5000万円で分散投資をしてポートフォリオを作成するのは投資初心者にとっては非常に難しいです。
なぜなら、5000万円あれば投資の選択肢の幅が非常に広いので、どの商品に投資をすればいいのか選択肢が広いため迷うことが非常に多いからです。
「債券の比率を上げてリスクを下げたい」「株式の比率を上げてリターンを狙いたい」と手持ちの5000万円でどのくらいの利益を見込むのかによってポートフォリオの適切な構成は変化します。
この記事では5000万円でポートフォリオを組むときの考え方とポートフォリオを簡単に作成する方法を解説していきます。最後に運用のシミュレーションも載せていますので参考にしてくださいね。
5000万円でポートフォリオを組むときの基本的な3つの考え方
5000万円があれば様々な金融商品に投資することが可能です。株式、債券はもちろん、不動産や金などの実物資産を保有するのもよいでしょう。
分散投資をするうえで重要なのはバランスです。資産のバランスを整えてより効率的に運用していくためには理想的なポートフォリオを組み必要があります。
5000万円でポートフォリオを組むときに押さえておくべき、基本的な考え方を見ていきましょう。
- 債券比率を増やすと低リスク、株式比率を増やすと高リスク
- 金融商品は国内と海外でバランスよく保有する
- リバランスを考える
考え方1:債券比率を増やすと低リスク、株式比率を増やすと高リスク
金融商品において債券はリスクが低く、株式はリスクの高い商品です。債券は満期保有をすれば元本確保型の商品であるため途中売却する場合であっても価値が変動しにくく、株式は1日の値幅の制限はされていますが値動きの激しい特徴があります。
具体的には、5000万円で債券の比率が60%以上であればローリスクなポートフォリオであり、株式の比率が60%以上なら大きなリターンを狙うポートフォリオであるといえます。
「できる限り安全に運用したい」「リスクを取っても利益を上げたい」それぞれの方針を基に債券と株式のバランスを決定することがあなたの理想的なポートフォリオ作成の基準になるでしょう。
また、景気がいいときは株価が上昇しやすいので株式が買われやすく、景気が悪いときはリスクを回避するために債券が買われやすくなるため、両方をバランスよく持つことで様々な状況に対応しやすくなります。
債券と株式のバランスを意識して銘柄の組み入れ率を決定することがポートフォリオを作成するうえで重要です。
考え方2:金融商品は国内と海外でバランスよく保有する
債券と株式のバランスだけではなく、国内商品と海外商品のバランスも意識しましょう。
円建ての国内の商品だけを保有すると円安の場合に資産が減少します。一方でドル建て商品だけを保有していても円高になった場合に資産が減少します。
5000万円でポートフォリオを組むなら株式と債券などの商品の種類だけでなく国内株式、海外債券など種類を考えて保有することが重要です。
例えば、株式と債券の比率が50%ずつであれば、株式、債券ともに国内の商品を25%、海外の商品を25%保有することでバランスを保ちます。
株式と債券の比率を決めた後は、国内と海外の商品を偏り過ぎないように保有することが必要です。
考え方3:リバランスを考える
5000万円で株式と債券、国内と海外の商品をバランスよく購入してポートフォリオを作成できたとします。
しかし、保有している商品を売却し、商品を追加購入するとポートフォリオのバランスが崩れてしまうことがあります。バランスを元に戻すために売却や購入をすることをリバランスといいます。
例えば、国内債券、海外債券、国内株式、海外株式をすべて25%ずつ保有していたとしても、海外株式を購入して、国内債券を売却して海外株式の保有率が35%、国内債券の保有率が15%になったとすればポートフォリオのバランスが崩れている状態です。
5000万円でバランスの良いポートフォリオを組んでも、リバランスをしていないと当初見込んだリスクとリターンのバランスで運用できない可能性があります。
この場合は、海外株式を10%売却して、国内債券を10%購入することでバランスを整えるようにしましょう。
5000万円で最良のポートフォリオで運用するためには一度作って満足するだけでなく、定期的なリバランスを心がけることが重要です。
5000万円でポートフォリオを簡単に作る方法
ここまでポートフォリオについて説明しましたが、5000万円あればバランスのいいポートフォリオを作れますが、自分で債券、株式の投資対象を選定し、リバランスを考えながら運用するのは初心者には難しく、管理の手間がかかり過ぎるデメリットがあります。
ポートフォリオを簡単に作るには投資信託、ヘッジファンドを利用するのがおすすめです。どちらの商品も自分で運用する必要がなく、資産運用の専門家が資産を預けるだけで適切なポートフォリオに基づいて資産を運用してくれます。
ここからは管理の手間がかかりにくいヘッジファンドと投資信託について解説していきます。
ポートフォリオを組む時間がない方はヘッジファンドに投資する
ポートフォリオを組んで自分で運用する時間がなく、分散投資をするのも面倒くさいと感じる方にはヘッジファンドがおすすめです。
5000万円をすべてヘッジファンドに預け運用してもらえば、ヘッジファンドのファンドマネージャーが適切なポートフォリオであなたの資産を運用してくれます。
ヘッジファンドは通常の証券会社では購入できない商品であり、投資助言会社に仲介してもらうか、ヘッジファンドの運用会社に直接問い合わせをして直接投資する必要があります。
最低投資金額も1000万円以上かかるので投資のためのハードルは高いですが、5000万円があれば投資することは難しくありません。
また、海外のヘッジファンドに直接投資するのは日本からでは仲介してもらわなければ難しいですが、ヘッジファンドは日本にもあるので日本のヘッジファンドに投資をするなら直接投資も可能です。
日本のヘッジファンド自体は多くはありませんが、直接投資をするなら仲介手数料がかからないので運用のために余計なコストを支払う必要がないのでおすすめです。
投資信託に分散投資して簡単にポートフォリオを作成
投資信託はファンドマネージャーに資産を預けて投資をする商品で、ヘッジファンドと異なるのが次の2点です。
証券会社で広く投資家を募集しているため投資のハードルが低い
行政の監視を受けているため自由な運用ができない
行政の監視があるということは運用に不透明な部分が少なく、投資信託の目論見書を確認すれば何に対して投資をしている投資信託か分かります。
具体的にどのようなポートフォリオで資産を運用しているのか組み入れ銘柄を知ることができる投資信託もあります。
また、国内株式や海外株式など投資対象が定まっていることが多いです。
投資信託自体が分散投資かつ運用をプロに任せられる商品ですが、投資対象の異なる投資信託に分散投資すればバランスよく管理の手間がかからないポートフォリオが実現します。
投資信託にはインデックスファンドとアクティブファンドがありますが、インデックスファンドは東証株価指数などの指数に連動した運用成績を目指す投資信託で、アクティブファンドは指数以上の成績を目指す投資信託です。
しかし、アクティブファンドは簡単にいえば運用が不自由なヘッジファンドであり、行政の監視があるのでヘッジファンドほど利益を出すことが難しく、手数料がインデックスファンドより高い特徴があるので、運用が長期であれば長期であるほどインデックスファンドに運用成績で負ける可能性が高くなります。
投資信託に投資をするならインデックスファンドの投資対象を確認してバランスよく投資するようにしましょう。
5000万円をそれぞれのポートフォリオで運用した場合のシミュレーション
最後に5000万円を低リスクのポートフォリオと高リスクのポートフォリオ、ヘッジファンドで運用した場合の利回りをシミュレーションしていきましょう。
低リスクのポートフォリオで運用した場合
債券比率が高い低リスクのポートフォリオで運用した場合、年間3~5%程度の利益が見込めます。
慎重に運用することを目的としてポートフォリオを作成し、10年間で毎年3%の利回りが発生した場合の利益を下記にまとめました。
年数 | 元金 | 増加金額 | 運用結果 |
---|---|---|---|
1年 | 5000万0,000円 | 150万0,000円 | 5150万0,000円 |
2年 | 5150万0,000円 | 154万5,000円 | 5304万5,000円 |
3年 | 5304万5,000円 | 159万1,350円 | 5463万6,350円 |
4年 | 5463万6,350円 | 163万9,090円 | 5627万5,440円 |
5年 | 5627万5,440円 | 168万8,263円 | 5796万3,703円 |
6年 | 5796万3,703円 | 173万8,911円 | 5970万2,614円 |
7年 | 5970万2,614円 | 179万1,078円 | 6149万3,692円 |
8年 | 6149万3,692円 | 184万4,810円 | 6333万8,502円 |
9年 | 6333万8,502円 | 190万0,155円 | 6523万8,657円 |
10年 | 6523万8,657円 | 195万7,159円 | 6719万5,816円 |
10年間の利益の合計 | 1719万5,816円 |
低リスクのポートフォリオで運用した場合も10年間で2000万円近くの利益が発生しました。債券比率を高めると運用利益が安定しやすいので、実際に運用してもこのような結果に落ち着く確率が高いです。
2020年は新型コロナウイルスの影響で市場が大きく暴落しましたが、そのような緊急事態が発生した場合にもリスクに備えたい方は低リスクのポートフォリオで運用するのがおすすめです。
高リスクのポートフォリオで運用した場合
株式比率の高いリスクのあるポートフォリオは15%以上の利回りが出る年もあれば、利益がマイナスになる年もあるので安定しにくいです。
平均にすると年間6~8%程度の利回りに落ち着くかと思います。
毎年の利回りが一定の利率になることは高リスクのポートフォリオでは基本的に起こり得ないことです。しかし、平均して10年間で6%の利回りが発生したと仮定した場合にどれくらい資産が増えるのかシミュレーションしていきます。
年数 | 元金 | 増加金額 | 運用結果 |
---|---|---|---|
1年 | 5000万0,000円 | 300万0,000円 | 5300万0,000円 |
2年 | 5300万0,000円 | 318万0,000円 | 5618万0,000円 |
3年 | 5618万0,000円 | 337万0,800円 | 5955万0,800円 |
4年 | 5955万0,800円 | 357万3,048円 | 6312万3,848円 |
5年 | 6312万3,848円 | 378万7,430円 | 6691万1,278円 |
6年 | 6691万1,278円 | 401万4,676円 | 7092万5,954円 |
7年 | 7092万5,954円 | 425万5,557円 | 7518万1,511円 |
8年 | 7518万1,511円 | 451万0,890円 | 7969万2,401円 |
9年 | 7969万2,401円 | 478万1,544円 | 8447万3,945円 |
10年 | 8447万3,945円 | 506万8,436円 | 8954万2,381円 |
10年間の利益の合計 | 3954万2,381円 |
年間利回りの平均が6%になった場合、4000万円近くの利益が出る計算になります。
実際の運用成績は、ポートフォリオによっては15%以上の利回りが出る年と市場の調子の悪いときは利益がない年もあるかと思いますので、あくまで参考程度の利回りとして考えておきましょう。
ヘッジファンドで運用した場合
ヘッジファンドは毎年10%以上の利回りをほこるものもあります。最後にヘッジファンドを活用し、年間利回り10%で10年間運用できた場合のシミュレーションをしていきます。
年数 | 元金 | 増加金額 | 運用結果 |
---|---|---|---|
1年 | 5000万0,000円 | 500万0,000円 | 5500万0,000円 |
2年 | 5500万0,000円 | 550万0,000円 | 6050万0,000円 |
3年 | 6050万0,000円 | 605万0,000円 | 6655万0,000円 |
4年 | 6655万0,000円 | 665万5,000円 | 7320万5,000円 |
5年 | 7320万5,000円 | 732万0,500円 | 8052万5,500円 |
6年 | 8052万5,500円 | 805万2,550円 | 8857万8,050円 |
7年 | 8857万8,050円 | 885万7,805円 | 9743万5,855円 |
8年 | 9743万5,855円 | 974万3,585円 | 1億0717万9,440円 |
9年 | 1億0717万9,440円 | 1071万7,944円 | 1億1789万7,384円 |
10年 | 1億1789万7,384円 | 1178万9,738円 | 1億2968万7,122円 |
10年間の利益の合計 | 7968万7,122円 |
ヘッジファンドに預けて運用するだけで資産は8年目で1億円に到達し、10年目には8000万円近くの利益が出る計算となります。
バランスのいいポートフォリオを自分で組むことができればヘッジファンドと同等、それ以上の利回りで運用できる可能性がありますが、投資初心者には難しいため最初から資産を預けてプロに運用を任せることも選択肢の1つです。
まとめ
5000万円でポートフォリオを組むための基本的な考え方について解説しました。
投資初心者の方や、投資に時間をかけたくない方はヘッジファンドに投資して運用をプロに任せるのが最善です。
なぜなら資産運用のプロがバランスのいいポートフォリオを構成して分散投資してくれるので、自分でポートフォリオを組んで管理するよりも結果が出しやすいからです。
ヘッジファンドや投資信託は投資経験のない方がいきなり銘柄の選定と管理をおこなうのは時間がかかるため、時間をかけずにリスク管理をしながら投資をしたい方におすすめといえます。
しかし、ポートフォリオをバランスよく構成する方法は投資をするうえで重要なので、最終的にヘッジファンドへの投資を決めたとしても理解しておきましょう。