「効率的にスクリーニングして、てっとり早く割安株を見つけたいな」

 

兼業の個人投資家にとって、スクリーニングの時間を短縮し時間を捻出するのは大事です。

 

日本国内にある上場企業は3,500社を超え、欲しい銘柄を探すだけでも膨大な時間がかかります。

ですが、証券会社や専用のサイトで検索できる「スクリーニング」を上手に活用すれば、割安株を探す時間を大幅に短縮できます。

 

スクリーニング検索とは一言で表すと条件を絞って検索すること。

検索エンジンやサイトによって選べる条件は異なりますが、この記事では代表的な指標と、割安の基準となる大まかな数値を紹介します。

 

「スクリーニングの効率的な方法を知りたい!」というアナタはしっかり読んで参考にして下さいね。

スクリーニング方法①利益と株価を比較するPER

 

割安株を探す指標となるPERは「株価収益率」を表します。
税引き後の利益を企業の発行済み株式数で割ることで1株あたりの収益が求められ、株価を1株あたりの収益で割ることでPERが求められます。

 

例えば、現在の株価が200円、前期の1株あたりの収益が10円の場合、PERは20倍となります。業界のPERの平均が30倍であればこの企業は収益に対して株価が低く、過小評価されている割安株であると言えます。

PERを用いたスクリーニング基準。PER15倍未満が割安株のポイント

一般的にはPERが15倍未満であれば割安株であるとされています。
ただし、PERは同業界他社の収益状態や、企業の将来予測など相対的な基準であるため、PERのみを判断基準としてしまうのは危険です。

 

大手の他社が不良債権の処理などで大幅な赤字を計上した場合、業界の平均PERが急上昇し基準として機能しなくなることもありますし、企業内で不動産の売買や投資によって特別収益を計上した場合、その期だけ収益が大きく上昇しPERが低下するため、本来よりも割安感が助長されます。

 

PERはスクリーニングの条件としては優れていますが、割安株を判断する際にはその他の条件と組み合わせて投資先を考えるようにしましょう。

スクリーニング方法②純資産と株価を比較するPBR

 

PERと同じく割安株を探す指標となるPBRは「株価純資産倍率」を表します。純資産の中でも企業の持ち分である自己資本を、発行済み株式数で割ることで1株あたりの純資産が求められ、株価を1株あたりの純資産で割ることでPBRが求められます。

 

純資産とは企業が解散した際に、持ち株数に応じて株主のもとへ分配される資産のことです。
PBRは企業が解散した際に分配される、現在の価値を表します。

 

例えば、株価が1,000円で1株あたりの純資産が800円の場合、PBRは1.25倍となります。
この企業に株式投資をしてすぐに企業が解散した際、投資した金額の80%が戻ってくる計算となります。

 

PBRが1以下の場合、解散した時に投資した金額以上が必ず戻ってくるため、株式投資のリスクがない状態となります。

PBRを用いたスクリーニング基準。PBR1未満が割安株のポイント

一般的にはPBRが1未満であれば割安株であるとされています。
ただし、PBRが極端に低い場合、リスクがないにも関わらず株式が購入されていない理由を考えてみた方が良いでしょう。
分かりやすい理由としては企業に倒産のリスクがあることが挙げられます。

 

企業が倒産した場合、資産のうち負債によって手に入れたものを返却してから株主へと返還されることになるため、実際に戻ってくる金額はPBRが示すものより小さくなります。
PBRもPERと同様、他の条件と組み合わせて株式を評価するようにしましょう。

スクリーニング方法③利益と純資産を比較するROE

 

ROEは「株主資本利益率」を表します。
当期純利益を自己資本で割ることで求められ、割安株を探すPERやPBRと比べると、経営が上手な企業を探す指標という意味合いが強くなります。

 

企業が事業に用いる資本は、株主が出資した自己資本と負債によって調達した他人資本に分けられます。
自己資本には企業が出資した資本金も含まれますが、利益に対して自己資本が占める割合が大きいということは、負債により調達した資本よりも、株主による資本をうまく利用し利益を上げているということになります。

先に紹介したPERとPBR、ROEはそれぞれ関連しています。

 

ROE×PER=PBRとなるため、PBRが低い企業はROEかPERが低い、もしくは両方が低いと言えます。
PERの注意点として挙げたように、他社の動向や企業の財務状況を考慮する必要はありますが、ROEが高くPERが低い企業は、優良企業であるが、過小評価されている割安株であるという傾向があります。

ROEを用いたスクリーニング基準。ROE15以上が割安株のポイント

一般的にはROEが15以上であれば優良銘柄であるとされています。
ただし、経営効率が良い(ROEが高い)にもかかわらずPERが低いということは、将来の増益が期待されていない可能性もあります。
業界自体が衰退していないか、企業の純資産以外の財務状況はどうかなど、割安株を探し出した後も判断材料を持つようにしましょう。

スクリーニング方法④株価と配当金を比較する配当利回り

 

株式は持っているだけで年間に企業から受け取れる配当金があります。
配当利回りは株価に対する配当金の割合を表します。

 

配当利回りが高ければ、投資額に対して受け取れる金額が高くなるため、持っているだけでもお得な銘柄であると言えます。
配当金は株価の値動きによる利益よりも確実性が高いというメリットがあるため、株式投資の際に重視する投資家も多いとされています。

 

企業が配当金額を変更する可能性もあるため、投資の段階では配当利回りは予測値となります。

配当利回りを用いたスクリーニング基準。配当利回り2%以上が割安株のポイント

一般的には配当利回りが2%以上であれば高配当の銘柄であるとされています。ただし、配当利回りは株価が基準となるため、注意すべき点もあります。

 

例えば、配当金額が年10円で株価が1,000円だった場合、配当利回りは1%となります。
この株価が急落し500円となった時、配当利回りは2%となります。株価の現状によって配当利回りは変わるため、直近の株価の値動きはよく確認する必要があります。

 

配当金は、株価が安定している銘柄であれば比較的ローリスクで得られる利益です。
株式を長期で保有することを検討する際には必ず確認しておきたい項目です。

株主優待が充実した株式も優良銘柄の指標

また、配当金に似た株主へのリターンとして「株主優待」があり、有名なものでは飲食店の割引券などがあります。
自分の生活に合っている優待があるのであれば、これも優良な銘柄であると言えるでしょう。

スクリーニング方法⑤総資本と自己資本を比較する自己資本比率

 

自己資本比率はその名の通り、総資本に対する自己資本の割合を表します。
計算式に株価が含まれないため直接的には割安株を探す指標とはなりませんが、企業の経営状態を表す非常に重要な指標です。
自己資本比率は自己資本(総資本-他人資本)を総資本で割ることで求められます。

 

自己資本比率が高いということは借入金などの負債によって調達した他人資本が少ない、安定した経営を行えているということになります。
ROEと似ていますが、ROEは利益に対する自己資本の割合を表すため、利益の金額によって数値が変動します。

 

自己資本比率は、より企業の経営状態を見ることに特化した指標であると言えます。

自己資本比率を用いたスクリーニング基準。自己資本比率40%以上が優良株のポイント

一般的に自己資本比率は40%以上であれば倒産しにくい優良企業であるとされています。

 

この指標は高ければ高いほど経営が安定している、信頼度の高い企業であることを表します。
割安株を探す際には、企業が倒産するおそれがないか、この指標を用いて確認するようにしましょう。

割安株をスクリーニングするには、複数の投資指標から検討することが重要

 

スクリーニング検索をする際の5つの指標を紹介しましたが、どの指標も1つだけでは、必ずしも優良な割安株であると判断できるものではありません。
大切なのは複数の指標を組み合わせて判断することです。

 

投資家の中にはスクリーニング検索を活用し割安株を探す人が大勢いるため、割安のように見える株式を見つけた際も、何か投資家が購入していない理由がないか確認する癖をつけてください。

 

スクリーニング検索を活用すると株式の絞り込みができ、それを活かした銘柄の比較検討もしやすくなります。
探し出した株式が本当に優良株なのか、経営にリスクがあるために低く評価されているだけなのか、正しく判断し割安株を見つけ出しましょう。

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