ヘッジファンドはどうやって購入する?選定から購入まで一挙解説

「ヘッジファンドを購入したい」と思っても、通常の金融商品と違い、どのように買えばよいかわかりにくいと思います。原因はヘッジファンドの仕組みにあり、通常の投資信託とは違う方法で購入しないといけません。

本記事ではヘッジファンドの仕組みに触れ、どうやってヘッジファンドを購入すればよいか解説します。

ヘッジファンドは「私募型」の「絶対収益追求」の運用商品

ヘッジファンドは「私募型」の「絶対収益追求」の運用商品

ヘッジファンドを一概に説明するのは難しいですが、概ね「私募型」であることと、「絶対収益追求」する特徴があります。

私募型=投資家を限定する募集方法

私募型とは投資家の集め方を表す言葉です。広く投資家を募集する「公募型」に対し、私募型は投資家を限定して募集します。広告も制限されているので、情報を集めにくい特徴もあります。

ヘッジファンドの多くは私募型で投資家を募集しているので、一般的な方法では購入できない仕組みになっています。

なぜヘッジファンドは私募型を選択するのか

なぜヘッジファンドは公募型でたくさんの投資家を集めないのでしょうか。

  • 私募型で集めることで当局への登録コストを抑えられる
  • より自由に運用することができる

公募型を選択すると、さまざまな制約を受けることになります。自由な運用ができなくなりますし、財務局などへの登録費用も掛かります。

たくさんの投資家を集められませんが、自由な運用ができる点がヘッジファンドに好まれるのだと考えられます。

絶対収益=相場に関わらず常に一定の収益を追求する運用方針

ヘッジファンドの運用方針は「絶対収益の追求」です。相場全体の上げ下げの影響を受けず、絶えず安定的に収益を獲得しようとします。

絶対収益を実現する運用戦略はさまざまなものがあります。代表的なものを以下にまとめます。

株式ロングショート買い(ロング)と売り(ショート)を同時に行う戦略。割安銘柄は買い、割高銘柄を売ることで、相場が上下どちらに動いても収益の機会を持てる。
アービトラージ複数の市場で取引されている場合など、同じ銘柄が複数の価格で取引されているケースで、安い価格では買い、高い価格では売る戦略。理論上、無リスクで価格差が利益になる。
アクティビスト株価が上昇しやすい施策(財務の効率化や株主還元の拡充など)の実施を、株主提案などを通して積極的に行う戦略。議決権を行使するため、一定以上の株数を保有する必要がある。
市場で値上がりを待つのではなく、能動的に株価上昇を促すことができる。

市場で値上がりを待つのではなく、能動的に株価上昇を促すことができる。

通常の投資信託は相対収益

通常の投資信託の場合、どうしても相場の影響を受けてしまいます。相場全体が右肩上がりなら利益になりやすいですし、逆に下落傾向なら利益を出すことが難しくなります。このように、相場の影響を受けながら収益を獲得しようとする運用戦略を「相対収益の追求」といいます。

投資信託との違いまとめ

投資家の集め方 運用方針
ヘッジファンド 私募型 絶対収益の追求
投資信託 公募型 相対収益の追求

ヘッジファンドと通常の投資信託の違いをまとめると上記のようになります。実際にはさまざまな形態があるので、すべてのヘッジファンドや投資信託が当てはまるわけではない点に注意してください。

「国内型」と「海外型」

ヘッジファンドは海外で主流ですが、国内にもあります。国内ヘッジファンドは日本語でやり取りできますし、投資対象が日本の資産の場合、為替リスクもありません。

海外型の場合、英語でのやり取りのほか、基本的に為替リスクがある点に注意しましょう。

ヘッジファンドの購入方法は2パターン

ヘッジファンドの購入方法は2パターン

私募型で投資家を募集するヘッジファンドは、銀行や証券会社など、一般的な金融機関では販売されていません。では、ヘッジファンドはどのように購入(出資)できるのでしょうか。大きく2つのパターンがあります。

直接ヘッジファンドへ申し込む

ヘッジファンドを購入したい場合、直接ヘッジファンドへ申し込むのが基本です。面談などの手続きを終えたあと、双方が合意すれば購入できます。

ヘッジファンドは受け取った資金を運用しますが、締め日の設定があり、すぐに運用されない場合もあります。たとえば締め日を3月末としているヘッジファンドは、資金をいつ受け取っても、運用が開始されるのは4月1日からです。

運用が開始される時期はヘッジファンドによって違います。購入の前に確認しておきましょう。

仲介者を利用し、ヘッジファンドへ申し込む

直接ヘッジファンドに申し込む方法のほかに、ヘッジファンドと投資家を仲介する機関を利用する方法もあります。

ヘッジファンドの仲介者①:ヘッジファンド専門の証券会社

ヘッジファンドは一般的な証券会社ではあまり販売されていませんが、ヘッジファンドを専門に扱う証券会社があり、そちらならヘッジファンドを購入することができます。

ヘッジファンドの仲介者②:投資助言会社

投資助言会社とは、その名の通り投資の助言を行う会社です。証券会社と違い、運用資産を預かりませんし商品の販売もしません。世の中の幅広い商品から助言することができ、助言に対するフィー(手数料)が収益となります。

中にはヘッジファンドとパイプを持っている投資助言会社もありますので、そのような投資助言会社なら仲介を頼めるでしょう。

ヘッジファンドの仲介者③:プライベートバンカー

主に富裕層の資産管理に特化した会社をプライベートバンカーといいます。幅広い商品を取り扱うほか、資産の管理も直接に行う場合もあります。

プライベートバンカーは海外で発達してきた金融機関で、国内に多くはありません。ただし、最近は「プライベートバンキング部門」や「ウェルスマネジメント部門」という名前でプライベートバンカーの役割を提供する大手金融機関もあります。

【参考】

ヘッジファンドの購入経路はどちらがいい?直接、仲介別のメリット/デメリット

ヘッジファンドの購入経路はどちらがいい?直接、仲介別のメリット/デメリット

ヘッジファンドは直接購入する以外に仲介者を利用する方法がありますが、どちらの方がよいのでしょうか?一概にいえませんが、それぞれのメリット、デメリットを確認してみましょう。

直接購入するメリット/デメリット

まずはヘッジファンドを直接購入するメリット、デメリットを確認しましょう。

メリット

  • 仲介手数料が掛からない

ヘッジファンドを直接購入すれば仲介手数料が掛かりません。ヘッジファンド自体の手数料は後述します。

デメリット

  • ヘッジファンドを自分で選ばないといけない
  • 自分でやり取りを行う必要がある

ヘッジファンドを直接購入するデメリットは、自分で資金を預けるヘッジファンドを選ばないといけない点が挙げられます。やり取りも自分で行わないといけないため、海外型のヘッジファンドの場合、英語でのやり取りが求められます。

自分でヘッジファンドを見極められる方や、やり取りを行える方は直接購入した方がよいかもしれません。

仲介者を利用するメリット/デメリット

次に、仲介者を利用してヘッジファンドを購入するメリット、デメリットを確認しましょう。

メリット

  • おすすめヘッジファンドの提案を受けられる
  • やり取りのサポートを受けられる

仲介者はヘッジファンドの知識が深いプロです。どのヘッジファンドに資金を預ければよいか、適切な助言を受けられるでしょう。ヘッジファンドとのやり取りのサポートも受けられます。

デメリット

  • 仲介手数料が掛かる

仲介者を利用すると、仲介手数料が掛かる場合があります。お金が掛かっても手厚いサポートを受けたいという方は、仲介者の利用をおすすめします。

メリットデメリット
直接購入・仲介手数料が掛からない・ヘッジファンドを自分で選ばないといけない
・やり取りを自分で行う必要がある
仲介者を利用・おすすめヘッジファンドの提案を受けられる
・やり取りのサポートを受けられる
・仲介手数料が掛かる

ヘッジファンドの手数料は?

ヘッジファンドの手数料は?

ヘッジファンドの手数料はどのようになっているのでしょうか。確認しましょう。

基本は成果報酬型

ヘッジファンドは運用成果に応じて手数料が発生する「成果報酬型」が基本体系です。多くの利益を上げることでヘッジファンド側にも利益があり、投資家と同じ目線で運用することが期待できます。

成果報酬の手数料とは別に、固定の「管理手数料」も発生します。管理手数料を2%、成果報酬の手数料を20%とする「2:20モデル」が、ヘッジファンド定番の手数料体系となっています。

もっとも、近年では手数料は引き下げ傾向にあります。日興リサーチによると、ヘッジファンド全体の管理手数料は2019年に1.1%台まで下がり、成功報酬率は14%台でした。

購入手数料や解約手数料が掛かる場合も

ヘッジファンドによっては購入手数料や解約手数料が掛かる可能性もあります。手数料は購入する前にしっかり確認しましょう。

仲介者を通じて購入する場合、別の手数料が発生する可能性

上述しましたが、仲介者を利用してヘッジファンドを購入する場合、「仲介手数料」が掛かる可能性に注意しましょう。

ヘッジファンドはいくらから買える?

ヘッジファンドはいくらから買える?

ヘッジファンドを購入する場合、いくらから買えるのでしょうか。最低投資額を確認しましょう。

数千万円以上が基本 より高額な海外ヘッジファンドも

国内ヘッジファンドの場合、最低投資額を1,000万円以上とするところが多いようです。海外のヘッジファンドだと、5,000万円や1億円とするヘッジファンドもあるようです。

ヘッジファンドは私募型ですから、たくさんの投資家を募集できません。したがって、投資家1人あたりの出資額がある程度大きくないと運用資産を大きくできず、効率的な運用が難しくなってしまいます。

少額受け入れのヘッジファンドは要注意 少額+私募型は不自然

ヘッジファンドの形態はさまざまなので一概にはいえませんが、少額出資を受け入れているヘッジファンドには注意した方がよいかもしれません。繰り返しますが、私募型はたくさんの投資家を集めにくいため、少額の出資を受け入れ続けると運用資金が小さくなってしまいます。

ヘッジファンドを謳い、お金を騙し取ろうとする事件がこれまで起こっています。優良なヘッジファンドは確かにありますが、怪しいヘッジファンドには出資しないよう注意しましょう。

「ヘッジファンド型投資信託」なら少額から投資できる

通常の投資信託の中には、ヘッジファンドの運用手法を取り入れた「ヘッジファンド型投資信託」があります。公募型で投資家を広く募集していますから、最低投資額は少なく済みます。

100円から投資OK ただし運用戦略は固定

投資信託は販売する金融機関によって最低投資額が違いますが、インターネット証券だと100円で買える場合もあります。

ただし、ヘッジファンド型投資信託は、ヘッジファンドと完全に同じ運用はできません。「目論見書(投資信託の取扱説明書。交付が義務付けられている)」に記載された運用方針以外の運用を行えないためです。

ヘッジファンド型投資信託は、絶対収益を追求するための手法をいくつか目論見書に記載し、その戦略を繰り返すことしかできません。柔軟な運用を行えるヘッジファンドとは違いますので、注意しましょう。

ヘッジファンドはどうやって選ぶ?3つの選定基準

ヘッジファンドはどうやって選ぶ?3つの選定基準

ヘッジファンドはどのように選べばよいのでしょうか。

過去の運用実績で選ぶ

直接購入する場合は面談などで、仲介者を利用する場合は仲介者に、過去の運用実績を開示できないか問い合わせましょう。どれくらいのリターンが期待できるか、大切な判断材料になります。

運用方針で選ぶ

そのヘッジファンドがどのような運用戦略をメインに行うかも大切な判断材料です。過去の実績と合わせて確認しましょう。

手数料で選ぶ

手数料はできるだけ低い方が有利です。似たような運用を行うヘッジファンドの場合、手数料が低い方がよいでしょう。

ただし、手数料だけで考えてしまわないようにしましょう。優秀なヘッジファンドが運用に見合う手数料を求めるのは当然です。過去の運用実績なども確認し、あくまでコストパフォーマンスで判断しましょう。

言語や知識に自信がないなら仲介者の利用がおすすめ

言語や知識に自信がないなら仲介者の利用がおすすめ

ヘッジファンドは直接購入することもできますが、優秀なヘッジファンドを見つけるにはある程度の知識が求められます。海外型なら言語の壁もあるでしょう。

仲介手数料には注意しないといけませんが、直接ヘッジファンドを購入する自信がない方は仲介者を利用するとよいでしょう。

サイトの意見としては、仲介手数料のかからない国内のヘッジファンドがおすすめです。

利回りや実績も含め、直接確認してあなたにあったヘッジファンドを選びましょう!

是非ご参考ください。

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