投資に興味を持っている人であれば、「ヘッジファンド」という言葉はなんとなく耳にしたことがあるかと思います。

しかし、欧米などと比べて日本では投資への関心が低いため、一般の人にはほとんど知られていないのが現状です。

また、ヘッジファンドは「富裕層専用」というイメージがあるため、個人投資家でも詳しく説明できる人はあまり多くありません。

しかし、経済の先行きが不透明な現在だからこそ、欧米などの諸外国ではヘッジファンドが注目を集めています。

なぜなら、ヘッジファンドはマーケットの環境に左右されずに利益を出すことが可能なしくみを持っているからです。

この記事では、なぜヘッジファンドが相場環境を問わずに利益を出せるのかについて詳しく解説していきます。

1、ヘッジファンドってなに?

 

「ヘッジファンド」は富裕層などから集めた莫大な資金を運用する機関投資家として知られています。

実際に運用する金額は非常に大きく、日常的に億単位の取引を行っています。

これだけでも個人投資家の想像をはるかに超えるものですが、ときには数兆円という大きなポジションを取ることさえ珍しくありません。

これだけでは単に規模が大きいだけで、投資信託などのファンドとあまり違いはないように思えます。

しかし、ヘッジファンドは「私募形式」によって資金が集められるという特徴があります。

一般の金融機関のような監督官庁への細かい届出の義務が課せられていないため、自由度が非常に高いトレードが可能となっています。

ハイリスク・ハイリターンの取引を行うことで、投資信託とは比較にならないほどの利回りをあげています。

一般的な投資信託では年利数%程度ですが、ヘッジファンドは年利50%を超えることもあります。

2、下降相場でも高い利益

下降を続けるような相場環境でも利益を上げることができるのがヘッジファンドの特徴です。

もともとは、下降相場や不況、インフレなどから富裕層の資産を守るためのリスク回避(ヘッジ)がヘッジファンドのミッションでした。

今ではハイリスク・ハイリターンの取引で高収益をあげるというのがヘッジファンドの標準的なスタイルになっていますが、名前に「ヘッジ」がつくのはこういった理由からです。

 

特に20世紀前半からなかばまでは、戦争などによるインフレや国による財産没収などのリスクが富裕層の不安の種でした。

そこで、資産の防衛を金融や投資の専門家に依頼したことがヘッジファンドの歴史の始まりです。

本格的なヘッジファンドは1949年のA.W.ジョーンズによって始められました。

 

このファンドでは、空売りによる「ヘッジ」を積極的に活用して高い収益を上げています。

この手法は現代のヘッジファンドの手法の原型となっているもので、下降相場でも安定して収益を上げることができました。

A.W.ジョーンズの「買い」と「売り」を組み合わせたトレード手法は「ロングショート戦略」と呼ばれ、一世を風靡しています。

多くの機関がこれを模倣するなどして、1960年代には200以上ものヘッジファンドが存在していました。

 

下降相場でのヘッジファンドの強さを世界中に認識させたのが、「イングランド銀行を潰した男」という異名を持つジョージ・ソロスです。

ジム・ロジャーズと共同で「クォンタム・ファンド(Quantum Fund)」を立ち上げ、ショート(売り)ポジションを積極的に活用していました。

1992年の英国政府の為替介入にショートポジションを立てて真っ向から対立し、最終的に英ポンド(GBP)は暴落してしまいました。

このショートポジションによってソロス側は一晩で約1000億円の利益を出しています。

3、上昇相場でのヘッジファンド

 

もちろん、ヘッジファンドは上昇気流に乗った相場環境でも抜群のパフォーマンスを発揮することができます。

資金量が莫大なだけでなく、ハイレバレッジによる取引も行われています。

「レバレッジ( leverage)」とは「てこ(の原理)」のことです。

他人資本を使うことにより、少ない資金で大きな資金量の取引が可能になる仕組みです。

個人投資家の場合は、株式の信用取引や、為替の証拠金取引(FX)などで利用する機会があります。

数兆円の資金を持つヘッジファンドには不要な取引のように思われますが、わずかな機会でも利益を追求していくのがヘッジファンドです。

 

時には10倍ほどのレベレッジをかけた取引も珍しくありません。

ヘッジファンドは投資対象も多岐にわたります。

一般の投資信託などは、株式や債券などの伝統的資産が中心となりますが、ヘッジファンドは伝統的資産への投資はもちろん、先物や為替、金融派生商品(デリバティブ)などにも積極的に投資を行います。

ボラティリティ(volatility)の高い商品にも金融工学を駆使した手法で投資を行い、非常に高い収益率を実現しています。

4、ヘッジファンドの収益の秘密

 

ヘッジファンドがどのような相場環境でも高いパフォーマンスが発揮できる秘密は、収益に対する考え方にあります。

一般的な投資信託は、下降相場では価格が下がってしまうのはやむを得ないという考え方です。

もちろん、少しでも利益が出るように努力をしているはずですが、株式や債券を買い入れて組んだポートフォリオでは下降相場に抗うにも限界があります。

そこで、投資信託ではパフォーマンスを示すための指標として「ベンチマーク( benchmark)」を採り入れています。

ベンチマークはTOPIXや日経平均といった「インデックス」が用いられ、それより高いパフォーマンスが出れば良いという考え方です。

 

つまり、下降相場の場合は、収益がマイナスであったとしてもベンチマークを上回っていれば良しとされるのです。そのため、投資信託での運用目標は「相対収益」と呼ばれます

 

一方、ヘッジファンドでは相場環境にかかわらず利益を出す運用を目指しており、収益は「絶対収益(絶対リターン)」と呼ばれます。

投資家からすれば、ベンチマークを上回っていても運用の結果がマイナスであればあまり面白いものではありません。

そのため、条件が許す限り絶対収益のファンドに出資したいと考えるのは当然です。

ヘッジファンドは、規制から自由なためショートポジションを積極的に立てることができるため、急落時にさえ大きな利益を上げることができるのです。

あまりの資金量のため、ヘッジファンドのショートによって売りが売りを呼び、さらにヘッジファンドばかりが儲かってしまうような場面すら珍しくありません。

5、個人投資家も注目したいヘッジファンド

 

このように、ヘッジファンドは私募形式による資金を運用しているため、投資の方法や投資の対象に規制がほとんどないことが特徴です。

そのため精鋭の専門家が金融工学にもとづいて自由にトレードを行うことが可能なため、非常に高い収益が期待できます。

もちろん、売りも買いも自由であるため、相場環境に左右されず絶対収益を追及することが可能なしくみになっています。

 

一般的な投資信託は相場と連動する性質であるため、下げ相場では収益がマイナスになってしまいます。

つまり、信託とはいっても最終的には「買い時」「売り時」を自分で判断しなくてはいけません。

相場環境に左右されずに高い収益率が期待できるヘッジファンドですが、資金の少ない個人投資家では出資できないという最大の難点がありました。

 

確かにヘッジファンドは富裕層対象のサービスから始まったので、やむを得ないことでもあります。

しかし、最近ではさまざまな顧客層に門戸を開いており、個人投資家でも手の届くところまできています。

また、国内のヘッジファンドが増えてきていることも注目すべきポイントです。

ホームページなどから相談も受け付けているため、まずは問い合わせなどから始めてみることをおすすめします。

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