はじめてヘッジファンドを利用する人は、どのような基準で投資先を選べばよいのでしょうか。
なかにはファンドの知名度を信用度に置き換えて考える人がいます。
有名なファンドは、多くの人から支持を集めているので、信用できると考えるようです。
しかしこの考え方は、論理的とはいえないでしょう。
論理的ではない投資は、ギャンブルに近いと言えるため、あまりおすすめできません。
お金を預けるファンドは十分に考慮して論理的な判断のもと選ぶべきでしょう。
そこで、初めてヘッジファンドを選ぶ人が、どのようなポイントを確認してから選ぶべきか、まとめました。
ファンド自体を見極めるポイントから、そのファンドが得意とする戦略まで確認します。
1、ヘッジファンドのファンドマネージャーの運用実績や投資スタイルを確認
ファンドには、少なくとも1000万円以上の資金を預けることが一般的といわれています。
このような大金を預けるからには、相手の人物像も知っておく必要があるでしょう。
ファンドマネージャーのなかには高学歴の人物が多数います。
しかしファンドマネージャーの能力は独特であり、学力と比例しないこともあります。
そのため有名大学の出身だからといって、100%信じないようにしましょう。
学歴よりも重要視したいのは経歴です。
そのファンドマネージャーがどのような経験を積んで、現在のファンドに身をおいているのか、詳しく聞くことをおすすめします。
ファンドマネージャーの優劣は、今までの経験値から推測することができます。
そのため、どのような実践経験を持っているかは、とても大切な要素となるのです。
2、ヘッジファンドの私募金額の最低投資金額を確認
ヘッジファンドに資金を預ける場合、いくらでも良いというわけではありません。
多くの場合、最低の金額ラインが設定されているものです。
その多くは1000万円以上が主流と言われていますが、なかには数百万円から私募を受け付けているファンドもあります。
そして、大規模なファンドになると1億円以上が最低ラインというケースもあるのです。
投資できる金額は個人によってさまざま。当然のことですが、投資規模が異なるファンドでは、資産を運用できません。そのため、まずは自分にあった規模のファンドを見つけることが大切だと言えます。
3、ヘッジファンドの運用目標(利回り)とリターンまでの期間(長期/短期)の確認
ヘッジファンドは、年間での運用目標を定めているものです。投資家はその目標を参考にして、資金を預けるファンドを決定します。
目標値からは、ファンドのモチベーションをうかがい知ることができます。
例えば高い利回りを公表しているファンドは、強気の姿勢だとわかるでしょう。
この運用目標は、高ければよいというものではありません。
大切なことは過去の実績です。掲げた目標に対する実績を把握することで、信用できるかどうかが判断できます。
リターンを得るまでの期間が、短期or中長期は要確認
またファンドのなかには、短期的に大きな利益を追求するところがあります。
投資家が元々ギャンブル的な狙いを持っている場合は問題ありませんが、中長期的なスパンで安定した利益を望んでいる人にとっては、このようなファンドは適していないといえるでしょう。
このような大まかな戦略については、直接質問することができます。
またはファンドを紹介する媒体に、「長期的」などの関連ワードの記述があるかどうかも判断ポイントとなるでしょう。
また、もし短期的に大きな利益を狙うファンドに資金を預ける場合は、引き上げ時を見誤らないようにすることが大切です。
4、ヘッジファンドのロックアップ期間の確認
ロックアップ期間とは、ヘッジファンドに資金を預けて、自由に動かせなくなる期間のことです。
ファンドによって期間は様々であり、数ヶ月の場合もあれば、1年の場合もあります。
自身の資産運用の計画とマッチしたロックアップ期間のファンドを探さなければいけません。
ヘッジファンドにロックアップ期間が設定されている理由
ヘッジファンドにロックアップ期間が定められている理由は、ファンドマネージャーの資産運用計画を予定通りに遂行するためと言えるでしょう。
ロックアップ期間の定めがなければ、ファンドに集まる資金の増減が激しくなり、ファンドマネージャーは思い通りに運用計画を実行できません。
そのためファンドは、ロックアップ期間を定めて、ある程度の資金を常に確保しておく必要があるのです。
5、ヘッジファンドの、価格変動の振り幅(ボラティリティ)を事前確認する
ボラティリティとは、価格変動の振り幅のことです。
金融商品の価格変動の振り幅が大きい時は「ボラティリティが大きい」、逆の場合は「ボラティリティが小さい」と表現します。
ファンドが設定するボラティリティの予測は、預ける資産が将来的にどの程度増減するか試算するために重要な情報です。
ファンドに資産を預ける人の多くは、安定した利回りを望んでいるもの。そのため、ボラティリティが大きいファンドより、ボラティリティが小さくても確実性が高いファンドの方が、人気を集める傾向にあります。
ボラティリティに関して、ファンドは確約ができません。
しかし、どの程度のボラティリティを予想しているかは聞くことができるので、把握しておくとよいでしょう。
6、ヘッジファンドファンドの投資戦略を確認
ファンドの戦略を知ることは、ファンド選びの基準となります。
そのファンドが得意とする戦略を聞き、自分の運用スタイルとマッチするかどうか確認することは大切なことです。その代表的な例を紹介します。
(1)ロングショート戦略
「ロングショート戦略」とは、株式の取引において伝統的な方法のひとつ。ロングとショートを同時に取ることで、安定性を確保します。
ロングショート戦略を取ることで、株式市場に大きな変動があったとしても、リスクを最小限に抑えることができる点が、メリットと言えるでしょう。
(2)マルチストラジー戦略
「マルチストラテジー戦略」とは、リスクヘッジを主目的とした資産運用の戦略です。
資産運用戦略を多数持ち、それぞれに分散投資することによってリスクを軽減します。比較的大規模なファンドがつかっている戦略であり、リスクを嫌う機関投資家から人気がある戦略であるといえるでしょう。
何人かのファンドマネージャーが立てた複数の戦略にもとづいて、資産が運用されることもあります。
資産を預ける際には、それぞれのファンドマネージャーについて説明を受けるようにしましょう。
(3)マネージド・フューチャー戦略
攻めの姿勢で資産運用を計画している人には「マネージド・フューチャー戦略」を掲げるファンドをおすすめします。
マネージド・フューチャー戦略は、世界中のありとあらゆる商品を対象としており、相場が上がっても下がっても利益が出るように調整します。
ひとたび利益が望めると見込んだ投資先には、レバレッジをかけて大きく資金投入することから、ハイリスク・ハイリターンな戦略と言えるでしょう。
実際には、コンピューターのAIなどを利用して運用することも多いといわれています。
(4)イベントドリブン戦略
「イベントドリブン戦略」は、大企業のM&Aなどの大きなイベントが起きた際に、それをチャンスとして投資する手法です。
このようなイベントが起きた際には、株式市場は大きく変動するもの。イベントドリブン戦略を実施するファンドは、買いポジションと売りポジションの両方から利益を狙います。
(5)M&Aアービトラージ戦略
M&Aアービトラージ戦略は、イベントドリブン戦略のなかでも有名な手法のひとつ。
例えばM&Aによって企業の価値が明るみに出た際に、その価格と株式市場の価格に差があれば、そこに着目して売りまたは買いをおこないます。そうして市場価格が正常値に戻った時に利益を出すのです。
7、自分に合ったヘッジファンドを見つける
ファンドを選ぶためには、そのファンドの中身を知ることが大切です。
そのため実際に資産運用をおこなっているファンドマネージャーの人物像を知ることはとても重要だといえるでしょう。
また、実際の運用成績を知ることは、将来的にどの程度の利益を見込めるかの基準にもなります。
資産運用戦略と、ヘッジファンドの投資方針が合うか確認
そして、そのファンドがどのような戦略を取っているかも把握しておかなければなりません。
自分の考える資産運用戦略と大きくかけ離れた場合、資金を預けるかどうか再検討したほうが良いでしょう。
その判断を下すためには基本的な運用戦略について、基礎から勉強する必要があります。
何より自分の資金に見合ったファンドを見つけることで、無理のない資産運用を実現することができるでしょう。