ヘッジファンド投資を検討する時、解約のルールが分かりにくいと悩まれる人もいるのではないでしょうか。
契約する各ファンドによってルールが違うので、それぞれ確認する必要があります。
ただ共通している解約のルールもあり、国内では「45日ルール」を採用している会社が多いです。
そこで今回はヘッジファンドについて紹介しながら、45日ルールなどを解説していきます。
1、そもそもヘッジファンドとは
ヘッジファンドとは市場全体の上がり下がりに関係なく、様々な手段を用いて利益を出す事を目的としています。
投資家はお金を預けて資産運用してもらい、その運用で得た利益からリターンをもらえる仕組みです。
もちろん利益を追求しているとはいえ必ず利益が出るとは限りませんが、「ヘッジ」とは避けるという意味があり、市場が下がった時でも資金の減少を避ける為に全力を尽くしています。
専門家に依頼をして資産運用してもらう点では投資信託も同じですが、両者には運用方法や収益目標において明確な違いがあります。
まず投資家の募集の仕方が「公募」と「私募」に分かれます。
投資信託は公募であり、証券会社などを通じて広く募集されます。
最低1万円という少額からでも投資を行う事が出来るので、多くの人が利用しやすい投資です。
ただし金融商品取引法によって厳しい規制がされているので、リスクのある取引などはあまり自由に行う事ができません。
収益目標も市場全体の平均よりも相対的に良い結果になる事と定めているので、市場の上がり下がりによって影響を受けやすい資産運用となります。
ヘッジファンドは私募による募集を行っており、募集人数も50人未満と限られた人しか投資する事ができません。
募集人数が少ないので投資額も高くなり、100万円~1億円とも言われています。
一般の投資家というよりは、少数の富裕層を相手にしている投資です。
しかし私募形式であるので公募形式よりも規制が少なく、収益の為にリスクのある取引なども比較的自由に行えます。
その為収益目標もどの様な状況でも利益を追求する事と定めているので、市場の上がり下がりによる影響が少ない資産運用となります。
2、45日ルールの概要
国内の多くのヘッジファンドが採用している45日ルールとは、解約したい場合は決算日の45日前までに申請を行わなければならないというルールです。
ヘッジファンドの決算は3月、6月、9月、12月の4半期決算である事が多く、それぞれの決算の45日前が期限となっています。
もちろん45日前が期限であるだけで、それ以前に解約の申請をする事は可能です。
決算が出る45日前までに解約の申請をしなければならないと考えると、投資家にとって不利なルールに感じるかもしれませんが、これはヘッジファンドと投資家を守る為に必要なルールとなります。
ヘッジファンドは少数の高額投資家から集めた資金をもとに資産運用しています。
もしすぐに解約ができるルールであれば、利益の多い決算の直後に多数の解約申し込みが重なる可能性があります。
1人の資産が高額なため、複数人同時に解約されると資産運用が難しくなり、最悪の場合は、投資家への返金ができずにヘッジファンドが倒産してしまう恐れもあります。
しかし45日ルールがある事で計画的な資産運用が可能になり、ヘッジファンドの倒産リスクも減らす事ができるのです。
これは高額を投資する投資家にとってもメリットがあり、倒産リスクが少ない事は資産運用を依頼する時の安心にも繋がります。
安心して依頼できれば投資額も増え、資金が増えたヘッジファンドは収益の為により様々な取引を行えるようになるのです。
3、解約する前に確認すべき事
ヘッジファンドと解約する場合は45日ルールを把握する事も必要ですが、他にも確認すべきポイントがあげられます。
それは「解約方針」「現状の成績」「今後の運用方針」の3つです。
解約方針とは、ファンドとの契約を解消する方法の事です。
これは各ファンドに違いがあり、特に解約可能な時期、解約手数料、解約までの期間において違いがある事が多いです。
解約可能な時期については45日ルールを採用している所が多いですが、30日の場合もあったり明確な決まりではありません。
解約期日を間違えないように把握しておく必要があります。
解約手数料や解約までの期間についても各ファンドによって違いがあるので、解約前に確認しておきましょう。
現状の成績とは損失額や利益額を表した数値で、解約をする前に必ず確認すべきポイントです。
特に直近の運営成績は、解約すべきかどうかの重要な判断材料になります。
他にも現状と目標資産額との差も確認しておきます。
これは解約時だけでなく運用している間も見る必要がありますが、自分の目標資産額に到達するかどうかを考え、それによって契約を解約すべきか判断します。
今後の運用方針も1つの基準になります。
各ファンドは定期的に投資家に向け、運営方針などを記した「運用方針書」を作成しています。
これを資料で今後の運用計画に変更があるかないのか、市場の流れに合っているかなどが確認できます。
来年度の運用目標なども書かれているので、まずは1度目を通してから解約するのかを検討しましょう。
4、契約を解約すべき時・延長すべき時
契約を解約するのも延長するのも投資家の判断が重要であり、何が正解なのかは結果論になるので断定する事はできません。
しかし少しでもリスクを減らす為、判断基準を考えておく事が大切となります。
契約を解約するタイミングとして多いのは、明らかな減益がでた時です。
現状の成績を確認し、直近の利益が減益だった場合、ヘッジファンドは損失を取り戻すべく大きな取引をするケースがあります。
もちろんそれによって損失を補える可能性もありますが、予想以上の減益になってしまうリスクもあるのです。
大きな減益になる前に、解約を考えるのが1つのタイミングとなります。
また、目標資産額を達成した場合も解約するタイミングです。
目標としていた金額に達した場合、1度解約をしてから今後の資産運用について考える人も多いようです。
解約を迷っている人の中には、次は上がるかもしれないと期待を抱いている人も少なくはありません。
しかし投資には冷静な判断も必要で、感情に流されてはいけない場面もあります。
そんな人には「定量的判断」が有効です。
これはあらかじめ数値を定めておき、機械的に判断する仕組みです。
損失額によって投資額を減らし、投資自体をストップする事ができます。
損失を大きくさせない為にも、自分に適した基準を準備しておきましょう。
契約を延長するタイミングとしては、目標資産額にまだ到達していない時などがあげられます。
利益が少しでもでた場合、早く利益を確定させようと解約を検討する人もいます。
たしかにリスクが少ない安全策ではありますが、ファンドの運用成績が順調であれば契約を延長した方が良いケースも多いです。
ヘッジファンドの資産運用では、大きな利益が出るまでに時間がかかる事も多いです。
運用成績が安定している時は稼ぎ時とも言えるので、そのまま契約を延長する事で目標資産額に到達する事が考えられます。
短期的な利益だけでなく、長期的な利益を考える事も必要になるのです。
5、解約まで理解してから契約をする
ヘッジファンドは市場の上がり下がりに関係なく利益を追求する為、投資信託よりも大きなリターンを受けられる可能性が高いとされています。
しかし損失を出すリスクは当然ありますし、近年でもトランプ相場やスイスフランショックによる為替相場の急騰などで多額の損失が出てしまった事例も存在しています。
投資額が大きいヘッジファンドだからこそ、契約する時に解約のルールまでしっかりと理解し、納得してから資産運用を依頼する事が重要です。