ETFは、運用の手間がかからず投資初心者向けの商品です。
ファンドマネージャーと呼ばれる投資のプロに運用を任せられる投資方法であるためです。
また、ETFは上場投資信託と呼ばれます。
ETFでない通常の投資信託は上場していないので1日に1度しか価格が変化しません。しかし、ETFは株のように上場しているのでリアルタイムで価格が変動し、取引がしやすいです。
このETFの特徴として、定期的な分配金が多くもらえ、通常の投資信託と比較してコストが安い傾向にあります。また配当利回りの高い個別株と比較して、プロが運用しており、さらに上場しているためリスク回避において優秀な商品です。
そんな、低コスト&リスクであるETFの中でも「高利回りの商品が知りたい!」と思われる方も多いのではないでしょうか?
当記事では、高利回りなETFのメリット、高利回りなETFの特徴を解説し、さらに高利回りETFをランキング形式で紹介していきます。
みなさんが、より良いETF商品と出会えるきっかけとなれましたら幸いです。
高利回りETFの3つのメリット
高い利回りが期待できるETFに投資するメリットは3つあります。
- 分配金を複数回受け取れる
- 分散投資ができる
- 投資対象の選択肢が幅広い
メリット1:分配金を複数回受け取れる
利回りの高いETFのほとんどは、分配金を年間で複数回に分けて受け取れます。
中には毎月、分配金が受け取れるETFも。また、受け取った分配金をそのまま再投資すれば投資効率を高められます。
分配金を頻繁に受け取れるETFに投資をすれば、投資額によっては安定した不労所得になります。
メリット2:分散投資ができる
高利回りの個別株などに投資をする場合は、投資先企業の業績悪化による株価の下落が気になるところです。
高利回り株で安定した利回りを得られても、配当金以上に株価が下落することがあれば意味がありません。
そのため、個別株投資では利回りだけでなく、企業の将来的な株価の上昇や、配当利回りの上昇も含めて投資を検討する必要があります。
しかし、ETFの場合は複数銘柄に投資できるので、1つの銘柄が下落しても他の銘柄でカバーが可能です。個別株で分散投資をするなら、自分で銘柄を選定して複数の銘柄に投資する必要があります。
ETFは資産運用のプロが銘柄を選定して、高利回り株に分散投資をしてくれるので、手間をかけることなくリスクを軽減した上で、安定した利回りを得ることができるのです。
メリット3:投資対象の選択肢が幅広い
ETFには様々な商品があり、投資対象も幅広いです。具体的には、株、債券、不動産、コモディティなど様々な投資対象に投資できます。
高利回り株の中で分散投資はできても、株式だけに投資をするのは投資対象を分散できていません。高利回り債券を対象にしたETFにも投資することでさらに投資先を分散することもできます。
また、ETFの中には商品自体が株、債券、不動産などの投資対象に分散して投資をするバランス型ETFも存在します。
バランス型で高い利回りを持つETFに投資をすれば、1つの商品だけでも複数の投資先に分散できます。
高利回りETFの特徴
ETFには様々な商品がありますが、中には分配金利回りを求めず、ETFの価格の上昇による利回りを狙った商品も存在します。
そのため、配当利回りの高いETFに投資をするには、その特徴について理解する必要があります。
- 配当利回りの高い株式で構成されている
- 利率の高い債券で構成されている
- REITを投資対象にしている
それぞれ詳しく解説していきます。
特徴1:配当利回りの高い株式で構成されている
株式を対象にしたETFの場合、配当利回りの高い株式を組み入れているものほど、分配金利回りも高い傾向にあります。
また、株式の種類によっても配当の回数や配当利回りの傾向が異なります。日本株よりも米国株の方が配当の回数が多い傾向にあるので、米国株を対象にしたETFの方が配当効率は高くなりやすいです。
日本株は株主優待を含めると年に2回、投資家への還元をおこなっている企業もありますが、基本的には年に1回だけ配当が受け取れます。
しかし、米国株は配当を年に4回配当を出している企業が多いため、米国株の方が投資家への還元機会がたくさんあるということです。
日本株を対象にしているETFにも配当利回りの高い商品は存在しますが、投資対象の都合上、米国株の方が配当は充実しやすくなります。
特徴2:利率の高い債券で構成されている
債券の場合は高い利率の社債や新興国債券を組入銘柄に選んでいると、分配金利回りが高くなります。
新興国や政策金利の高い国では、債券の利回りは高くなりやすいです。しかし、債券に直接投資をするには日本円から高金利通貨への為替をおこなう必要があるので手間がかかります。
個別株にもいえることですが、1つの債券に集中投資してしまうと、債券の発行元が債務を履行できなくなった際には元本が返還されないこともあるので、リスクが高まります。
債券投資は基本的には元本が確保されるメリットがあり、ETFは債券を投資対象にしていても元本が確保されません。
しかし、ETFは元本割れのリスクがある代わりに、債券の分散投資や日本円での買い付けもできるので、総合的にリスクを軽減できているといえます。
特徴3:REITを投資対象にしている
不動産を投資対象にした商品であるREITは、不動産自体の利回りが高いため安定しています。そのREITを投資対象にしたETFも利回りが高い傾向にあるのです。
不動産投資は毎月、家賃収入による安定した収益が見込める投資方法として有名ですが、始めるにはまとまった余剰資金が必要です。
しかし、ETFであれば不動産投資にかかるよりも安く投資可能で、安定した収益を得ることができます。
投資対象の性質上、債券や株式を対象にしたETFよりも災害や火災による被害に対するリスクが高まる点には注意が必要です。
高利回りETFランキング
高利回りが期待できるETFを国内ETFと海外ETFに分けてランキング別に紹介していきます。
国内ETFと海外ETFの違いは投資対象ではなく、上場先によって区別されています。
例えば、米国株に投資をするETFでも国内市場に上場していれば国内ETFで、海外市場に上場しているETFは海外ETFです。
高利回り国内ETFランキング
順位 | 商品名 | 利回り |
---|---|---|
1位 | NEXT FUNDS 銀行(TOPIX-17)上場投信 | 11.67% |
2位 | NEXT FUNDS 運輸・物流(TOPIX-17)上場投信 | 7.12% |
3位 | NEXT FUNDS 日経300株価指数(TOPIX-17)上場投信 | 5.94% |
4位 | 上場インデックスファンド新興国債券 | 5.12% |
5位 | 上場インデックスファンドアジアリート | 4.41% |
6位 | iシェアーズ 米ドル建てハイイールド社債 ETF | 4.29% |
7位 | NEXT FUNDS ロシア株式指数・RTS連動型上場投信 | 3.97% |
8位 | NEXT FUNDS 東証銀行業株価指数連動型上場投信 | 3.96% |
9位 | MAXIS日本株高配当70マーケットニュートラル上場投信 | 3.81% |
10位 | One ETF ESG | 3.75% |
※利回りは2021年3月8日時点での基準価額に対する分配金利回りです。
国内ETFで高い利回りを誇るETFをランキング形式で上位10商品を紹介しました。その中でも「NEXT FUNDSシリーズ」が6商品もランクインしています。
NEXT FUNDSは野村アセットマネジメントが運用するETFで、2021年時点で投資対象が異なる58種類の商品があります。
58種類すべてが高利回りETFというわけではありませんが、ランクインした6商品の利回りは高いので、それぞれの投資対象を考えながら投資を検討してみましょう。
高利回り海外ETFランキング
順位 | 商品名 | 利回り |
---|---|---|
1位 | DirexionザックスMLP高配当インデックスETF | 12.02% |
2位 | iシェアーズ 米国優先株式 ETF | 5.99% |
3位 | SPDR BBバークレイズ ハイイールド債券 ETF | 5.65% |
4位 | iシェアーズ JPM USDエマージング債券 ETF | 5.58% |
5位 | iシェアーズ iBoxx USD Hイールド社債 ETF | 5.34% |
6位 | SPDR ダウ インター リアル エステート ETF | 4.88% |
7位 | バンガード 米ドル建て新興国政府債券ETF | 4.46% |
8位 | バンガード 米国長期社債 ETF | 4.42% |
9位 | SPDRポートフォリオS&P 500高配当株式ETF | 4.37% |
10位 | バンガード 米国高配当株式ETF | 3.19% |
※利回りは2019年のものです
米国の株式・債券を投資対象にした海外ETFが中心となり、国内ETFよりも利回りが高い商品が多くなっています。
「バンガード」「iシェアーズ」「SPDR」「Direxion」は有名なETFの運用会社で実績もあります。
高利回りETFを探すなら、国内ETFだけでなく海外ETFにも目を通しましょう。
高利回りETFの注意点
高利回りETFに投資をする上での注意点は下記の3つです。
- 経費率を確認する
- 売買単位は商品ごとに異なる
- 権利付き最終日に気をつける
それぞれ詳しく紹介していきます。
注意点1:経費率を確認する
ETFには売買時と運用中に2種類のコストがかかります。運用中、主にかかるものが信託報酬という手数料になります。
そういった運用コストが純資産に対してどのぐらいの割合かを表したものが経費率になります。経費率が高い場合は継続的な運用コストが高いことになるので、思ったような利回りが見込めない可能性があります。
ETFは投資信託と比較すると、低い手数料の商品が多いです。しかし、ETFの中でも経費率には差があるので、利回りだけでなく経費率も考えた上で商品を選ぶ必要があります。
目安としては、ETFにおける1%の経費率は非常に高く、手数料が0.1%切るETFも存在します。できれば利回りが高く、経費率が0.5%以下のETFを選びたいところです。
注意点2:売買単位は商品ごとに異なる
ETFには売買単位が指定されており、最低購入金額は商品によって異なります。
例えば、売買単位が10で基準価額が3,000円のETFの最低購入金額は、3,000×10=30,000円です。
また、ETFは上場しているため、上場している市場が開いている間は基準価額が変動するので、最低購入金額も変動します。
注意点3:権利付き最終日に気をつける
ETFには、この日までにETFを保有していれば分配金を獲得できる権利が発生するという権利確定日があります。
しかし、権利確定日にETFを購入しても実際にETFを保有するまでには2営業日ほど時間がかかるので、権利確定日の2営業日前のことを権利付き最終日といい、権利付き最終日までにETFを購入していれば分配金が獲得できる仕組みです。
権利確定日と権利付き最終日の間に土日・祝日が挟まると、必ずしも権利確定日の2日前ではなくなります。
ETFの権利付き最終日に気をつけながら、ETFを購入することで得られるはずだった分配金が得られないという状況を防ぐことが可能です。
まとめ
高利回りETFの特徴と具体的な商品について紹介しました。下記に高利回りETFに投資をする上で必要なポイントについてまとめました。
- ETFには様々な投資対象があり、分散投資が可能
- ETFには国内ETFと海外ETFがあり、上場先が異なる
- 高利回りETFを選ぶなら分配金利回りだけでなく経費率にも着目する
ETFは高利回りを期待しながら様々な投資対象に分散投資することでリスクを分散できる商品です。
経費率などのコストも考えながら、高いパフォーマンスを維持できるETFを探して投資を検討してみましょう。