FXは1000万円の運用方法として適切か?資産を溶かす人と稼ぐ人の特徴も解説

FXは少額から始められるうえに大きな利益が見込めるので、日本では人気の高い投資方法です。

少額投資としては優秀なFXですが、1000万円以上のまとまった資産を運用するのに適切なのでしょうか?

FXのメリットや、FXで資産を溶かす人と稼ぐ人の特徴も踏まえたうえで、FXが1000万円の運用方法として最適であるかどうかを考えていきます。

FX以外に1000万円を運用できる方法も紹介しますので、FXに興味がある方も他の運用方法も含めて最適なものを検討してみましょう。

FXで1000万円を運用するメリット

FXで1000万円を運用するメリット

FXはレバレッジをかけられるので少額投資でも成果が出せる投資ですが、1000万円の資金があれば動かせる資産はさらに増えます。

投資は資産があればあるほど有利なので、FXで1000万円を運用するメリットについて解説していきます。

  • どんなときでも利益が出せる
  • 時間を選ばない
  • スワップポイントで利益を出せる

メリット1:どんなときでも利益が出せる

FXは通貨の値動きが上昇か下落かを予想して利益を得る投資方法です。

上昇であっても下落であっても予想通りの動きをすればどんな相場でも利益を出せます。

通常は日本円を外貨に換えて、外貨を売って円に戻すことで為替差益を得ます。

例えば、為替レートが100円から102円に上昇したタイミングで円に戻せば2円の値幅分だけ得することになります。

一方で、為替レートが下落すると予想したなら先に外貨を売却して日本円を得てから、外貨を買い戻すことで利益が得られます。

例えば、為替レート102円のタイミングで外貨を売却して、100円のタイミングで買戻しをおこないます。

この取引方法であれば実質102円で購入して100円で売却したことになるので、2円の値幅が利益として得られることになるのです。

FXは為替レートが上昇、下落する場合でも利益が得られるので投資機会の損失が発生しにくいです。

よって、1000万円の資産が手元にあっても市場が好調なときにしか利益が得られない投資方法とは異なりいつでも利益が得られます。

1000万円という手元の資産の機会損失を発生させず、いつでも利益を出したい方におすすめです。

メリット2:時間を選ばない

株式投資は東証一部などの日本の株式市場であれば、市場が開いている9時~15時までの間しか取引できません。

株式市場が開いている時間は通常のサラリーマンであれば仕事をしている時間なので、リアルタイムで取引するのが困難です。

しかし、FXは24時間取引可能なので、早朝、夕方・夜からしか取引できない方でも取引できます。

すでに1000万円の資産を投資以外で築いている方であれば、午前から夜まで休みなく働いている方もいるかと思います。

自分が値動きを見られない時間を中心に値動きがあると気になって仕事が手につきにくくなるかもしれません。

FXなら仕事が終わった夜から取引を始めて売却するまで値動きを監視することができます。

24時間取引可能であるため時間を選ばない点はFXのメリットであるといえるでしょう。

メリット3:スワップポイントで利益を出せる

意外かもしれませんがFXには定期的な収入が得られる仕組みがあります。

低金利の通貨を売って高金利の通貨を買った場合、そのポジションを継続することで金利の差額を受け取ることが可能です。

通貨間の金利差のことをスワップポイントといいます。

例えば1%の金利の通貨を売って、5%の金利の通貨を購入すれば金利差の4%分のスワップポイントが発生することになります。

一方で、金利の高い通貨を売り、金利の低い通貨を買った場合はスワップポイントがマイナスになります。

スワップポイントがマイナスになった場合は金利の差額を支払わなくてはなりません。

日本円はゼロ金利・マイナス金利が適用されている低金利の通貨なので、金利の高い外貨を購入するだけで金利収入が得られます。

外貨の中でもトルコリラは金利が高いことで有名で、スワップポイント投資の候補になりやすいです。

1000万円があれば、差益で利益を得る方法でなくてもスワップポイントで定期収入を得る方法で十分な利益を得ることができます。

ただし、為替の変動でスワップポイント以上の損をする可能性もあり、金利は情勢によって変更されます。

毎日収益を得られるなら安定していると思うかもしれませんが、5年、10年といった長期で考えると安定性の高い投資とはいえません。

FXで1000万円を溶かす人の特徴

FXで1000万円を溶かす人の特徴

FXはリスクの高い投資方法の一つとしてあげられます。

FXのリスクが高いといわれる理由は、次のような特徴を持った人がFXをすることで大損をして場合によっては借金をしてしまうケースがあるからです。

場当たり的な取引を繰り返す
レバレッジをかけすぎている
損切の決断が遅い

溶かす特徴1:場当たり的な取引を繰り返す

FXは予想が当たれば利益、外れれば損失になる投資方法です。

仮に何も考えずに上昇、下落を指定したとしても50%の確率で当たる計算になります。

しかし、FXはババ抜きの最後に引くカードを決めるように50%のギャンブルをおこなうものではありません。

市場の動向を分析したうえで為替レートを予想して、予想が当たる期待値を最大限に高めたうえでおこなうものです。

分析をおろそかにして、「何となく上がる気がする」といった理由で場当たり的な取引を繰り返せばいつかは予想を外してしまうでしょう。

FXは投資ではなくギャンブル」といわれることもありますが、ギャンブルになってしまうのは投資に向き合う姿勢や投資方法が悪いのです。

溶かす特徴2:レバレッジをかけすぎている

FXはレバレッジをかけることで大きな利益が狙える仕組みになっていますが、リスクを考えないレバレッジのかけかたは資産を溶かすことにつながります。

1000万円をFXで運用したとして、大きなレバレッジをかけた状態で損失を出せば、最悪の場合、手元の1000万円がなくなるだけでなく借金をしてしまう可能性もあります。

このような失敗をしてしまう人は、常に動かしているお金を意識して何倍のレバレッジをかけているのか意識していないのです。

例えば、1000万円を証拠金にして2億5千万を動かしているなら、25倍の最大のレバレッジがかかっていることになります。

その状態で為替レートが100円から97円に下落をした場合、2億4,250万円になってしまうので750万円の損失になります。3円の価格変動で資産の大半を失ってしまうことになります。

FXをするなら今かけているレバレッジを意識して、どれくらいの利益と損失が出るのかシミュレーションしてからおこなうようにしましょう。

溶かす特徴3:損切の決断が遅い

どれだけ分析を重ねても自分の予想が当たらないときもあります。

その場合は早く損切をする必要があるのですが、損切の決断が遅い人は損失を拡大させてしまうので資金が溶けてしまいます。

例えば、為替レートが105円から106円になると予想したのにも関わらず、104円になってしまったとします。

しばらく放置すれば上がると考えて、103円102円と放置しているあいだにさらにレートが下がることがあれば最悪です。損失がより拡大してしまいます。

FXは自分の予想が外れたのであれば、

  • すぐに認めて損切をすることで被害を最小限にする
  • 次の取引に向けて分析して期待値を高める

この2点が基本です。

損失を取り返したいという気持ちは取引の冷静さを欠かせる危険な感情ですが、予想を外したにも関わらず損失を認めたくないという気持ちは最も危険です。

期待値を高めて投資をしても予想を外すことがあることを割り切って、最終的な利益がプラスになるように取引をしましょう。

FXで資産を稼ぐ人の特徴

FXで資産を稼ぐ人の特徴

一方で、FXで資産を稼ぐ人は次のような特徴があります。

  • 常に勉強と分析をおこなっている
  • メンタルを保つかシストレを利用している
  • 税金の申告を細かくおこなっている

もちろん、上記の条件をすべて満たしているからといって必ずFXで資産を稼げるわけではありません。

しかし、FXで長期的に安定して資産を築いている人であれば、まずやっていることになります。

稼ぐ特徴1:常に勉強と分析をおこなっている

FXをするなら正しい知識を身につけ、分析をおこなえるようになることが必須です。

間違った知識を身につけている場合や、分析の方法が正しくなければ取引の成果は出ないでしょう。

常に市場の動向を探り、情報収集ツールにも気を配りながら、学び続ける姿勢がFXで稼ぐには必要になります。

よって、投資の勉強をする時間がない方や、勉強する気がない方にはまったく向いていません。

FXを本格的に始めるなら、自分の人生の時間を多く使って投資の知識を学んでいける時間やモチベーションがあるのか考えてから始めるべきです。

稼ぐ特徴2:メンタルを保つかシストレを利用している

FXは他人資本も含めて資金を動かすので、知識があっても実際に取引をすると欲が出たり、損切をためらったりするかもしれません。

よって、何度も取引をおこなってメンタル面を鍛える必要があります。

感情で投資判断が揺らぐことがないように事前にルールを決めて、ルール通りに取引するのがよいでしょう。

しかし、取引するのは人間なので、損失が続いていれば取り返したいと考えてしまうのもある程度は仕方のないことです。

メンタルを保つのも重要ですが、シストレを利用して取引における感情が含まれる余地を排除するのも方法の一つです。

シストレとはシステムトレードの略称で、一定の売買のルールを決めてコンピュータに自動で取引をさせることです。

売買のルールを自分でプログラムすることで、その通りに取引ができます。

シストレのような自動売買システムがあるなら任せっきりで問題ないと思うかもしれません。

しかし、シストレを利用するとしても元となるプログラムを作成するためには、毎日のチャート確認を忘れず情報収集をおこなうことが必要です。

便利ではありますが、楽をするための方法ではないので、勉強や分析が必要なことに変わりはありません。

稼ぐ特徴3:税金の申告を細かくおこなっている

FXで利益を得るためにかかった金額は経費として申告できます。例えば、取引にかかった手数料や知識を得るために購入した書籍代が経費としてあげられます。

経費を申告すればFXの利益に課税される20.315%の税金を少しでも軽減できます。

また、去年損失を出してしまった方で、今年は利益をあげられた場合は損益通算することができます。

損益通算は損失を他の所得から差し引いて課税をおこなうことです。

例えば、去年発生した50万円の損失を今年の100万円の利益から差し引くことで課税対象金額が50万円になります。

万が一、FXでのトータルの損益が年間でマイナスになってしまった場合は、来年以降の利益に対して節税がおこなえることを覚えておきましょう。

このようにFXで長期的に稼ぐ人ほど少しでも得られる利益を増やすために税金の申告を細かくおこなっているのです。

面倒に感じる方もいるかもしれませんが、投資で少しでも多く利益を得たいと考えるなら節税は避けては通れない道です。

FXは1000万円の運用手段として適切か?

FXはどちらかといえば少額から始めて1000万円の元手を作るのに向いた運用方法です。例えば10万円を元手に20%の損失が発生した場合は2万円の損失で済みますが、1000万円を運用して20%の損失を出したのなら200万円です。

FX初心者が失敗したときのダメージが1000万円の運用では大きすぎる問題があります。

FXはかけているレバレッジの大きさにもよりますが基本的にはハイリスクハイリターンなので、1000万円の運用方法としては適切ではありません。

1000万円を安全に運用できるようになるためには、ある程度の知識を身につけてリスク管理ができるようになってからです。

仮にレバレッジを適切にかけて損益をコントロールできるようになっても、FXで取引を続ける以上、ある程度は投資で損をすることも考慮しなくてはなりません。

少額の資産から大きな資産を目指すのなら、損失も受け入れながら最小限にとどめて、利益をあげられる期待値を高めていくのは正しい考え方です。

しかし、すでに1000万円という資産がある中で損をすることを前提にした投資方法は果たして適切といえるのでしょうか?

1000万円の元手があるならFX以外にも魅力的な資産運用方法はあります。

損をすることを前提にしない投資方法で運用し、長期で確実に資産を増やしていくのが1000万円を安全に運用する適切な方法といえます。

FX以外の1000万円の運用手段

FX以外の1000万円の運用手段

FX以外の1000万円の運用手段には次のようなものがあります。

リスクは最低限に運用するソーシャルレンディング
毎月安定した収入が見込める不動産投資
運用をプロに任せられるヘッジファンド

手段1:リスクは最低限に運用するソーシャルレンディング

1000万円を運用するならFXのように損失を前提に運用する投資方法はおすすめしません。

ソーシャルレンディングは企業や法人にお金を貸し付けて金利を得る投資方法なので、満期になると元本が返還されます。

リターンは案件によって異なりますが、年利3%のものから10%を超えるものまであります。

ただし、ソーシャルレンディングは貸し付けた企業が貸し倒れするリスクがあり、貸し倒れが発生した場合は元本が全額返還されない可能性があります。

年利が極端に高いソーシャルレンディングほど貸し倒れのリスクが高いです。

利回りの高い案件に投資をする場合は貸し倒れのリスクがないか調べる必要があります。

また、利回りの高い案件は人気があります。人気の高い案件は募集から10分程度で募集が終わることも。

そのため、投資したい案件に確実に投資をするなら、募集開始からすぐに投資をする必要があります。

また、FXと異なりソーシャルレンディングはお金を貸し付けて満期を待つだけの投資なので、勉強をしなければ成果があげられない投資方法ではありません。

代表的なソーシャルレンディングサイトには「クラウドバンク」と「SBIソーシャルレンディング」があります。

特にSBIソーシャルレンディングはSBIグループのサービスです。

同じSBIグループで「SBI FXトレード」という大手FX専業会社の存在は知っている方もいるかと思います。

どちらのサービスも「住信SBIネット銀行」の口座があれば、即時入金などの恩恵を得ることができます。

ソーシャルレンディングはFXとは異なり損失を前提にしない運用方法であり、FXと異なり投資に時間をかける必要がないのも魅力の一つです。

手段2:毎月安定した収入が見込める不動産投資

FXにはスワップポイントによって金利収入を得る方法がありましたが、FXのスワップポイントよりも安定した定期収入が見込めるのが不動産投資です。

少額でまとまった定期収入を見込むならスワップポイント狙いの投資も選択肢の一つですが、1000万円があるなら不動産投資も選択できます。

1000万円があれば都内や、高級住宅にこだわらなければ購入できる物件は多くあります。物件を購入して住人を募集し家賃収入が得られれば、スワップポイント以上のまとまった収入になるでしょう。

また、不動産投資は保険や税制面で有利な資産運用の方法です。

住宅ローンを組んで1000万円以上の物件を購入した場合は、団体信用生命保険に加入できるメリットがあります。

団体信用生命保険は他に生命保険の加入が必要なくなるほど優秀な生命保険です。八大疾病を保証してくれるタイプの団体信用生命保険もあります。

1000万円の不動産を購入すればその年は1000万円の赤字になるので、1000万円を複数年にわたって損益通算すれば税金面で有利になるメリットもあります。

これが減価償却を利用した損益通算による節税です。

安定した収入を得るならスワップポイントだけでなく、不動産投資も検討してみましょう。

手段3:運用をプロに任せられるヘッジファンド

投資について勉強する時間はなくても1000万円があるならヘッジファンドに運用を任せるのもおすすめです。

資産運用のプロであるファンドマネージャーが忙しい投資家や投資初心者の代わりに代理で運用してくれます。

そのため、FXについて勉強するのが面倒な方や、投資に時間をかけたくない方におすすめの運用方法です。

しかし、最低投資金額が1000万円なので、FXのように少額から始めることは不可能な投資方法になります。

投資のハードルは高いですが、資産さえ持っていれば誰でも結果が出しやすい投資方法です。

毎年、安定した成績を出しているヘッジファンドもあり、運用成績から10%以上の利回りが見込める商品もあります。

ヘッジファンドは海外のものが中心ですが日本のヘッジファンドもあります。

日本のヘッジファンドの方が、仲介会社が必要ないので余計な手数料がかからないメリットがあるのでおすすめです。

1000万円ならあるけど勉強も含めて投資に時間をかけたくない

それでも利回りの高い投資がしたい

という都合が良すぎると思われかねない願いをかなえてくれるのがヘッジファンドになります。

ヘッジファンドについて知りたい方は下記の記事をご参考ください。

まとめ

FXは1000万円を持っている方でも最初は少額から始める方が無難でしょう。

10万円の証拠金から始めて証拠金の20%の利益を得る方針で取引して成功すれば2万円を得ることができます。

しかし、1000万円を10%で運用できれば年間で100万円が得られる計算となります。運用を任せられる投資を選べば時間も取られません。

もちろん、短期的なトレードでどうしても1000万円を1億円にしたいのであれば話は変わります。

しかし、1000万円を手堅く運用する方法としてFXは適切とはいえないでしょう。

おすすめの記事