Wealth Navi(ウェルスナビ)は資産をAIで自動運用してくれる「ロボアドバイザー」サービスです。2015年に設立され、自動運用サービスの提供は2016年から行っています。
比較的新しいサービスですから、気になるのはその運用実績ですよね。
ウェルスナビに、仮に1,000万円預けていたらいくらになっていたか、その実力を確認してみましょう。
この記事では、ウェルスナビとはどのようなサービスなのかを整理し、どのくらいの運用結果が出せるのかを解説していきます。
ウェルスナビってなに?
まずはウェルスナビの概要をまとめましょう。
運用一任型のロボアドバイザー
ウェルスナビは、資産を自動で運用してくれるロボアドバイザーです。簡単なアンケートに答えるだけで、AIが投資家のリスク許容度を判断し、それに応じた資産運用を行ってくれます。
ETFを通じて世界中の資産に分散投資
ウェルスナビの投資対象は米国に上場しているETF(上場投資信託)です。各資産に連動するETFを組み合わせ、投資家一人ひとりのリスク許容度に合わせてポートフォリオを構築します。
2016年1月~2020年8月の運用実績
ウェルスナビは、リスク許容度別に過去の積み立て運用の実績を公開しています。確認してみましょう。
積み立てモデルでは14.7~26.6%のプラスに
ウェルスナビが公開している運用実績の前提は以下の通りです。
- 運用期間は2016年1月~2020年8月(4.58年 55か月)
- 最初に100万円投資し、その後3万円ずつ積み立て投資する
この前提で運用した場合、以下の通りになりました。
いずれのリスク許容度でもプラスの運用となり、またリターンはリスク許容度が高いほど高くなりました。この期間では、リスクを取った方が高いリターンを得られたようです。
積み立てモデルから計算すると年利は4.5~7.5%
運用は順調にいっているようですが、前提が複雑なので年利が少しわかりにくいですね。ウェルスナビが公開している運用実績から計算すると、リスク許容度1で年利は約4.5%、リスク許容度5で年利は約7.5%となりました。
- リスク許容度1の年利(実績):約4.5%
- リスク許容度5の年利(実績):約7.5%
比較の参考に、2020年8月末時点の「全世界株式」の利回りは以下の通りです。
〇全世界株式(円建て)の1年あたりの実績利回り(MSCI ACWI Index JPY)
- 直近5年:7.89%
- 直近3年:8.21%
ウェルスナビは株式以外にも分散投資しています。リスク許容度5では、分散投資しながら株式のみの運用とほぼ同じリターンを獲得しました。まずまずの運用といえるのではないでしょうか。
1,000万円を一括で預けていたなら1,220~1,390万円に
上述したウェルスナビの運用実績から、仮に同じ期間ウェルスナビに1,000万円を預けていたとすると、リスク許容度1の運用では1,222.8万円に、リスク許容度5の運用では1,391.7万円になっていたとわかります。
ウェルスナビの運用戦略「国際分散投資」とは?
ウェルスナビの運用戦略「国際分散投資」について詳しく確認しましょう。
6~7のETFを通じ、1万銘柄以上に投資
ウェルスナビは米国に上場している複数のETFに分散投資しています。ETFそれぞれが複数の銘柄に分散投資していますから、ウェルスナビ全体では約50か国、1.1万銘柄に分散投資しています。
ウェルスナビが投資しているETFをそれぞれ確認してみましょう。
3つの株式ETF 「米国」「日本+欧州」「新興国」
ウェルスナビが投資している株式ETFは以下の3銘柄です。
ETF(ティッカー) | 説明 | 銘柄数 | 上位5銘柄 |
---|---|---|---|
米国株式(VTI) | アメリカ株式全体へ投資 | 3,535銘柄 | ・マイクロソフト ・アップル ・アマゾン ・アルファベット ・フェイスブック |
日欧株式(VEA) | アメリカを除く先進国へ投資 | 3,951銘柄 | ・ネスレ ・ロシュHD ・サムスン電子 ・ノバルティス ・トヨタ自動車 |
新興国株式(VWO) | 新興国の株式へ投資 | 5,066銘柄 | ・アリババ ・テンセント ・台湾セミコンダクター ・中国建設銀行 ・ナスパーズ |
株式以外のETF 「債券」「金」「不動産」
株式以外のETFでは下記4本に投資しています。
ETF(ティッカー) | 説明 |
---|---|
米国債券(AGC) | アメリカの債券に投資 比較的リスクの低いが、インフレ下では目減りしやすい |
物価連動債(TIP) | 物価に連動するアメリカの国債に投資 通常の債券よりインフレに強い特徴を持つ |
金(GLD) | 金価格に連動するETF 古くから「安全資産」として認められている |
不動産(IYR) | アメリカの不動産市場に投資 賃料などの収入が期待でき、インフレにも強い |
それぞれのETFを投資家のリスク許容度に合わせ組み合わせる
ウェルスナビは、これまで紹介した7つのETFを、利用者のリスク許容度に合わせて組み合わせ、1つのポートフォリオを構築しています。一般的に、リスク許容度が低いほど株式の割合が低くなり、リスク許容度が高いほど株式の割合が高くなります。
参考:ウェルスナビ WealthNavi の資産運用アルゴリズム
ウェルスナビ 2つのメリット
ウェルスナビには、主に2つのメリットがあります。一緒に確認しましょう。
メリット1:手軽に世界中のさまざまな資産へ分散投資できる
ウェルスナビは50か国、1.1万銘柄に分散投資しています。これを自分で行うのは簡単ではないでしょう。
ウェルスナビを利用すれば、簡単に世界中のさまざまな資産に分散投資できます。
メリット2:資産のメンテナンスを自動で行ってくれる
ウェルスナビは、運用中のメンテナンスも自動で行ってくれます。資産運用のメンテナンスにはいくつか手順があるでしょうが、ウェルスナビは主に以下2つを行ってくれます。
資産割合の調整「リバランス」
分散投資をしていると、最初に割合を決めても、それぞれの値動きに違いがあるため、どうしても割合が変わってきてしまいます。変わってしまった割合を元に戻すことを「リバランス」といいますが、ウェルスナビは自動でリバランスを行ってくれるメリットがあります。
海外の二重課税を最適化「DeTAX(デタックス)」
海外へ投資する場合、現地と日本で二重課税になってしまう可能性があります。海外投資による二重課税の負担を解消する手続きを「デタックス」といいます。
デタックスは自分で申告すれば適用を受けられますが、少し面倒かもしれません。ウェルスナビはデタックスを自動で行ってくれる仕組みを持っていますので、面倒な手続きを踏まなくても税負担を最適化してくれるメリットがあります。
ウェルスナビのキャンペーン
ウェルスナビは以下のようなキャンペーンを行っています。
キャンペーン | 概要 | 期間 |
---|---|---|
サービス公開4周年記念キャンペーン | 対象者に最大5万円プレゼント | 2020.8.8~2020.9.30 |
友達応援キャンペーン | 紹介を受けた方に1,000円プレゼント | 2020.7.1~2020.8.31 |
夏のボーナスキャンペーン | 対象者に最大10万円プレゼント | 2020.7.1~2020.8.7 |
キャンペーン情報は随時更新されていますので、利用の前には必ず期間と条件を確認しましょう。
参考:キャンペーン : WealthNavi(ウェルスナビ)
ウェルスナビの利用時の注意点は?
ウェルスナビを利用する前に、注意点をまとめて確認しておきましょう。
注意点1:投資先ETFのコストのほか、ウェルスナビのコストが年1%掛かる
ウェルスナビでは取引コストに注意が必要です。投資先ETFの保有コストに加え、ウェルスナビ独自の保有コストが1.1%(税込)も掛かるためです。ETFの保有コストは以下を参照してください。
ETFの保有コスト | ウェルスナビの保有コスト | |
---|---|---|
米国株 | 0.03% | 1.10% |
日欧株 | 0.05% | |
新興国株 | 0.10% | |
米国債券 | 0.04% | |
物価連動債 | 0.19% | |
金 | 0.40% | |
不動産 | 0.42% |
注意点2:リスクがある 元本保証ではない
ウェルスナビが投資しているETFは、すべてリスクがあり、損をする可能性があります。運用をAIに任せることができますが、絶対に損をしないわけではありませんので注意しましょう。
特に為替リスクに注意 ETFはすべて米ドル建て
ウェルスナビの投資対象は米国ETFなので、資産は基本的に米ドル建てで運用されています。したがって、為替リスクの影響がありますので注意しましょう。
注意点3:しっかり分散しているので、極端に大きなリターンは得にくい
ウェルスナビは、世界50か国1.1万銘柄に幅広く分散投資しています。リスクの低い運用が期待できますが、極端に大きいリターンを得られる可能性は少ないでしょう。
積極的に大きなリターンを狙いたい場合、ウェルスナビでない方がよいかもしれません。
ウェルスナビに向いている人、向いていない人の特徴
ウェルスナビに向いている人、または向いていない人の特徴を以下にまとめました。
ウェルスナビに向いている人 | ウェルスナビに向いていない人 |
---|---|
・運用をすべてお任せしておきたい ・大きなリターンを得たい | ・しっかり分散投資したい ・固定コストに納得がいかない (成果報酬型のコストにしたい) |
ウェルスナビは、資産をしっかり分散投資して運用したい方で、しかもそのポートフォリオの決定やリバランスを自動で行いたい方に向いています。
ウェルスナビが投資対象は自分で個別に買うこともできるので、自分でポートフォリオ等を決められる方は、自分で行った方がコストパフォーマンスは高くなります。
ただし、より大きなリターンを得たい方はウェルスナビ以外の方法がよいでしょう。幅広く分散投資しているため、極端に大きなリターンは得にくい運用法です。ウェルスナビ独自のコストに納得できない方も、別の方法がよいでしょう。
ウェルスナビに向いていない人におすすめする投資法
ウェルスナビに向いていない人は、以下のような資産運用がおすすめです。
ヘッジファンド 運用を任せつつ、高いリターンを追求
資産の運用を任せつつ、高いリターンを追求できるのがヘッジファンドです。
ヘッジファンドは「絶対収益を追求する」点に特徴があります。相場の影響をできるだけ受けないような運用戦略を駆使し、常に安定的な収益を獲得しようとします。
運用を任せつつ、より高いリターンを狙いたい方はヘッジファンドがおすすめです。
株式投資 自分で投資判断し、高いリターンを狙う
銘柄の選別や売買の判断を自分で行いつつ、高いリターンを狙いたいなら株式投資がおすすめです。
運用の判断をすべて自分で判断しないといけない代わりに、低コストで資産運用が可能です。ハイリスクでもありますが、高いリターンを狙える資産運用方法です。
ウェルスナビまとめ
本記事の内容を以下にまとめます。
- ウェルスナビ実績の年利は4.5~7.5%
- ETFの保有コスト以外+1.1%の保有コストが掛かる
- 高いリターンは追求しにくい
- 運用を任せながら高いリターンを狙うならヘッジファンドがおすすめ
- 取引判断を自分で行いたいなら株式投資がおすすめ
ウェルスナビは資産を世界中の資産で自動運用することができるロボアドバイザーサービスです。運用に手間が掛からない代わりに、保有コストと高いリターンを得にくい注意点もあります。
運用を任せて、かつ高いリターンを狙いたいならヘッジファンドを、自分で投資判断を行いながら高いリターンを狙いたいなら株式投資をおすすめします。