ヘッジファンドという言葉を聞いて、2006年に騒がせたファンド事件のことを思い出す人も多いでしょう。

一度メディアによって世間に植え付けられたイメージはそう簡単には消えないものです。

そのファンドの事件の影響もあってか、ヘッジファンドという言葉にはどことなくブラックなイメージが付きまとっています。

 

しかし、そのイメージは本当に正しいものでしょうか。ヘッジファンドの実態を知れば、よくないイメージが払拭されることもあるでしょう。

また、資産を持っている人にとってはヘッジファンドを利用してさらに資産を増やす契機となるかもしれません。

今回は、ヘッジファンドがブラックなイメージを持っている理由、そして怪しい業者を見分けるポイントについて解説します。

特徴①ヘッジファンドは投資の犯罪集団なのか?

「ヘッジファンドって犯罪のイメージがある・・」

ヘッジファンドは犯罪集団なのか?について考えていきましょう。

(1)ヘッジファンドは違法・詐欺行為を行うのか?

ヘッジファンドの中には、違法な資産運用や詐欺行為などによって大きな利益を上げているところも確かに存在するでしょう。

しかし、それはごく一部のヘッジファンドに限った話で、ほとんどのヘッジファンドは法律にのっとった真っ当な運用によって利益を上げています。

(2)投資関連の事件が起こるとメディアがヘッジファンドを取り上げるから

それでは、どうしてヘッジファンドに犯罪的な集団だというイメージが付いてしまったのでしょうか。

それは、何か事件が起きるたびにメディアが大きく取り上げることの影響が大きいためだと考えられます。

 

ヘッジファンドが国民から不当に資金を集めて莫大な利益を上げたというような事件は、メディアにとっては格好のネタです。

そうした事件が起きるたびに視聴率を上げたいメディアは大きく取り上げます。

 

その結果、視聴者の間で「ヘッジファンドはよくないもの」というイメージが広まり、だんだんと定着していったことが予想されます。

一部のヘッジファンドの悪行によって業界全体に悪いイメージが付いてしまい、真っ当に運用を行っているヘッジファンドにとっては痛恨の極みだといえるでしょう。

特徴②ヘッジファンドの多額の投資資金で市場を操作している?

 

ヘッジファンドが市場を操って利益を上げているのではないかと疑っている個人投資家も中にはいます。

(1)ヘッジファンドが相場操縦している疑問

この疑惑の背景には、あるヘッジファンドがイギリスポンドを大量に売り込んで莫大な利益を得た事件などがあるのでしょう。

この事件によってイギリスポンドは大暴落し、そのヘッジファンドは一夜にして1000億円もの利益を上げました。

 

確かに、これは見方によってはヘッジファンドが豊富な資産を利用して市場操作を行ったように思えるかもしれません。しかし、実態はもう少し複雑です。

事件が起こった1992年当時、イギリスはユーロの実現に向けてドイツのマルクに対するポンドのレートをある程度固定するシステムを採用していました。

事件を引き起こしたヘッジファンドのCEOは、その固定レートが市場の適正価格に比べて不当に高いものだと判断し、イギリスポンドの売り込みで暴落へと導いたのです。

(2)ヘッジファンドは金融商品を適正価格に導いている

このように、価格のゆがんでいる金融商品を見つけて適正価格に戻すような売買を行うのは王道の投資手法です。

こうしたヘッジファンドのやり方は、市場を操っているというイメージを与えることもあります。

しかし、むしろ市場価格を適正値に戻すよう努めているという見方のほうが道理にかなっているといえるでしょう。

特徴③ヘッジファンドは莫大な利益で、多額の報酬を受け取っている?

 

ヘッジファンドには派手な運用で利益を上げているというイメージもあるでしょう。

(1)ヘッジファンドはレバレッジを効かせ莫大な利益を上げている?

実際に、高いレバレッジを設定して年率50~100%という高い運用利回りを追求するヘッジファンドも中には存在します。

レバレッジとは預ける資産以上の取引が行えるシステムのことです。

たとえば、レバレッジが3倍のヘッジファンドに1000万円預けたとすると、その顧客は3000万円までの取引を行うことができます。

すなわち、少ない元手で大きな利益を上げられる可能性があるシステムだということです。

(2)ハイリスク・ハイリターンの投資をするヘッジファンドも存在

しかし、大きな利益を上げられる方法には大きな損失を出すリスクもあります。

こうしたリスクをともなう運用を行っているヘッジファンドは避けるのが無難でしょう。

(3)ファンドマネージャーの高すぎる報酬も印象が悪い

また、ヘッジファンドのマネージャーは多額の報酬を受け取っているという噂もヘッジファンドのイメージを悪くしている要因の1つでしょう。

マネージャーの給料は運用成績に応じて決まってくるので、資産運用で多額の利益を出せばその分、給料も高くなります。

その代わり、利益を上げることができなければ給料は必要最低限の金額となるでしょう。

 

こうしたシステムはマネージャーのモチベーションを高めるためのものであり、結果的に顧客が大きな利益を受け取れる可能性も上がることになります。

日本人には協調性を重んじる国民性があるので、多額の報酬を受け取るマネージャーによくない印象を抱く人も多いでしょう。しかし、運用によって得た利益はきちんと顧客にも還元されているのです。

特徴④ヘッジファンドは富裕層だけを顧客にしていて、表に情報が出てこない

 

周りにヘッジファンドに投資している人がいないために、そもそも表に出ることがない集団なんじゃないのかと考えている人もいるでしょう。

(1)ヘッジファンドが投資の表舞台に登場しない理由は、富裕層が顧客だから

しかし、ヘッジファンドが日常的な話題になかなか上がらないのには理由があります。

多くのヘッジファンドでは、顧客の数を抑えるために最低投資額を1000万~1億円に設定しています。そのため、富裕層以外はヘッジファンドを利用するのが難しいのです。

 

意図的に顧客の数を抑えることには、顧客管理のコストを下げたり、1人1人の顧客とじっくり相談したりするなどの狙いがあります。そうすることで、ヘッジファンドは主に富裕層を対象に利益をもたらしているのです。

(2)日本のヘッジファンドの運用資産は178兆円で拡大中(2017年時点)

日常的にはヘッジファンドが目立つことはあまりありませんが、日本のヘッジファンドの数は2000年以降増え続けています。2017年12月末の時点でヘッジファンドの数は1万本を超え、運用資産の総額は約178兆円を記録しています。

 

日本でも富裕層の間でヘッジファンドの知名度は高まってきており、ひっそりとその勢力を伸ばしているのです。このように、表に出ない集団だから関わらないと一概に断じることはできないでしょう。

特徴⑤ヘッジファンド業者の選び方。投資先詐欺に遭わないために見極め方

 

日本には数多くのヘッジファンドが存在します。それだけに、どこに運用を任せればいいのかを正しく判断するのは難しいことだといえるでしょう。

そこで、怪しい業者に運用を任せて失敗しないためのポイントを3つ紹介します。

(1)金融商品を投資対象とするヘッジファンドを選ぶ

1つ目のポイントは、金融商品を投資対象としているところを選ぶことです。

ヘッジファンドの投資対象は株や通貨などの金融商品だけではありません。

中には、さまざまなビジネスに投資を行っているヘッジファンドもあります。

しかし、金融商品と比べるとビジネスの収益性を見極めるのは難しく、特に初心者であれば避けたほうがよい分野だといえるでしょう。

(2)リターンを確約するファンドは避ける

2つ目のポイントは、将来のリターンを約束しているところとは契約しないことです。

投資という行為の性質上、必ず利益が上がるということはあり得ません。

年間20%の運用利回りを約束しているなど、極端な宣伝を行っているヘッジファンドには気を付けましょう。

(3)中長期的な投資プランをもったファンドを選ぶ

3つ目のポイントは、中長期的な運用計画を立てているところを選ぶということです。

短期的な投資は運に左右される要素が大きく、より確実に利益を上げるためには不向きだといえます。

また、短期投資と称して顧客の資産をだまし取る詐欺手法もあるので、なるべく中長期の投資を行っている業者を選ぶようにしましょう。

ヘッジファンドは業者を見極めて投資リターンを最大化しよう!

日本ではヘッジファンドそのものがあまり理解されておらず、多くの人がよくないイメージを抱えています。

しかし、そうしたブラックなイメージのほとんどは誤解や偏見によるものです。

確かに、ヘッジファンドの詐欺についてのニュースなどを目にすることはありますが、それらは一部の悪徳業者によって行われたものです。

ほとんどのヘッジファンドは真っ当に運用を行っているのが実態なのです。

ヘッジファンドについての正確な知識を身に付け、うまく利用して資産を増やすチャンスをつかみましょう。

 

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