かつて、資産運用というと、どちらかと言えばお金に余裕のある人が税金対策のためにおこなったり、さらに自分の資産を増やすものといった印象が強かったのですが、近年ではこの認識が大きく変化し、一般のサラリーマンや定年を迎えた高齢者の間で資産運用を始める人が増加傾向にあります。

ここでは資産運用が現在の日本の必要とされている理由を解説していきます。

1、老後生活が年金だけでは送れない可能性が高くなってきているため

 

日本では今まで定年まで働けば国から定年後に年金が支給され、老後は年金で十分暮らしていけるという認識が当たり前でした。

 

しかし現在の日本は急速に少子高齢化が進み、一人の高齢者を支える若者の人数が少なくなっているため、今後は十分な年金が確保できるかどうか不透明です。

そして年金の受給開始年齢も60歳だったのが現在では65歳にまで延長されています。

現時点で60歳で定年を迎えて以降5年間は何もしなければ一切お金が入らなくなっているのが現状です。

 

日本では年金を希求する義務があるので年金の支給が無くなることは法律などが変わらない限りありませんが、支給年齢が更に遅くなったり支給額を減らされる可能性は十分あります。

日本では一般的なサラリーマンが定年後退職すると国民年金と厚生年金が国から支給されます。

現在、65歳以上の夫婦が国から支給されている年金は国民年金と厚生年金を合わせると月22万円程度です。毎月の出費を考えると、この金額ではとても生活していけないことが分かるのではないでしょうか。

 

更に年をとればとるほど病院に通う機会が増えます。老後は医療費の負担が少なくなるとはいえ、それでも出費が働いている時と比べると増加していくことは間違いありません。

定年前に十分な貯金が出来ていればいいのですが、作れなかった人は働いていた時の蓄えを少しずつ切り崩していくことになります。

蓄えがある人は定年後に受け取る退職金を切り崩すこととなりますが、それでもずっと貯金などでやりくりできるかどうかは不透明です。

 

こういった老後の現状を踏まえると、資産運用をせずに老後を安心して暮らしていけるのは莫大な資産を持っているごく一部のお金持ちだけだということになります。

これからの日本の将来を考えると、どこかのタイミングである程度蓄えたお金の一部を資産運用に回す必要性が出てくることになるでしょう。

 

2、セカンドライフを充実させるため

 

 

現在、日本人の平均寿命は男性も女性も80歳を超えています。つまり定年を迎えて以降、まだ平均して20年も人生が残っているということになります。

ところが年金だけに頼るような生活をしていると、毎日の生活すらままならないため、色々なものを切り詰めて生活していかなければならなくなります。

 

老後は十分に自分たちの時間が確保できるため、せっかく今までやりたいと思っていてもなかなか出来なかったことに挑戦できるチャンスなのに、お金に余裕がないと出来ることが一気に制限されてしまいます。

 

しかし資産運用をすることによって自己資金を増やしておけば、老後になってからやりたいことをするためのお金を確保することができるため、充実したセカンドライフを送ることができます。

切り詰めた生活を続けるというのは精神的にも肉体的にも辛いものです。充実したセカンドライフを送ることによって適度な刺激を受けることが出来ます。

 

資産運用をし、充実したセカンドライフを送るということは健康な状態で長生きできるという大きなメリットがあるのです。

 

3、全体的な収入が減ってきている

 

資産運用が必要とされている理由は老後に対する不安だけではありません。

現実問題として、社会人が受け取る収入が減ってきています。かつてバブルの時代は日本は異常なほどの好景気であり、その時代に働いていた社会人はたくさんの給料をもらっていました。

 

現在定年を迎えてすでに年金をもらっている人の多くがバブル時代の好景気を経験している人です。

不動産運用に失敗し、多額の損失を被った人もいますが、堅実に貯蓄をしていれば老後も十分に生活できるだけの貯蓄が出来ている人が多いです。

 

しかしバブルが崩壊して以降の日本の収支は軒並み低下傾向にあります。近年は景気が少し回復してきたと言われていますが、企業によって回復度合いに大きな差があるのが現状です。

 

これからの日本は少子高齢化に伴って社会保障などの税金がますます増えていくこと予想されています。

消費税も現在は8パーセントですが、近い将来10パーセントになる可能性が高いですし、それ以降消費税の税率が上がらないという保証はどこにもありません。

 

つまり給料は増えていかないのに出費ばかりが増えていくことになります。体や頭を動かしてもお金が増えていかないのであれば、お金を上手く動かして収入を増やしていくしか方法がありません。

このようにリアルな日本の現状を分析していくだけでもいかに資産運用をすることが必要かが分かります。

 

4、銀行に預金するだけではお金が増えない

 

そして、バブル崩壊によって大きく変わったのが銀行にお金を預けたときの利息です。バブルの時代の時は最も高い時で利息が年9パーセントの時代もありました。

 

単純計算で100万円を預けていればそれだけで毎年9万円資産が増えていたのです。しかし、バブル崩壊して以降、利息は急激に低下していきました。

金利が低いということはお金を借りる側からすれば返済する金額が少ないため、大きなメリットになりますが、お金を増やしていく側から見ると大きなデメリットになります。

 

バブルの時代ならばお金を預けているだけで十分に資産が増えていたのですが、現在ではお金を預けるだけでは十分な資産運用とは言えなくなっているのが現状です。働かずに資産を増やすためには積極的にお金を何かに投資する必要があるのです。

 

5、定年まで働ける保証がないため

最後に忘れてはいけないこととして、老後に十分な年金を支給してもらえるのはあくまでも定年まで働くことができた場合に限るということがあります。

現在、日本の経済はとても不安定でいつどんなことが起こるかわかりません。

かつて日本では学校を卒業し、就職したらその会社でずっと働き続ける終身雇用が当たり前でした。

しかし現在は働く側も更なるキャリアアップを求めているという側面があるものの、終身雇用という考え方は崩壊していく傾向にあります。

 

つまり一度就職した会社でずっと働き続けられる保証はどこにもありません。

若いときに会社を変えることは比較的容易ですが、ある程度の年齢になって以降に何らかの理由で会社を辞めることとなった場合、新しく別の会社に就職することはとても困難です。

 

しかし、働いているときに資産運用を始めていてその資産運用が軌道に乗っているのであれば、会社を退職することになったとしてもそれほど焦らずに次の職場を探すことができますし、場合によっては無理に会社に勤めなくても資産運用だけで十分生活していくことも出来ます。

 

その他にも大きな病気やケガなど、さまざまな理由で定年まで働けなくなる可能性があります。

正社員として就職し、安定した収入を得ているうちに資産運用を始めておくことによってもしもの時にも慌てずに済みます。

 

6、今までの認識を改める必要があります

 

日本ではいまだに定年まで働けば年金で老後の生活を送れるという考えの人が多いですが、その認識は改めなければいけない時代に来ています。

現在の支給額ですら十分な生活を送るためのお金が確保できていないのが現状ですし、今後ますます支給額は低下する可能性があります。

 

更に老後まで待たなくても現実問題として、定年まで今の会社で働けるという保証はどこにもありません。

現在の日本は一人一人が資産運用をし、自分で将来に向けたお金を確保していく時代に差し掛かっているのです。

 

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