデータサイエンスによる運用が活きてくる可能性があります。

しかし、コロナ相場の中でも利益をあげているヘッジファンドも存在します。コロナ禍においてはツーシグマのヘッジファンドよりも優秀なファンドが存在しているのは事実です。

参考:Bloomberg

まとめ

ツーシグマのヘッジファンドについて解説しましたが、記事のポイントは以下の通りです。

  • データサイエンスとテクノロジーを重視したAI運用をおこなう
  • 創設者はジョン・オーバーデック、デビッド・シーゲル
  • ファンドの情報は基本的に一般に公開されていない
  • コロナの影響で運用成績は悪化している

ツーシグマのヘッジファンドへの投資は難しく、コロナ禍である2021年現在の運用成績は悪化しているようです。海外のヘッジファンドよりも日本のヘッジファンドを選ぶほうが、言語の問題や、仲介手数料の問題を気にせず投資ができます。ヘッジファンドへの投資を悩んでいるなら日本のヘッジファンドも検討してみましょう。

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