ひふみプラス(投信)が不調な3つの理由とは?解約前に要確認!

2017年にテレビで取り上げられ話題を呼んだひふみプラス(ひふみ投信)ですが、今でも証券会社の投資信託の販売ランキングで上位に入る人気の投資信託です。

しかし、近年は運用成績がよくないことから不調であると言われており解約件数も増えています。

このような意見が増えると継続して投資をしている方は「解約したほうがいいのかも・・・」と不安を覚えると思いますし、購入を検討している方は「別の投資信託に投資をしたほうがいい」と考えるかもしれません。

ですが、そう単純な話ではありません。

この記事では、ひふみプラスの商品性について解説しながら、ひふみプラスが不調と言われる原因について解説します。不調であるという言葉をそのまま受け取らず、公平な判断で売却するか、購入するか検討してみましょう。

ひふみプラス(ひふみ投信)とは?

ひふみプラス(ひふみ投信)とは?

ひふみプラスはレオス・キャピタルワークス株式会社が運用する、成長性の高い日本株をメインに投資するアクティブファンドです。

ひふみプラスとひふみ投信は基本的に同じ商品ですが、販売方法によって名前が異なります。ひふみ投信はレオス・キャピタルワークスが直接販売している商品で、ひふみプラスは証券会社や銀行を通して販売される商品です。

もし、インターネット証券で購入したのであれば「ひふみプラス」を購入したことになります。

どちらも同じ商品ではありますが、ひふみプラスで証券会社や銀行を通した場合は販売手数料がかかります。一方、ひふみ投信を購入した場合は5年間保有すると、運用手数料である信託報酬が割安になるなど手数料面で優れている点が多いです。

しかし、ひふみプラスもひふみ投信も投資先はまったく同じであり、これから解説することはひふみプラスにもひふみ投信にもあてはまることなので、ここからはどちらも「ひふみプラス」という名称で解説していきます。

ひふみプラスは、2017年にテレビ東京で放送された「間違いだらけの"日本の投資"に変革を―成長企業を見抜くカリスマが明かす投資術!」で取り上げられたことで大きな話題を呼びました。

2008年から運用を開始した投資信託で、2017年当時の運用成績は好調であったため貯金の代わりにひふみプラスを始める人も多く、テレビで取り上げられたことで運用資産額も大幅に上昇しました。

しかし、2018年から運用成績が不調になり、2020年には新型コロナウイルスの影響で暴落しました。そのため、2017年にテレビの影響で投資をした方々の中にはひふみプラスを解約する方も増えています。

そのため、ひふみプラスを売却または解約するべきか悩んでいる方もいるかと思います。ひふみプラスの不調の原因を解説する前にまずはひふみプラスの特徴について解説していきたいと思います。

ひふみプラス(ひふみ投信)の特徴

まずは、ひふみプラスの商品性について理解しておきましょう。ひふみプラスの特徴は3つあります。

  1. 守りながら資産を増やす安定を重視した運用方針
  2. 買い付け手数料と解約手数料がかからない
  3. アクティブファンドでベンチマーク以上の成績を目指す

特徴1:守りながら資産を増やす安定を重視した運用方針

ひふみプラスはリスクを抑えながらリターンを追求する中長期前提の投資信託です。

状況によって株式と現金の比率を変えており、市場が好調でリスクの低いときには株式の比率を上げ、市場が不調のときには株式の組み入れ比率を引き下げることでリスクを軽減します。

株式の組入比率は最大で50%まで引き下げられるようです。

そのため市場が好調なときは株式比率を上昇させて積極的に利益を得る運用方針をとり、市場が不調のときは株式の組み入れ比率を下げ資産を守るので、資産を守りながら増やす安定を追求した運用方針であるといえます。

特徴2:買い付け手数料と解約手数料がかからない

ひふみ投信は買い付け手数料と解約手数料がかからず、かかる手数料は運用手数料である信託報酬のみです。

ひふみプラスは購入する証券会社や銀行によっては買い付け手数料がかかることもありますが、インターネット証券であれば買い付け手数料が無料である場合が多いので、ひふみプラスには基本的に信託報酬以外の手数料はかかりません。

投資信託の買い付け手数料は運用のハンデであり、例えば3%の買い付け手数料が必要であれば3%以上の利益を得なければ運用成績が赤字となります。解約手数料も同様です。

そのため、買い付け手数料と解約手数料がかからないひふみプラスは運用のハンデがないため、運用手数料に運用成績が負けなければ利益が出せる仕組みとなっています。

特徴3:アクティブファンドでベンチマーク以上の成績を目指す

投資信託には大きく分けてインデックスファンドアクティブファンドの2種類があります。

インデックスファンドはベンチマークの指数に連動した運用成績を目指しますが、アクティブファンドは設定したベンチマーク以上の運用成績を目指します。

投資信託におけるベンチマークとは、米国の株式市場であればS&P500、日本の株式市場であればTOPIXなどの株価指数のことです。投資信託は運用をする際に指標となる指数を決めます。

ひふみプラスはアクティブファンドであり、ベンチマークであるTOPIXを上回る運用成績を目指し運用します。

ひふみプラスが2017年に好調であった理由も指数以上の運用成績を目指す運用方針をとったことが理由の1つとしてあげられます。

ひふみプラスの特徴について解説しましたが、ひふみプラスの商品性について理解したところでひふみプラスの不調の理由について解説していきます。

ひふみプラス(ひふみ投信)の不調の理由

ひふみプラス(ひふみ投信)の不調の理由

2016年~2017年のひふみプラスの運用成績は好調でしたが、2018年から2020年にかけて不調が続いている理由は以下の3つの原因があげられます。

  1. 国内株式市場自体の調子が悪いから
  2. アクティブファンドが優秀な商品とは限らないから
  3. 市場の期待感が高まり過ぎたから

原因1:国内株式市場自体の調子が悪いから

すべての投資信託に言えますが、市場が下落を続ければ投資信託の価格も下落しやすくなります。

アクティブファンドは積極的に利益を狙う運用方針ですが、投資信託で市場の流れを覆して利益を得ることは非常に難しいです。

なぜなら投資信託の運用方針は金融庁に監視されているので、投資信託では市場が不調のときにも利益を得られるような運用自体が難しいからです。

ヘッジファンドのように、監視されずに自由に運用できる商品であれば市場が不調のときにも利益を得ることは可能ですが、ひふみプラスのような行政の監視がある投資信託でヘッジファンドのような運用はできません。

そのため、ひふみプラスが不調というわけではなく2018年~2020年までの国内株式市場全体が不調であるため、ひふみプラスを含めた投資信託のほぼすべてが不調であるといったほうが正しいです。

原因2:アクティブファンドが優秀な商品とは限らないから

そもそも指数以上の運用成績を目指すアクティブファンドは一見、インデックスファンドよりも利益が得られる優秀な商品に見えますが、市場が上昇傾向にあるときは好調でも、下落傾向にあるときはインデックスファンドよりもマイナスが大きくなりやすいです。

また、アクティブファンドは運用コストがインデックスファンドよりも高くなる傾向にあります。ひふみプラスの信託報酬は1.0584%ですが、インデックスファンドであれば0.5%程度のものから、安いものでは0.1%程度の商品もあります。

アクティブファンドは市場が好調で上昇傾向にあれば、インデックスファンドよりも大きな利益を得られる可能性がある商品ではあります。

しかし、市場が不調となった場合は指数以上の成果を目指すためにインデックスファンド以上に損失が発生するリスクもあります。

また、年間の運用コストである信託報酬の差がアクティブファンドとインデックスファンドで0.5%以上あるのであれば、アクティブファンドがインデックスファンドに勝つためにインデックスファンドよりも0.5%以上高い利回りを出す必要があります。

投資信託は市場の流れに逆らって利益を得るのは困難であると説明しましたが、市場が不調であるときもインデックスファンドよりも0.5%以上高い利回りで運用できなければ、インデックスファンドのほうが投資先として優れているといえるのです。

ひふみプラスはアクティブファンドですが、アクティブファンドについて勘違いをしているとひふみプラスの商品性についても見誤ってしまいます。

原因3:市場の期待感が高まり過ぎたから

ここまでの解説をふまえるとひふみプラスは投資信託の中で優秀な商品であるとは言いにくいです。

テレビ番組で取り上げられて人気を確立しましたが、過大評価され相場の不調から結果が出せず期待感に答えられなかったことが不調であると言われる原因になったと考えられます。

アクティブファンドの商品性を考えれば、市場が好調であれば利益は得られますが中長期で運用するのであれば市場の好調は続かないので、不調になれば思うように利益は上げられません。

つまり、市場が好調の中で高い運用成績のみを見てひふみプラスを購入した投資家が、失望している状態にあるのです。

その原因が、市場が不調になったときにアクティブファンドがどのような値動きをするのか、また市場が不調になったときにインデックスファンドに手数料負けをしないかを投資家自身が考えなかったということにあります。

結論は、ひふみプラス自体が特別に不調というわけではなく、ひふみプラスを含めた投資信託すべてが市場の下落に合わせて運用成績が不調であるということです。

ひふみプラス(ひふみ投信)を売却するべきか

ひふみプラス(ひふみ投信)を売却するべきか

投資信託は中長期での運用を前提に考えるべきであり、ひふみプラスの5年間のトータルリターンを考えれば9.21%なので、成果は出せていることになります。

リスクを考えるならひふみプラス以外の投資信託にも分散投資する必要がありますが、今すぐひふみプラスを売却して他の資産運用に回したい場合を除いて解約する必要はありません。

先ほども説明した通り、株式市場自体が下落傾向にある場合はほとんどの投資信託が下落します。新型コロナウイルスの暴落でほとんどの投資信託の基準価額が暴落したように投資信託に市場の流れに大きく逆らう力はないからです。

しかし、投資信託の中でも分散投資をした方がリスクの分散になるので、ひふみプラスを今すぐ解約するよりも今後のひふみプラスへの積立投資額を減らし、今後は別の投信に積立投資をしてもよいでしょう。

ひふみプラス自体が特別に不調というわけではなく、市場の期待感が高まり過ぎた結果なので、すぐに解約しなければならないほど危うい状態というわけではありません。

焦る必要はないので、ひふみプラスの積立投資や、売却についてじっくり検討しましょう。

ひふみプラス(ひふみ投信)以外でおすすめの投資信託

指数以上の成果を積極的に狙うアクティブファンドに投資をしているのであれば、リスクのバランスを考えて、指数通りの運用成果を目指しますが手数料が安くリスクの少ないインデックスファンドにも投資を検討しましょう。

ひふみプラスから積立投資先をインデックスファンドに変更してもよいですし、場合によってはひふみプラスを売却したお金をインデックスファンドに投資してもよいでしょう。

ここからはおすすめの投資信託を2つ紹介します。

ニッセイ外国株式インデックスファンド

ニッセイ外国株式インデックスファンドは、ニッセイ アセットマネジメント株式会社が運用する日本を除く主要先進国に投資をするインデックスファンドで、信託報酬は0.1023%と非常に手数料が安いです。

ベンチマークはMSCIコクサイ・インデックスでインデックスファンドなのでこの指数に連動して運用します。

買い付け手数料と解約手数料も無料で、多くのインターネット証券会社で販売ランキング上位にランクインしており、世界の主要先進国に投資できる優秀な投資信託です。

eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)

eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)は、三菱UFJ国際投信が運用するアメリカの株式市場平均で基準となる指数S&P500に連動するインデックスファンドで、信託報酬は0.1%を切っています。

買い付け手数料と解約手数料もなく、数ある投資信託の中でも最高レベルの手数料の安さを誇ります。

投資信託を長期で運用するのであれば、一時的に利益を他の投信よりも得られることよりも手数料の安さが重要になってきます。

この投資信託は100円から購入できるので少額で投資をしたい人にも購入できることも魅力です。

利益を追求したいならヘッジファンドがおすすめ

利益を追求したいならヘッジファンドがおすすめ

ここまでの話をまとめるとひふみプラスのようなアクティブファンドは市場の流れに逆らって利益を得ることは難しいので、結果的にコストの低いインデックスファンドのほうが最終的な利回りが高くなる傾向にあります。

しかし、ひふみプラスを選んだ方であれば積極的に利益を得る方針で資産を運用したいと考える人も多いでしょう。

ヘッジファンドであればアクティブファンド以上に利益を追求した運用ができるので、市場が不調であっても利益を上げることが可能です。

ヘッジファンドは金融庁から運用方針の監視がないので、空売り先物取引も積極的におこなうので市場が不調でも積極的に利益を得ることが可能であり、レバレッジにも制限がないので投資信託以上に実績を上げているヘッジファンドが多くあります。

レバレッジとは他の人の資産を借りて大きなリターンを狙う投資方法で、レバレッジはかければかけるほどリスクもありますがリターンが大きいです。

ヘッジファンドはリスクをヘッジするファンドという意味であり、市場が好調であっても不調であってもリスクを回避し、運用方針に制限がないので徹底的に利益を追求してくれます。

ひふみプラスに投資をした方が、実際に求めていたものがヘッジファンドであると思った場合、投資信託だけではなくヘッジファンドも検討してみましょう。

ただし、ヘッジファンドに投資をするためには1,000万円以上の資産が必要なので、必要があればひふみプラスを解約してヘッジファンドへの投資の資金としてもよいかと思います。

まとめ

ひふみプラスが不調と言われる理由は、ひふみプラスという商品自体への過度な期待感が大きな原因です。実際にはひふみプラス以外の投資信託も不調であり、2018年~2020年における国内株式市場の不調がこの事態を招いているといえます。

そのため、「今すぐ売らなきゃマズイ」といったことはなく、公平な目で見て今後も投資を続けるのか、売却するべきか冷静に判断してほしいと思います。

投資信託にはひふみプラス以外にも魅力的な商品があり、ひふみプラス以上に積極的に利益を狙いたい人はヘッジファンドへの投資を考えてもよいでしょう。

一番大切なことは人気や不調という言葉に踊らされず、商品性を判断して投資することです。

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