ヘッジファンドの解約方法2つ。ロールアップ期間が存在理由や投資家メリットも知り、解約時期の参考にしよう!

ヘッジファンドに投資するときに注意をしておくといいのが、解約する時です。

他のファンドと同様、解約するのは難しくありませんが、ほとんどのヘッジファンドでは年に数回をロックアップ期間を設けています。

つまり、他の投資のようにいつでも解約できるわけではないのです。

 

なじみのない人にはあまり理解できないルールかもしれませんが、ここではこのロックアップ期間がなぜ存在するのかという理由や、解約方法などについて説明してきます。

1、ヘッジファンド解約の2つ方法と解約ルール

「ヘッジファンドを解約したい!」

と思った時の具体的な方法を紹介します。

(1)ヘッジファンドの解約は運用会社への通知が必要

ヘッジファンドの解約方法としては、運用会社に解約の旨を通知する必要があります。

そのときに必要なものは運用会社によって変わってきますので、契約時の書類を参考にするといいでしょう。

解約するのは簡単なのですが、その時に解約ルールが存在していることが多いです。

(2)解約には45日前の解約申し出が必要(45日ルール)

ヘッジファンドの一般的なルールとして、45日前に解約を申し出る45日ルールが知られています。

このルールがないとヘッジファンドが破綻に追い込まれるリスクがあるからです。

決算直後に解約が相次いだ場合、ファンド側のキャッシュが枯渇して解約に応じられないだけではなく、倒産してしまう可能性があるのです。

 

45日ルールはヘッジファンド側に有利なルールのように思えますが、倒産リスクを考えると投資家側にもメリットがあります。

ただし、全てのヘッジファンドがこの45日ルールを適用しているわけではありません。

即日解約に応じるというヘッジファンドもあるのです。

解約をするときは契約書を読み直をして、ルールに沿って解約手続きをするといいでしょう。

 

2、ヘッジファンドのロックアップ期間とは?売却禁止の期間

 

ヘッジファンドにはロックアップ期間というものが存在します。

(1)ロックアップ期間中は株の売却ができない

そもそもこのロックアップ期間の意味としては、上場するときに以前から株を持っていた社長や経営陣などの株主が、一定期間保有する株を売却しないように契約する制度のことを指します。

(2)ロックアップ期間は180日が一般的だが、ファンドにより異なる

上場した瞬間に保有株を一斉に売ってしまうと、株価が底辺まで下がることになるからです。期間は180日とされ、これをロックアップ期間と呼びます。

この制度が転じて、ヘッジファンドでは資金を預けてから解約できるまでの期間のことを、ロックアップ期間と呼ぶようになったのです。

 

ただし、ヘッジファンドのロックアップ期間は180日とは決まっていません。

そのファンドによって独自に決めることができます。

他の投資のようにいつでも解約できるものに比べると、年に数回しか現金化できないのはデメリットかもしれません。

しかし、ロックアップ期間があることはデメリットだけではありません。ロックアップ期間が損をする機会を減らしていることもあるのです。

 

3、ロックアップ期間は年1回が一般的

 

ヘッジファンドのロックアップ期間はほとんど年1回というところが多いです。

海外の有名なファンドは基本的に年1回で、多くても半年に1回です。

また、解約ルールとロックアップ期間を合わせてみると、解約する時期は年に1回で45日前に解約することになります。

 

そう考えると、解約するときには万全の準備をしておく必要があるでしょう。

解約前に慌てて解約を決めてしまうと、解約した後に後悔する可能性は少なくありません。

ロックアップ期間に合わせて、ヘッジファンドに預け続けるかの結論を出しておくようにしましょう。

4、ロックアップ期間が存在する理由

他の投資信託などを考えると、ロックアップ期間が存在することに違和感を覚える人はいるでしょう。

そもそもなぜロックアップ期間が存在するのでしょうか。

その存在理由はシンプルです。

(1)ロックアップ期間が存在する理由は安定運用し投資家に還元するため

新規受付や解約が頻発すると、運用する総額が変わってしまうからです。

ヘッジファンドはあらかじめ練った投資戦略で、運用先の相場環境を見極めながら投資しています。

その練られた戦略は始めにあった資金を基本に考えているのです。

(2)ロックアップ期間が存在することで投資戦略を元にした長期投資ができる

そのもとになる資金の総額がいつでも変動的になってしまうと、投資戦略を常に練り直す必要が出てきます。投資戦略の変更を繰り返すと、運用成績に悪影響を与える可能性があります。

最適だと考えて練った戦略の変更を繰り返すうちに、凡庸な戦略になってしまうことが多いからです。

時間をかけて練った投資戦略はそれだけで価値のあるものです。

その戦略を変えるのであれば、それと同じだけの時間をかける必要があるでしょう。しかし、そこまでの時間がいつもあるわけではありません。

ロックアップ期間があることで、このような事態を避けていると言えます。

5、ロックアップ期間が存在しない時のデメリット。新規入金が多くなった時の利回り低下

 

ロックアップ期間が存在することで、ヘッジファンドの収益が保たれていることがあります。

(1)ロックアップ期間が存在しないと期間損失を招くこともある

例えば、ロックアップ期間が存在せずに解約が多くなって、資金が不足してしまったとします。

そんなときに割安な株を見つけて購入したいとファンドマネージャーが考えていたとしても、購入できないことになるのです。

その後に見つけた割安株は予定通りに値上がりしたら、重大な機会損失をしたことになるでしょう。

 

このようなことが解約によって多く起こるのであれば、ロックアップ期間があった方が利益が出るということになります。

(2)運用中に新規入金が急増すると既存投資家の利回りが下がる

また、新規入金が多くなったときにはその投資先に困ることがあるのです。

例えば、当初の予定では100億円の投資を考えていたとします。

100億円の運用を1年間戦略通りに行って、20%の利回りになったとしましょう。

しかし、途中で新規入金があったときに同じような投資先が見つかるとは限りません。

そうなると、20%の利回りであったはずのものが、10%まで下がる可能性があるのです。

既存の投資家としては利回りが下がった分、損をしたことになります。

 

新規入金をいつでも受け入れていると、このような不公平が起きる確率は低くありません。

ロックアップ期間はシチュエーションを考慮して作られたものなので、デメリットばかりではないのです。

ロックアップ期間があることで、防ぐことができていることがあるのです。

6、ロックアップ期間が短い(年4回)ヘッジファンドも存在

 

ヘッジファンドの中にはロックアップ期間が短いファンドがあります。

(1)ロックアップ期間が短いファンドは年4回。資金力が潤沢のため期間が短い

ロックアップ期間が短いファンドは年に4回の解約の機会を設けています。

そのようなファンドであれば、3か月に1回現金に変えられる機会があるのです。

なぜロックアップ期間を短くできるのかというと、そのファンドは投資金額の変動に対応できる自信を持っているからです。

 

豊富な投資先を持っているために、金額が増えても対応できます。

運用規模が大きくなって、投資先がなくなるまではこのような対応が可能でしょう。

(2)解約率の低いヘッジファンドもロックアップ期間を短縮できる

また、解約があまり発生しないこともロックアップ期間を短くできる理由です。

解約がほとんど発生しないほどの運用実績を誇っていれば、ロックアップ期間が短くても問題はありません。

投資家は儲けられないから解約するのであって、儲けられるなら解約する理由はほとんどないでしょう。

7、ヘッジファンドの解約方法とロックアップ期間についての締めとして

ヘッジファンドの解約方法は簡単です。

解約する旨を45日前に運用会社に通知することで、解約できるのです。

ただし、解約できる期間は限られています。

ロックアップ期間は年に1回か2回程度で、その期間にしか解約はできないのです。

このロックアップ期間がないと、ヘッジファンドの運用実績に悪い影響を及ぼす可能性があります。

一方で、ロックアップ期間が短いファンドがありますが、それは解約が起きないという自信の表れでもあるのです。このようなロックアップ期間について理解することが大事です。

 

おすすめの記事