銀行では預金が1000万円を超えると様々な優遇措置を受けることができます。
ただし、1000万円を一か所の銀行に預けるのは同時にリスクを背負うことになります。
銀行やサービスの利用方法にもよりますが、1000万円を預金するメリットは少ないのが現状です。
- 1000万円を銀行に預けようとしている、もしくは現在預けている方
- 預金と資産運用でどっちがお得なのかを知りたい方
今回の記事では、上記が当てはまる方向けに、1000万円の預金で受けられる優遇措置を解説しながら、資産運用とどちらの方が良いのか考えていきます。
1000万円預金できる人は金融機関から優遇される?
銀行の優遇サービスの中でも有名なのはプライベートバンクではないか思います。
プライベートバンクはスイスで生まれ欧米で発展した銀行のサービスで、通常であれば1億円以上の預金を預ける必要があります。
よって、1000万円の預金ではプライベートバンクのサービスを受けることが難しいです。
しかし、銀行によっては1000万円を預金することで定期預金において金利が優遇され、プレミアムバンクのサービスを受けられるようになります。
プライベートバンクほど充実したサービスを受けられるわけではありませんが、1000万円を預金できる人は金融機関から優遇されることは間違いありません。
1000万円の預金で受けられる3つの優遇措置
具体的に1000万円を預金することで受けられる優遇措置を3つ紹介します。
- 金利が優遇される
- 各種手数料が優遇される
- 銀行に様々な相談に乗ってもらえる
それぞれ詳しく見ていきましょう
1:金利が優遇される
1000万円を預けると通常の定期預金ではなく、大口定期として預けることが可能になり、金利が優遇されることがあります。
しかし、低金利時代であるため金利の優遇を受けられても微々たるものです。
大口定期を利用する場合は本当に金利の優遇が受けられるのか各銀行と比較して確認した方がよいでしょう。
大口定期におすすめの銀行はオリックス銀行です。
オリックス銀行の大口定期の金利は、1年間の預入期間で0.12%、5年の預入期間で0.28%になります。
大口定期でも0.01%の金利でしか預けられない銀行と比較すると非常に高いといえるでしょう。
次点で、普通預金でも条件を満たせば0.04%の金利で預けられ、定期預金で条件を満たすと0.1%の金利でお金を預けられる楽天銀行もおすすめです。
参考
2:各種手数料が優遇される
プレミアムバンクサービスには各種手数料が優遇されるサービスが含まれています。
一番代表的な手数料はATMの引き出し・振り込み手数料ですが、プレミアムバンクサービスを受けると手数料の無料回数が大きく増える場合や、全額無料になることもあります。
また、外貨為替を利用する場合に為替レートの優遇を受けることも可能です。
他にも住宅ローンを契約する場合の手数料が無料、貸金庫を利用する場合に割引を受けられるなど銀行によって受けられるサービスは異なります。
よく、その銀行を利用する方にとっては手数料が優遇されれば、大きな節約効果が見込めるでしょう。
プレミアムバンクサービスは銀行をよく利用する方におすすめのサービスといえます。
3:銀行に様々な相談に乗ってもらえる
プレミアムバンクサービスは金利・手数料の優遇だけでなく、銀行からのサポートが手厚くなります。
例えば、健康・介護に関する相談や、資産運用に関する相談もできるようになります。
その他にも会員限定のセミナーへの招待など、プレミアムバンクの会員にしか受けられないサービスがあります。
よく利用する銀行のプレミアムバンクサービスに魅力的なサービスがあるなら、サービスで選ぶのもいいでしょう。
預金が1000万円を超えるとペイオフの対象にならない
一方で、銀行に1000万円の預金を預けるとデメリットもあります。
1000万円以上の預金を預けるとペイオフの対象にならないので、万が一預けた銀行が破綻したときに預けた資産のすべてが補償の対象にならなくなることです。
ペイオフとは、銀行が破綻した場合でも預金を返還してもらえる保険となる制度で、1000万円以下の預金の場合は元本がすべて返還されます。
しかし、プレミアムバンクサービスや大口定期が受けられる1000万円以上の預金をすることは一方でペイオフの対象にならなくなることを意味します。
また、銀行の破綻もペイオフの発動もけっして絵空事ではありません。実際に2010年に日本新興銀行においてペイオフが発動されています。
よって、どの銀行に預金するとしてもリスクとして承知しておく必要があります。
預金が1000万円を超えると優遇される銀行が多いですが、ペイオフの対象にならなくなるリスクと隣り合わせであることを理解しておきましょう。
1000万円は預金ではなく分散した資産運用がおすすめ
「自分は大手銀行に預けているのだから銀行が破綻するはずがない」と思う方もいるかもしれませんが、10年後、50年後に何が起きるかは分からないものです。
また、大口定期を利用してもオリックス銀行・楽天銀行以外の銀行では0.1%を超える銀行はほとんどなく、大抵の銀行が0.01%であるのが現状です。
1000万円以上の預金では完全な元本保証が不可能であるなら、定期預金よりも遥かに大きな利回りが得られる資産運用を始める方がおすすめです。
後ほど紹介する長期投資が前提のリスクの低い資産運用で得られる利回りは年率3~10%程度です。
定期預金の金利で1%を超えることがないことを考えると、3%という数字も破格に見えるでしょう。
また、1000万円を1つの銀行に預けるということは資産を一か所に集中させてしまうためリスクが高くなります。
ペイオフの対象にするために1000万円を分散させて預けるのが最も安全な方法ではあります。
しかし、優遇金利やプレミアムバンクが受けられなくなり、金利もまったくつかないことを考えると預金を分散させるのももったいないです。
そのため、資産を分散させて低リスクの運用に回して利息を得るのが、リスクとリターンのバランスが一番良いといえるでしょう。
高い利回りを求めつつ資産を一か所に集中させない、分散させた資産運用がお金を増やしながらリスクを軽減できる方法になります。
1000万円の預金で資産を運用する3つの方法
1000万円の預金で資産を運用する方法は3つあります。
- 分散投資が簡単な投資信託
- 元本確保で利回りの高いソーシャルレンディング
- さらに資産が増えたらヘッジファンド
それぞれ詳しく見ていきましょう。
方法1:分散投資が簡単な投資信託
投資信託は100円から1円単位の少額投資が可能なので、分散投資が非常に簡単です。
資産運用を始めるといっても知識がないとできないと考えている方もいるかもしれません。
投資信託はファンドマネージャーと呼ばれる資産運用のプロに運用を委託する投資方法なので、資産運用に関する詳しい知識がなくても始められます。
また、銀行のサービスを利用していると銀行からも投資信託を勧められることがありますが、銀行の勧める投資信託は手数料が高い傾向にあります。
特に販売手数料は銀行や証券会社の利益となるので、銀行からすれば販売手数料のある投資信託を勧めた方が儲かるというのが本音です。
よって、銀行で勧められた投資信託をそのまま購入するのではなく、インターネット証券で口座を開設しましょう。
購入手数料が無料のノーロード投資信託は手数料が安くなりやすいのでおすすめです。
ただし、投資信託は株と同様に値動きがあるので元本割れをする危険性があります。
満期時に元本が返還される元本確保型の投資信託を購入すればこのリスクは回避できます。
アセットマネジメントOneの「ゴールドマンサックス社債」は元本確保型の投資信託なのでおすすめです。
方法2:元本確保で利回りの高いソーシャルレンディング
できるだけ預金のように元本確保で運用したいなら、ソーシャルレンディングがおすすめです。
ソーシャルレンディングは企業などにお金を貸すことによって利息を得られる投資方法となっています。
年間の利率は低いものでも3%~5%程度、高いもので5%~10%程度の利回りが見込める投資方法です。
ただし、高い利回りの案件は元本が返還されない貸し倒れのリスクも高まるので、安全を求めるなら3~5%程度の低い利回りの案件を選びましょう。
案件ごとに利回りと投資期間が定められており、その期間の間お金を預けることで利回りを得ることができます。
投資をすると、預金のようにいつでも引き出せるわけではありません。
しかし、定期預金も一度預けると解約の手続きが必要になるので満期まで資産の引き出しは不自由といえるでしょう。
定期預金にもいえることですが、トラブルなどによって一度預けた資産を引き出すことがないようにある程度余裕を持って配分を決めることが重要です。
ソーシャルレンディングの最低投資金額は1万円ですが、Fundsというソーシャルレンディングでは1円から投資することも可能です。
高くても1口10万円から投資できるので、1000万円を分散して投資するのに不自由はないでしょう。
方法3:さらに資産が増えたらヘッジファンド
1000万円からできる資産運用にはヘッジファンドがあります。
ヘッジファンドはリスクを回避しながら高い利回りを目指す投資方法で、毎年安定して10%以上の利回りを出すヘッジファンドもあります。
投資信託と同様に資産運用のプロに資産を預けることで代わりに運用してもらう投資方法です。
ただし、ヘッジファンドの最低投資金額は1000万円程度必要になるので、1000万円の資産がある方は全額をヘッジファンドに投資することになります。
ヘッジファンドに投資すればファンドマネーシャーが代理で分散して投資してくれるので、ヘッジファンドだけに投資をしても分散投資していることにはなります。
しかし、資産の全額を投資することになるので他の資産運用などで資産を増やしてから投資するのも選択肢になるでしょう。
いきなり資産の全額を運用するのではなく、まずは少額を投資信託やソーシャルレンディングに投資しましょう。
投資とはどのようなものか判断してからヘッジファンドに投資する方が安心できるかと思います。
高い利回りかつ安全な投資に興味がある方は、1000万円以上の資産があればヘッジファンドも選択肢になるので覚えておきましょう。
下記の記事では、個人でも投資しやすいヘッジファンドについてまとめています。
1000万円を大口定期と資産運用で利回りを比較
最後に1000万円を大口定期で運用した場合と資産運用で運用した場合の利回りを比較していきます。
大口定期で運用した場合の利回りはオリックス銀行の金利である0.35%を使用します。
大口定期に対して、資産運用で年間利回り3%、5%、10%で運用できた場合の利回りを比較していきます。
利回り | 3年目 | 5年目 | 7年目 | 10年目 |
---|---|---|---|---|
0.35% | 10万5,367円 | 17万6,227円 | 24万7,584円 | 35万5,560円 |
3% | 92万7,270円 | 159万2,740円 | 229万8,737円 | 343万9,160円 |
5% | 157万6,250円 | 276万2,815円 | 407万1,002円 | 628万8,942円 |
10% | 331万0,000円 | 610万5,100円 | 948万7,171円 | 1593万7,423円 |
このように1000万円の運用において定期預金と資産運用はここまで大きな差が生じるのです。
定期預金は通常何があっても元本が返還される元本保証ですが、1000万円以上の預金の場合はペイオフが適用されないため元本確保と同じ扱いです。
しかし、ここまで紹介した資産運用も満期まで保有すれば元本が返還される元本確保型の投資もあったかと思います。
利回りにここまで差が発生するのであれば預金にこだわらず、安全な資産運用に回す方が利益を得られます。
もちろん同じ元本確保であっても1000万円の預金と資産運用のリスクが同じとはいいませんが、そのリスクの差以上にリターンが大きいです。
また定期預金に関しては定期預金の中でも最高レベルの金利で計算したので、仮に0.01%であればなおさら資産運用の方がリターンは大きいといえるでしょう。
まとめ
1000万円の預金優遇サービスと資産運用について解説しました。
利回りを比較する限りでは圧倒的に低リスクの資産運用に回した方がリターンは大きいことが分かったかと思います。
しかし、銀行をよく利用しプレミアムバンクのサービスを受けるなら1000万円の預金も検討してよいでしょう。
定期預金の金利で選ぶのであれば、一度、資産運用にも目を向けてみましょう。