個人投資家向け!富裕層が選ぶオルタナティブ投資とは?投資の種類人気ランキングTOP4も紹介!

「オルタナティブ投資ってどういう投資方法?」

一般的にはあまり馴染みのない「オルタナティブ投資」。

オルタナティブを直訳すると「代替可能な」という意味です。伝統的な投資手法の代わりになる投資方法を「オルタナティブ投資」といいます。

具体的には、ヘッジファンド・プライベート・エクイティ・コモディティ(商品)・現物不動産などの投資方法です。

近年オルタナティブ投資が注目されている理由は、投資リスクに対して、適切なリターンを期待しやすい点。

「オルタナティブ投資のことをよく知らない」アナタ向けの記事になります。

参考にして下さいね。

1、オルタナティブ投資とは?富裕層に人気の理由4つ

(1)オルタナティブ投資とは

オルタナティブ投資とは、株式や債券といった伝統的な投資対象以外への投資、あるいは様々な運用手法を駆使して、相場動向に左右されない運用を行う投資手法のことです。

主に「ヘッジファンド」「プライベート・エクイティ(未公開株式)」「不動産」「コモディティ(金や原油などの先物商品)」などあります。

(2)オルタナティブ投資のメリット

オルタナティブ投資には、主に以下のようなメリットがあります。

  • 債券や株式など伝統的な資産クラスとの相関が弱い
  • 市場(相場)の変動に左右されない絶対収益を追求できる
  • 分散投資によるリスク軽減効果が期待できる

(3)オルタナティブ投資が富裕層に人気の理由は、投資資金・リスク・リターンのバランスが取れた投資手法だから

上場株式などの伝統的な資産クラスは、誰でも自由に取引できる反面、市場の公平性や投資家保護などの面からさまざまな制約があります。

それに対してオルタナティブ投資は、富裕層あるいは、機関投資家など一部の限られた投資家を対象に、その資金力に見合うリスクを取った運用を可能にし、彼らの収益機会を拡げます。

また、大きな資産を保有する富裕層、他人の資金を預かり運用する機関投資家にとって、資産を守る(減らさない)ことは、資産を増やす以上に重要視されます。

分散投資は資産を守るために有効な対策ですが、グローバル化や金融政策などによって、国や地域間、株式・債券間の相関は強まっており、伝統的な資産クラス内の分散投資では、リスク軽減効果を得にくくなっています。

伝統的な資産クラスとの相関が弱く、より高い分散効果が期待できることも、オルタナティブ投資が富裕層に選ばれる理由と言えます。

(4)オルタナティブ投資のデメリット・注意点

収益機会の拡大やリスク分散効果など、投資における攻めと守りの両面でメリットのあるオルタナティブ投資ですが、以下のようなデメリットもあります。

  • 情報が手に入りにくい
  • 流動性が低いものもあり、換金性に問題がある
  • 運用手法や商品設計が伝統的な投資に比べ複雑で、評価が難しい

現在では小口で投資できるオルタナティブ商品も登場し、オルタナティブ投資のハードルは下がってきています。

ただ、本来リスク許容度の高いプロの投資家向けの投資手法であり、自由度が高い分だけ、高い情報収集能力や分析力、リスクコントロール能力が求められる投資手法であることに変わりありません。

2、オルタナティブ投資の4つの種類。特徴を知りリスク管理に活かそう

(1)ヘッジファンド投資

ヘッジファンド投資とは、さまざまな運用手法・戦略を駆使し、市場間の価格の不均衡や情報格差などから、相場の動向によらず絶対的な収益獲得をめざす投資手法。ヘッジファンドでは、主に以下のような戦略が用いられており、どの戦略を採用するかは、ファンドの投資方針などによって異なります。

株式ロング・ショート戦略割安と判断した銘柄の買い(ロングポジション)、割高な銘柄の売り(ショートポジション)を同時に行い、どちらか、あるいは両方の株価が適正水準に修正された段階でポジションを解消し、利益を得る戦略。業績相場に強み。
マーケット・ニュートラル戦略株式ロング・ショート戦略において、ロングポジションとショートポジションを同じ金額ずつ保有し、市場全体の変動による影響を取り除き、実際の株価と本来あるべき株価(理論株価)とのズレに起因する株価の変動率の差から利益を得る戦略。業績相場に強み。
マネージド・フューチャー戦略株式、債券、為替、原油・金属などコモディティの上場先物を対象として、それぞれの指標の数量データをコンピュータで処理・分析し、強いトレンドの発生局面を読んでレバレッジをかけて投資する戦略。トレンド相場に強み。
イベント・ドリブン戦略株価に大きな影響を及ぼす重大なイベント(M&A、新規上場、経営破綻、株価指数への採用・除外)に起因する株価のミスプライスから収益を狙う戦略。
グローバル・マクロ戦略世界経済や市場の分析に基づいて、ファンドマネージャーやAIなどの運用モデルの裁量で投資先や投資配分などを決定する戦略。
ディストレスト戦略破綻した、あるいは破綻に瀕した企業や国の株式、債券、不動産などの保有資産を安値で買いあげ、債券回収や企業再生による株価の回復により利益を得る戦略。
マルチストラテジー複数の戦略を組み合わせてひとつのファンドとする戦略。リスク分散効果が高いため、大型ファンドで多く採用される。

ヘッジファンド投資のメリット

  • 相場によらずプラスのリターン(絶対収益)をめざす運用ができる
  • オルタナティブ投資による資産分散効果(相場の変動に対するリスクヘッジ)

ヘッジファンド投資のデメリット

  • パフォーマンスは、ファンドの投資方針、ファンドマネージャーの手腕に大きく左右される
  • まとまった投資資金が必要(最低投資額1000万円〜数億円)
  • 近年パフォーマンスは低下傾向

(2)プライベート・エクイティ投資

プライベート・エクイティ投資とは、未上場企業の株式(プライベート・エクイティ)を取得し、企業価値を高めて別の企業へ売却したり、株式を上場させて市場で売却することによって収益獲得をめざす投資手法です。

MBOやTOBによって上場企業の株式を取得し、非上場化した上で企業価値を高め、売却、再上場させるといった手法もあります。投資対象となる企業のステージや、アプローチによって、さらに細かく分類され、代表的なものには以下の4つのタイプがあります。

タイプ投資対象
ステージ
ベンチャーキャピタル
(VC)
創業〜成長期企業・事業の将来性や成長性を見込んで投資。IPOやM&Aなどによりエグジットに成功すれば、投資資金の数十倍から数百倍リターンが得られる。一方で、IPOなどに至らないケースも多く、ハイリスク・ハイリターンの投資となる。

VCは投資事業のステージによって、さらにシーズ、スタートアップ、アーリーステージ、レイトステージなどに細かく分類される。

バイアウト投資成長〜成熟期事業が軌道に乗り、一定のキャッシュフローを生み出している企業に投資。出資によって経営に関与し、企業価値を高めた上で株を売却しリターンを得る。
企業再生投資衰退期成長に陰りが見え始めた企業に投資。不採算部門や人員整理などの指揮をとり、経営の立て直しを図ることで企業価値を向上させ、最終的に売却しリターンを得る。
ディストレスト投資破綻後経営破綻した企業の債券などを債権者から額面より安く買い取り、破綻企業の保有する資産から債券回収を図るなどしてリターンを得る。その手法から「ハゲタカ」などとも呼ばれることもある。

プライベート・エクイティ投資のメリット

  • 上場株式への投資を上回る高い投資リターンが期待できる(資金提供だけにとどまらない経営への積極的な関与)
  • オルタナティブ投資による資産分散効果(相場の変動に対するリスクヘッジ)

プライベート・エクイティ投資のデメリット

  • 換金性・流動性が低い
  • 不確実性が高くハイリスク・ハイリターン
  • 短期的なリターン確保は難しい
  • パフォーマンスはファンドの投資手腕に大きく左右される(投資先企業の経営に関与して企業向上・企業再生を図るため、企業価値向上や企業再生のための専門的な知識と能力も問われる)

(3)不動産投資

不動産投資には、実際の不動産物件に投資し、値上がり益や賃料収入を狙う現物投資、REIT(不動産投資信託)、MBS(モーゲージ証券)など不動産証券化商品への投資があります。

■不動産投資のメリット

  • 収益源が賃料収入であり、比較的安定したパフォーマンスが期待できる
  • オルタナティブ投資による資産分散効果(相場の変動に対するリスクヘッジ)

■(現物投資のメリット)

  • 借入によるレバレッジ効果
  • 節税効果

■不動産投資のデメリット

  • 不動産価格の変動リスク
  • 金利変動リスク

■(現物投資のデメリット)

  • 換金性・流動性が低い
  • 災害リスク
  • まとまった投資資金が必要

上場不動産投資信託であれば上場株式と同様に比較的少額から投資でき、換金性・流動性が高まります。その反面、証券市場の影響による価格の変動が大きくなり、資産分散効果は弱まります。

(4)コモディティ投資

コモディティ投資とは、主に商品先物市場で取引されるエネルギー資源(原油・ガソリン・天然ガスなど)、貴金属(金・銀・プラチナなど)、穀物(トウモロコシ・大豆など)などへの投資。

「有事の金」といわれるように、コモディティのひとつである金はリスクオフ局面に強く、現物・先物とも資産分散の対象として多用されています。

■コモディティ投資のメリット

  • オルタナティブ投資による資産分散効果(相場の変動に対するリスクヘッジ)

■コモディティ投資のデメリット

  • 天候・作況・資源需要など商品ごとの価格変動リスク
  • 配当がない(インカムゲインは発生しない)
  • 為替リスク

3、GPIFがオルタナティブ投資を拡大するなど期待値は高い。今後も新興国への投資が広がる見込み

前述のように、グローバル化や金融政策などによって、伝統的な資産クラス内の分散効果は低下しており、より高い分散効果を求めて、オルタナティブ投資への資金流入は今後も続くと見込まれます。

日本のオルタナティブ投資の規模は米国などに比べ小さいものの、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)がオルタナティブ投資を拡大する方針を示すなど、着実に広がりを見せています。

ソフトバンクグループのプライベート・エクイティ投資は高リターンを記録

プライベート・エクイティ投資においては、ソフトバンクグループが中心となって立ち上げた、ソフトバンク・ビジョン・ファンドが急速に規模を拡大し、これまでのベンチャーキャピタル投資とは一線を画す手法で、驚異的なリターンを叩き出していたことが記憶に新しいです。

また新興国の都市化や先進国のインフラ改修、再生可能エネルギーへのシフト、自動運転など新技術対応のインフラ整備といった需要増加によって、インフラ施設を投資対象とするインフラファンドの成長が予想され、注目を集めています。

ヘッジファンドのオルタナティブ投資は運用成績が振るわず苦戦

一方、オルタナティブ投資の中核を担うヘッジファンドでは苦戦が続いています。

好調な相場環境が長期にわたり続いたことやコンピュータ取引の拡大による市場間の価格の不均衡や情報格差の縮小などにより、投資家から期待される収益を上げづらくなったことがその要因として考えられます。

今後上昇相場が終焉を迎えたときに、ヘッジファンドはその真価を問われるといえます。

4、オルタナティブ投資とともに拡大する「アクティビストファンド」が株主価値向上に繋げる

物言う株主ともいわれるアクティビストは、経営に影響力を持てる規模で上場企業の株式を取得し、企業に対し株主価値の最大化につながる要求や提案など行う投資家のことです。

アクティビストの投資手法は、企業価値を高めるため、投資先企業の経営に積極的に関与していくという点で、オルタナティブ投資のひとつであるプライベート・エクイティ投資に似ています。

プライベート・エクイティ・ファンドは、企業の株式を議決権の過半数を取得して経営権を握り、非上場化、不採算事業や人員のリストラによる経営効率化など、企業の体制を大きく変える可能性があります。

対して、アクティビストは、経営権までは握らず、経営陣との対話を通じて経営の改善などを要求していくといった違いがあります(敵対的な買収を仕掛けるアクティビストファンドもありますが)。

欧米の企業に比べ、株主による経営への関与に対して抵抗が残る日本企業には、友好的なアクティビストファンドのスタイルのほうが受け入れやすいといえ、ファンド側にとっても、多くの手間と時間、資金が必要となる買収によらず、企業価値の向上を図れるメリットがあります。

コーポレートガバナンス・コードやスチュワードシップ・コードの制定など、企業に対し経営効率や株主を重視した経営を求める仕組みが日本で整いつつあることも、アクティビストファンドにとって追い風となっています。

オルタナティブ投資の一翼を担う存在として、アクティビストファンドの活躍も期待されます。

5、オルタナティブ投資は機関投資家だけではなく、個人投資家でも投資できる

いかがでしたでしょうか。

オルタナティブ投資は、富裕層あるいは機関投資家などリスクを取った運用のできる投資家に収益機会を提供するとともに、伝統的な資産クラスとの分散効果により、攻めと守りの両面でメリットのある投資手法です。

かつては一部の限られた投資家しか投資できなかったオルタナティブ投資も、今では小口で投資できる商品の登場などにより、一般の投資家でも投資できるようになってきています。

その仕組みやリスクなどを理解した上で、相場環境に左右されない絶対収益の獲得やリスクヘッジの方法として、オルタナティブ投資という選択肢を持っておくとよいでしょう。

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