なぜ5000万円あるなら投資すべきか?おすすめポートフォリオ例を紹介

もしあなたが5,000万円の資産を持っている場合、投資を検討しましょう。単純にお金を増やせるという理由だけでなく、資産を減らさないという観点からも投資をおすすめできます。

なぜ5,000万円あるなら投資をすべきなのか、本記事で簡単に確認しましょう。

5000万円あったら投資を検討すべき3つの理由

知っておくべき3つの理由を掲げる

5,000万円あるときに投資を検討すべきなのは、以下3つの理由からです。

  • 使うだけなら18年で枯渇する
  • 20年のインフレで価値が30%以上失われる
  • 利回り3.6%の運用で富裕層入りできる

使うだけなら18年で枯渇する

5,000万円は大金ですが、それだけで生活することは難しいでしょう。「家計調査(2020年)」によると、総世帯の支出額の平均は233,568円でした。この金額で5,000万円を取り崩したとき、17年10カ月で残高は16,448円になり、翌月にマイナスに突入します。

人生100年時代といわれているなか、18年に満たないのはやや心もとない数字といえるでしょう。ある程度の利回りで5,000万円を運用すれば、同じ金額でも長く取り崩せます。

20年のインフレで価値が30%以上なくなる

「使わなければ問題ない」と考えるかもしれません。
しかし、実は使わなくても5,000万円の価値が実質的に失われるケースがあり得ます。それは「インフレ」、つまり物価上昇によるものです。インフレが起こると、5,000万円を使わなくても価値は下落していきます。

具体的な例で考えてみましょう。例えば1万円の商品を買うとき、5,000万円あれば5,000個買えます。
しかし、2%のインフレで商品が1万200円に値上がりすると、5,000万円でも4,901個しか買えません。これはインフレ前の4,901万円に相当します。

つまり、2%のインフレで約100万円分の価値が実質的に失われたと考えられるのです。

同様に2%のインフレが起こり続けたと考えると、5,000万円の実質的な価値は20年で約3分の1に相当する1,600万円以上が失われ、35年で半減します。

2%のインフレ下における5,000万円の実質的な価値の推移
年数 物価 現在5,000万円の実質的な価値
5年後 1.10倍 4,528万円
10年後 1.22倍 4,101万円
15年後 1.35倍 3,715万円
20年後 1.49倍 3,365万円
25年後 1.64倍 3,048万円
30年後 1.81倍 2,760万円
35年後 2.00倍 2,500万円
40年後 2.21倍 2,264万円

つまり、5,000万円は使わなくても実質的に失われる可能性があるのです。「使わなければ減らない」と安易に考えないようにしましょう。

ちなみに「消費者物価指数(総合指数、全国)」によると、1970~2021年では平均2.3%のインフレが起こり、直近では2014年に2.74%のインフレが起こりました。
また日本銀行は2%のインフレを目指して金融緩和を行っています。2%程度のインフレは起こり得ると思っていたほうがいいでしょう。

利回り3.6%の運用で富裕層入りできる

上述した2つの理由は5,000万円の減少というネガティブな要因でしたが、今度は増やす方向でも考えてみましょう。

5,000万円は、実は「富裕層」の一歩手前です。野村総合研究所は、純金融資産(※)が1億円以上ある世帯を富裕層としています。

※純金融資産:金融資産から負債を差し引いた額

世帯クラスと純金融資産
クラス 資産
超富裕層 5億円以上
富裕層 1億円以上
準富裕層 5,000万円以上 
アッパーマス層 3,000万円以上
マス層 3,000万円未満

現在5,000万円ある場合、約3.6%の利回りで20年運用すると1億円に到達します。資産3,000万円の「アッパーマス層」では同じ条件でも約6,000万円にまでしか増えません。アッパーマス層が20年で1億円を目指すには約6.2%もの利回りが必要です。

利回り3.6%で運用した場合
開始時 5,000万円 3,000万円
5年後 5,967万円 3,580万円
10年後 7,121万円 4,273万円
15年後 8,499万円 5,099万円
20年後 1億143万円 6,086万円

5,000万円あれば富裕層入りはそう難しい目標ではないでしょう。投資をして、富裕層入りを目指してみてはいかがでしょうか。

5000万円の投資シミュレーション

時間と利回りでシミュレーションを行う

5,000万円を投資したとき、どれくらい増えるかシミュレーションしてみましょう。利回りを1~10%までの5種、期間を10~30年の3種で考えたとき、5,000万円はそれぞれ以下のようになります。

5,000万円投資シミュレーション
利回り 10年後 20年後 30年後
1% 5,523万円 6,101万円 6,739万円
3% 6,720万円 9,031万円 1億2,136万円
5% 8,144万円 1億3,266万円 2億1,609万円
7% 9,836万円 1億9,348万円 3億8,061万円
10% 1億2,969万円 3億3,637万円 8億7,247万円

高利回りの結果に目がいきますが、注目は低利回りのシミュレーションです。1%や3%といった低い利回りでも、運用期間が長くなると資産は大きく成長していることがわかります。これは「複利(ふくり)」が働いているためです。

複利とは得られた利益を再投資し、次の利益をさらに大きくする運用方法です。例えば5,000万円の3%は150万円ですが、これを再投資し5,150万円で運用すると、同じ3%でも154万5,000円に利益が増加します。これを繰り返す方法が複利であり、運用期間が長くなるほど利益額が大きくなります。

5,000万円を投資する場合、複利が効果的に働くようできるだけ長期投資を検討しましょう。

5000万円のおすすめ投資ポートフォリオ

資産を組み合わせて投資する

「ポートフォリオ」とは資産の組み合わせを指します。
5,000万円という比較的まとまった資産を投資するとき、1つの資産ではなく複数の資産に分散投資し、ポートフォリオを組みましょう。

では、どのようなポートフォリオを作ればいいのでしょうか?
「安定重視」と「利回り重視」、それぞれにおすすめのポートフォリオを紹介します。

安定重視ポートフォリオ

高いリスクを取らず安定的に運用したい方は「預金」と「債券」で以下のようにポートフォリオを組んでみてはいかがでしょうか。

  • 預金:20%
  • 債券:80%

預金(普通・定期)

預金商品は私たちにもっとも身近な金融商品といえるでしょう。元本が保証されているため、安定的に運用したいときの代表的な選択肢です。

預金は大きく「普通預金」と「定期預金」に分けられます。普通預金は預入期間に制限がなく自由に引き出せますが金利が低く、定期預金は金利が比較的高いですが預入期間が定められているため、引き出しに制限があります。

もっとも、どちらを選んでも利回りにはそう期待できません。日本銀行によると、両者の平均金利は普通預金で0.001%、定期預金で0.003%です。5,000万円の0.003%は1,500円ですから、預金ではほとんど増えないことがわかります。

預金商品の平均金利
  • 普通預金:0.001%
  • 定期預金:0.003%

※2022年1月19日時点
※「定期預金」は預入期間5年目まで

銀行を選べばもう少し高い金利のものも見つかるでしょう。
例えば2022年1月22日時点において、「あおぞら銀行BANK支店」は普通預金でも0.2%の金利が設定されています。5,000万円なら10万円の利息を受け取れる計算です。

金利が比較的高い銀行の例
銀行 利回り 備考
あおぞら銀行BANK支店 0.20% 普通預金
オリックス銀行 0.25% eダイレクト預金、5年もの
SBJ銀行 0.25% ミリオくん2、2年もの

※2022年1月23日時点

とはいえ、やはり利回りは高いとはいえません。この程度の利回りではインフレによる実質的な価値の低下を避けることは難しいでしょう。

したがって、安定重視のポートフォリオを組む場合でも、預金の比率は低く抑えるようおすすめします。

債券

安定重視ポートフォリオの利回りを支えるのは「債券」となるでしょう。
債券とは、国や企業などが利息と元本の支払いを約束して資金を集める有価証券です。

例えば金利1%の債券を100万円分買う場合、満期まで毎年1万円の利息を受け取り、満期時点では最後の利息1万円と元本100万円を受け取る仕組みです。厳密には元本と購入額が異なる債券もありますが、満期時点の利回りは基本的に事前に確定しています。

ただし債券には発行者の破綻リスクがあります。利回りは、あくまで「発行者が破綻しない限り」という条件付きです。預金なら仮に銀行が破綻しても「預金保険制度(ペイオフ)」で一定まで補償されますが、債券にはありません。発行者が破綻した場合、基本的に大きな損失が発生するでしょう。

発行者が破綻するリスクがある分、預金よりも高い利回りが期待できます。特に企業が発行する「社債」は利回りが高い傾向にあるため、安定重視ポートフォリオである程度の利回りを求めるなら欠かせない存在といえるでしょう。

債券金利の例
(満期7年)第5回ソフトバンクグループ無担保社債(劣後特約付) 2.48%
(満期7年)第4回三菱HCキャピタル無担保社債 0.33%

※2022年1月23日時点

利回り重視ポートフォリオ

リスクを取り利回りを重視したい場合、比較的リスクが低い「債券」のほか、「株式」と「不動産」、そして「ヘッジファンド」で以下のようなポートフォリオを組んでみてはいかがでしょうか。

  • 債券:20%
  • 株式:30%
  • 不動産:30%
  • ヘッジファンド:20%

株式

個別の上場株式に投資する方法です。比較的リスクが高い資産ですが、大きな利回りが期待できます。

株式投資で得られる利益は大まかに「値上がり益」と「配当益」の2つです。

前者は購入時より高い値段で売れた場合の利益です。
例えば、株価1,000円で買って1,500円で売れば1株あたり500円の利益、1,000株買っていれば50万円の利益となります。

後者は上場企業が事業利益の一部を「配当金」として株主へ支払う際の利益です。例えば、1株あたり50円の配当金が支払われるとき、1,000株持っていれば5万円の利益です。

株式への投資をする場合は、「分散投資」を心がけましょう。複数の銘柄を持っていれば値動きを相殺し合い、リスクが一般に低減します。

不動産

実物の不動産を取得して他人に貸し出し、家賃収入を得る方法です。家賃は契約に基づいて支払われるため、基本的には安定的な収入が期待できます。

不動産投資の強みは融資を受けられる点にあるでしょう。債券や株式を買う目的では銀行はお金を貸し出しませんが、不動産投資なら取得する不動産を担保に借り入れが可能です。5,000万円(ポートフォリオで考えればその一部)で投資するより、実質的な利回りが向上します。

例えば、利回り5%の物件があるとき、投資額1,000万円なら年50万円の家賃収入です。ここで銀行から2,000万円を借りて3,000万円で投資すれば年150万円の家賃収入となります。自己資金は1,000万円ですから、実質的な利回りが15%にまで向上しました。

実際には利息を差し引いた額が手取りとなりますが、不動産利回りよりも低い金利で借りられれば利回りは向上するでしょう。

ヘッジファンド

主に富裕層や機関投資家(企業や年金基金など)向けの運用会社です。株式や債券など、さまざまな資産で投資家に代わって資産の運用を行います。

ヘッジファンドは「絶対収益」を追求する点に特徴があります。
相場の流れに身を任せるのではなく、積極的な取引を行うことで相場の方向性にかかわらず一定の利益を目指す運用方針のことです。

例えば、ヘッジファンドの代表的な戦略「株式ロングショート」は、値上がりが期待できる株式を買う(ロング)だけではなく、値下がりが予想される株式には売り(ショート)を仕掛けます。売りは値下がり時に利益を得られる取引で、買いと組み合わせることで相場の上下方向どちらでも利益の機会を得られるのです。

また、ヘッジファンドはリスクが比較的低いという特徴もあります。一概にはいえませんが、買いと売りという真逆のポジションを持つためリスクが相殺されることなどが原因だと考えられます。

参考に、売りを組み合わせる主な運用戦略のリターンとリスクを以下にまとめました。リターンが市場平均(TOPIX)に負けている戦略もありますが、リターンをリスクで割った数値はいずれも市場平均より高くなりました。同じリスクなら、ヘッジファンドのほうが優れたリターンを残したといえます。

運用戦略別ヘッジファンドのリターン・リスク
運用戦略 リターン リスク リターン
/リスク
株式ロングショート 14.07% 6.21% 2.27
マネージド・フューチャーズ 9.17% 5.63% 1.63
アービトラージ 6.44% 2.10% 3.07
参考)TOPIX(配当込み) 12.22% 10.40% 1.18

※2020年12月~2021年11月

実際にはさまざまな運用戦略があり、売りを行わないヘッジファンドもあります。資金を預ける際は、事前に運用方針と実績について確認しておきましょう。

まとめ

投資は着実に積み重ねるもの

5000万円の投資を検討すべき理由は以下の3つです。

  • 5,000万円は使うと18年でなくなる
  • 2%のインフレが起こると30年で価値が3割失われる
  • 3.6%・20年の運用で「富裕層」入りできる

5,000万円は大金ですが、平均的な支出だと約18年でなくなります。また、仮に取り崩さなくてもインフレが起これば価値は失われます

これらを防ぐには投資してお金を増やさなければいけません。5,000万円は富裕層入りも難しくない金額なので、ぜひ運用を検討してください。

運用の際は特定の資産1つに投資するのではなく「ポートフォリオ」単位で考えましょう
安定重視なら「預金」と「債券」がおすすめです。利回り重視ならほかに「株式」や「不動産」、「ヘッジファンド」などが主な資産となるでしょう。

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