あなたも投資を考える中でプライベートエクイティファンドを利用することを考えたことがあるのではないでしょうか。
しかし、プライベートエクイティファンドは名前こそ様々な場面で目にしますが、それがどういった組織および投資形態であるか具体的なイメージを持っていない人も多いでしょう。
そこで、この記事では以下の点について解説します。
- プライベートエクイティファンドとはどんな組織・投資形態なのか
- プライベートエクイティファンドを利用した投資の特徴
- プライベートエクイティファンドとヘッジファンドの違い
この記事を読み、プライベートエクイティファンドを理解してあなたの投資の幅を広げていきましょう。
投資スタイルが幅広いということは、それだけリスクを分散させることにも繋がり、長期的な視点で見ると利益を上げることに繋がります。
1、プライベートエクイティファンドとは
プライベートエクイティファンドとは一言でいえば、未公開株式に投資するファンドを指します。
そもそもプライベート・エクイティというのが「未公開株式」を意味する語であり、公開株式の対義語となります。
そんなプライベートエクイティファンドが投資する未公開株式は以下の特徴を持っています。
- 原則として市場価格が存在しない
- 流動性が低い
- 運用者により株式価値が大きく変動する
- IR情報が公開されていない場合が多く、株式発行者についての情報が得にくい
大企業がTOBやMBOを利用して自社を未公開化し、そこにプライベートエクイティファンドが絡む形もありますが、一般的にプライベートエクイティファンドが投資対象とするのは中小企業などの未公開株式です。
未公開株式を100%近く握り、腰を据えて会社再建・経営の改善・株式価値の向上を目指すのがプライベートエクイティファンドなのです。
2、プライベートエクイティファンドの種類
プライベートエクイティファンドは未公開株式への投資を行いますが、対象とする企業の状態によって以下の3つのタイプに分けられます。
- ベンチャーキャピタルファンド
- バイアウトファンド
- ディストレストファンド
(1)ベンチャーキャピタルファンド
ベンチャーキャピタルファンドはベンチャーと名がつくことからわかるとおり、若く有望な会社へ資金を入れ込んで投資するタイプになります。
高い技術や斬新なアイディアを持っている若い企業を見つけ出し、資金投入して会社を成長させ、最終的にリターンを得る形です。数十倍ないし数百倍のリターンを得るためには、会社がなるべく若い段階で投資を行う必要があります。
(2)バイアウトファンド
バイアウトファンドとは特定の会社の一部門を成す事業を新設分割などの手続きを利用して切り出し、経営の改善や事業戦略の見直しを行い、事業価値を向上させるものです。
ベンチャーキャピタルファンドが資金面でのサポートの側面が強かったのに対し、バイアウトファンドは経営面に対して大きくサポートしていくところが特徴です。
(3)ディストレスファンド
ディストレストファンドは債務超過状態にあるような経営不振の企業を再生させるものです。
バイアウトファンドはあくまでもある程度は経営状態が健全な会社を投資対象とするのに対し、ディストレストファンドは慢性的に赤字が続いているような企業が対象となります。
中には買収価格が1円になるほど経営状態が悪い会社を再生させることもあります。
資金面と経営面の双方からのサポートが必要となります。
3、プライベートエクイティファンドを利用するメリットとデメリット
ここまで解説してきたとおり、プライベートエクイティファンドによる投資は未公開株式を投資対象とすることから、証券会社による株式市場を利用できない点に大きな特徴があります。
それに関連して、プライベートエクイティファンドを利用するメリットとしては以下のものが挙げられます。
(1)メリット
・投資期間が3年から10年のように長くなる傾向がある
・経営に深く参画するため自力で株式価値の向上を目指すことができる
・若く有望な企業へ早い段階から投資することでハイリターンを狙いやすい
・同業他社を再生させるような場合、自社の経営ノウハウを流用できる
プライベートエクイティファンドは短期的な利ざやを狙うのではなく、あくまで経営などに積極的に関わっていき企業の成長をサポートもしくは企業の再生を目指す投資の形態なのです。
まさに自分の企業を育てていくように投資を行います。一方で、プライベートエクイティファンドには以下のようなデメリットも存在します。
(2)デメリット
・個人で投資することができる場が少ない
・株式が未公開であることから流動性に乏しく、好きなタイミングで換金できない
・不確実性が高く、リスクも高い
・利益を得られるタイミングが予測しにくい
・経営に参画する人材により投資の成果が大きく左右される
このようにプライベートエクイティファンドに投資する場合には明確なメリットとデメリットがあります。
また個人投資家は投資する場を見つけることすら難しいのも現状です。
しかし、それを補って余りあるロマンチックな魅力がプライベートエクイティファンドにはあります。
4、ヘッジファンドとは
プライベートエクイティファンドを理解する上では、ヘッジファンドとの比較が有用です。
ここでは、ヘッジファンドについて簡単に見ていきましょう。
ヘッジファンドとは「絶対収益」を目指します。
絶対収益とは、株式市場全体値上がり・値下がりにかかわらずに、利益を追求するタイプの運用です。
これに対して、投資信託はファンドごとに設定される競争相手との関係で相対的な収益を目指します。
またヘッジファンドは私募ファンドであり、特定の富裕層や機関投資家のみを相手として募集されます。
さらにヘッジファンドは絶対収益を上げることを目的としているため、投資の手法や投資期間の自由度が高くなっている点にも大きな特徴があります。
株式のみならず、先物取引なども積極的に利用していきます。
ヘッジファンドはどのような場面でも利益を得ることを目的とするため流動性の高い金融商品に投資していきます。
そのためヘッジファンドが投資対象として未公開株式を選択することはほとんどないと言って良いでしょう。
5、プライベートエクイティファンドとヘッジファンドを比較してみよう
ここではプライベートエクイティファンドとヘッジファンドを実際に比較していきましょう。
そうすることで、プライベートエクイティファンドの具体的な姿が見えてくるでしょう。
投資対象となるものについては、プライベートエクイティファンドが未公開株式であるのに対して、ヘッジファンドは流動性の高い金融商品全般と幅があります。
次に投資期間については、プライベートエクイティファンドは長い期間を設定することが多いです。
それは、プライベートエクイティファンドが未公開株式を買い、資金面および経営面で企業をサポートして株式価値を上げて最終的なリターンを得ることを目指すためです。
これに対して、ヘッジファンドは常に市場の動きを先取りして利益を上げ、リスクを回避するものであるため投資期間には実に幅があります。
株式を買った数分後にまた売却するということも珍しくありません。
長期的なリターンを目指して腰を据えるのがプライベートエクイティファンド、短期的なリターンを迅速に積み重ねていくのがヘッジファンドということができます。
このようにプライベートエクイティファンドとヘッジファンドでは、投資対象および投資期間について大きな違いがあります。
プライベートエクイティファンドは企業再生なども視野に入れた経営サポート的な側面が強い投資形態なのです。
またプライベートエクイティファンドであれば、スタートアップ段階の有望企業に投資し、将来的に莫大なリターンを得るといったロマンチックな投資の場面に遭遇できる場合もあります。
基本的に流動性の高い金融商品を投資対象としているヘッジファンドでは難しい投資の形です。
6、プライベートエクイティファンドはじっくりと会社を成長させる
ここまでいかがだったでしょうか?
プライベートエクイティファンドの実態が見えてきたでしょうか?
以下はこの記事で紹介したプライベートエクイティファンドの特徴のまとめです。
- 未公開株式に投資する
- 投資対象となる企業の状態によって3タイプがある
- 投資対象となる会社の経営に深く参画する
- 投資期間が長くなる傾向がある
- ハイリスク・ハイリターン
このようにプライベートエクイティファンドにおいて投資をするということは、起業して会社を一から育てていくことと似ている側面があります。
その分、投資対象となる企業に愛着を持って成長を見守ることができるのです。
企業の成長・再建を長期的な視野でサポートできるロマンチックな投資がプライベートエクイティファンドなのです。