初心者が安全な投資を行うためにおすすめしたい投資商品とリスクを抑えるために心がけるべき方法を紹介。本格運用時の選択肢、要注意な自己資金以上の取引も解説。
これから投資を始める方の多くは「できるだけ安全な方法から始めたい」と考えるでしょう。投資にリスクはあることは理解していても、できるだけ損しない方法で始めたいという気持ちは誰もが理解できるでしょう。
投資には必ずリスクはありますが少なくする方法もあります。
本記事の前半では初心者に向けて、安全な投資を行うための5つの方法とリスクの低い安全な投資商品を6つ紹介します。取り組みやすいものばかりなので、投資デビューを検討している方はぜひ参考にしてください。
後半では、本格運用する際の選択肢や、要注意の安全ではない商品についても紹介しています。
安全な投資を行う5つの方法
具体的な商品を紹介する前に、まずは安全な投資のために心がけたい5つの方法を紹介します。これらを踏まえれば比較的安全に投資できるでしょう。
安全な投資を行う5つの方法は以下の通りです。
- 低リスク商品を選ぶ
- 小額投資を行う
- 分散投資を行う
- 長期運用を行う
- できるだけ国の優遇制度を活用する
それぞれ解説します。
方法1.低リスク商品を選ぶ
投資商品のリスクは一様ではありません。リスクの高いものもあれば低いものもあります。リスクの低い商品を選べば比較的安全に投資できるでしょう。
具体的には次章で紹介しますが、一般に以下のような商品が低リスクとされています。
- 保険
- 債券
上記はいずれも元本の保全性が高いです。初心者はこれら低リスク商品から投資を始めるといいでしょう。
方法2.少額投資を行う
投資金額を小さくする方法です。金融商品の多くは投資額以上の損失は発生しません(例外あり。後述します)。投資金額を小さくすることで大きな損失を回避することができます。
投資に慣れるまでは大きな金額を入れないようにしましょう。
方法3.分散投資を行う
分散投資も安全な投資に近づく方法です。以下2つの分散があります。
- 銘柄の分散
- 時間の分散
「銘柄の分散」は1つに集中せず、いくつかの銘柄に分散して投資する方法です。集中投資よりもリスクを小さくする効果があります。
「時間の分散」は投資タイミングを分ける方法です。一度に資金全額を投じるのではなく、何回かに分けて投資を行います。投資単価の平均化は図れるので、いわゆる「高値づかみ」を避ける効果が期待できます。
これら2つの分散を心がけるとより低リスク投資ができるでしょう。
方法4.長期運用を行う
長期投資にもリスクを下げる効果があります。短期的には大きな値動きを見せる資産も、長期的には一定以下の値動きに収束していく傾向があるためです。
短期的な売買を繰り返さず、長期的な運用を心がけることで安全な投資に近づくでしょう。
方法5.できるだけ国の優遇制度を活用する
国が設けている優遇制度を活用する方法です。通常よりも有利に投資できるためおすすめです。特に「つみたてNISA(ニーサ)」は「分散投資」と「長期投資」効果が高いため安全な投資を実現しやすいと考えられます。
初心者におすすめの商品6選
ここから、安全な投資ができる具体的な商品を確認しましょう。本記事では以下6つの商品をおすすめします。
- 貯蓄型保険
- 債券
- 投資信託
- ロボアドバイザー
- ポイント投資
- 単元未満株
6つの商品を、前述した「安全な投資を行う5つの方法」に該当するまたは実行可能かどうかでまとめると以下のようになります。
商品 | 「5つの方法」のうち 該当・実行できるもの | 参考利回り | 特におすすめの人 |
---|---|---|---|
貯蓄型保険 | 低リスク 長期 | 0~1% | 保険料をできるだけ早く払い込める方 |
債券 | 低リスク 長期 | 0~1% | まとまった資金を用意できる方 |
投資信託 | 少額 分散 長期 優遇制度 | 3~5% | 幅広い選択肢から選びたい方 |
ロボアドバイザー | 少額 分散 長期 優遇制度 | 3~5% | 運用に時間をかけず、自動化したい方 |
ポイント投資 | 少額 分散 長期 | 3~5% | 貯金がないor投資の疑似体験をしたい方 |
単元未満株 | 少額 分散 長期 優遇制度 | 7~10% | 株式取引の練習をしたい方 |
それぞれ確認しましょう。
貯蓄型保険
保険のうち、満期や途中解約で一定のお金が返ってくるタイプを指します。契約時に返ってくるお金が確定するためリスクの低い方法です。低金利の影響で大きな利回りは望めませんが、安全に投資できる商品といえるでしょう。
貯蓄型保険の利回りは、保険料を早く払い終えるほど上昇します。家計収支に余裕があり、保険料を早く払い込める方に特におすすめです。
債券
元本と利息の支払いが発行者によって約束されている商品です。発行者が破綻しない限り利回りが確定しているのでリスクの低い商品といえます。
注意点は最低投資額です。「個人向け国債」のように少ない金額で買えるものもありますが、他の商品と比べると最低投資額は大きめです。資金に余裕がある方に特に向いているでしょう。
投資信託
さまざまな資産で運用される商品です。投資家の資金を集め、運用会社が代わりに資産運用を行います。幅広い資産に投資を行うため「銘柄の分散」効果が強い特徴があります。
小額投資も可能です。多くの金融機関で1万円程度から購入でき、ネット証券では100円から受け付けています。運用資金に融通が利くため「時間の分散」も容易にできるでしょう。「NISA(ニーサ)」などの優遇制度にも幅広く対応しています。
投資信託はとても種類が多く、2021年6月末時点で5,891本もの数があります。幅広い選択肢から選びたい方におすすめです。
ロボアドバイザー
AIに運用をおまかせする商品です。仕組みは投資信託に似ていますが、銘柄選びや売買を一任できる特徴があります。
最初の設定や入金以外にほとんど手間がかからないため、投資に時間がかけられない方におすすめです。
ポイント投資
実際のお金の代わりにポイントで投資する方法です。現実のお金を使わないため安全に投資が可能です。
ポイント投資は投資信託か株式に投資を行いますが、これは金融機関が提供することが多いです。ポイント発行会社が直接提供するケースでは、ポイントを専用の「運用ポイント」に交換し、実際の商品に連動してポイント数が変動することが一般的です。
いずれも投資の疑似体験の要素が強いサービスです。「まずは投資の体験だけしたい」という方に向くでしょう。
単元未満株
1株または10株単位で株式取引できるサービスです。10株単位を特に「ミニ株」と呼ぶこともあります。
株式は通常100株単位で取引する必要があります。株価によっては大きな金額が必要で、例えば株価が1万円なら100万円の資金が必要となります。より少ない金額で取引できる点が単元未満株のメリットです。
少ない金額とはいえ、投資対象は実際の株式です。本格的に投資家デビューを検討している方は単元未満株で投資経験を積んでおくといいでしょう。
慣れてきたら検討したい本格運用
これまでは初心者向けに、比較的安全な投資ができる5つの方法・6つの商品をご紹介してきました。しかし初心者も知識や経験を積めば取引スタイルも変わってくるでしょう。
そこで、ここでは投資に慣れてきた方におすすめしたい本格的な資産運用を2つ紹介したいと思います。
積極派は株式がおすすめ
積極的に取引し利益を狙いたい方には株式をおすすめします。比較的値動きが大きく、短期・長期の両方で大きなリターンが期待できます。証券会社によっては国内だけでなく海外の株式にも投資可能です。
株式はリスクが高く勉強することも多いですが、代表的な資産運用です。投資に慣れてきたらぜひ選択肢に加えましょう。
おまかせ派はヘッジファンドがおすすめ
資産運用をプロにまかせたい方にはヘッジファンドをおすすめします。「ヘッジ」にはリスクを避けるという意味があり、ヘッジファンドは相場トレンドにかかわらず一定の利益獲得を目指す運用会社を指します。
資金を預けるだけで本格的な資産運用ができますが、最低投資額が大きいです。最低でも1,000万円程度の投資を求められることが一般的なので初心者には向かないでしょう。
資金に余裕があり、かつヘッジファンドの高度な運用戦略を理解できる方におすすめします。
【要注意】安全な投資とはいえない商品
最後に、安全な投資とは言い難い以下4つの商品を紹介します。
- 信用取引
- FX・CFD
- 先物
- オプション
いずれも投資額以上に損をする可能性があるため初心者は避けた方が無難です。それぞれ概要を紹介します。
信用取引
証券会社に担保を差し入れ、お金を借りて株式を買う方法です。その株式の売却代金から借りたお金を返し、残りがあれば利益に、不足すれば担保から差し引かれます。
「売り」から取引を始めることもできます。その場合は証券会社から株式を借りて売り、後で買い戻して証券会社に返します。安く買い戻せれば利益に、そうでなければ担保から差し引かれます。
自己資金の約3倍まで取引できますが、これは投資額(担保)以上に損をしてしまう可能性があることを意味します。リスクが高いため、初心者は特に避けるようにしましょう。
FX・CFD
証拠金取引を指し、こちらも自己資金以上の取引ができる商品です。特に外国為替の証拠金取引をFXといい、その他をCFDと呼ぶことが多いです。
こちらも仕組みは信用取引と似ており、自己資金以上の取引ができます。やはりリスクが高いため安全な投資とはいえません。
先物
将来の一定期間までに決済することを約束し、現在の価格で取引する方法です。「日経平均先物」が代表的ですが、他に「原油」や「小麦」などの先物もあります。FXやCFDと異なり、決済期日が決まっている点に特徴があります。
先物も自己資金以上の取引ができてしまうリスクの高い商品です。
オプション
将来一定の価格で取引できる権利を売買する方法です。ある価格で買う権利を「コール」、売る権利(買い取らせる権利)を「プット」といいます。オプションの買い手はオプション料を支払い、権利を行使することも放棄することも可能です。
自己資金以上の取引ができるためリスクが高い商品です。特にオプションの売りは理論上損失に上限がないリスクの高い取引のため注意しましょう。
まとめ
本記事の内容をおさらいしましょう。
- 投資リスクは小さくできる
- 方法・商品の工夫で安全な投資ができる
- 本格的な資産運用は慣れてから。株式やヘッジファンドがおすすめ
- 自己資金以上の取引は高リスク
投資にはリスクがあるため、損をする可能性は0ではありません。しかしリスクは工夫次第で小さくできます。本記事で紹介した「5つの方法」と「6つの商品」を参考にすれば比較的安全に投資できるでしょう。
投資に慣れてきたら本格的な資産運用も検討しましょう。積極派には株式を、おすすめ派にはヘッジファンドをおすすめします。
ただし、信用取引のように自己資金以上の取引ができるものは総じてリスクが高い傾向にあります。初心者は特に避けるようにし、投資に慣れた後でも慎重に行いましょう。