「もしも宝くじに当たったら……」。誰もが一度は考えることではないでしょうか。
例えば「ロト6」は最大6億円もの当せん金を受け取れます(キャリーオーバー時)。使い道を考えるだけでわくわくしますね。
「6億円が当たれば一生働かなくて済む」というイメージもありますが、果たして本当に可能なのでしょうか?
本記事では「6億円で利息・配当生活はできるか」について、高利回り商品を交えながら考えたいと思います。
6億円あれば利息・配当生活も可能
結論からいうと、6億円あるなら利息や配当だけで生活することは可能です。1%でも600万円、税引き後でも約480万円にもなるためです(20.315%)。生活水準にもよりますが、一般的な暮らしなら十分まかなえるでしょう。
金利・配当利回り別 6億円収入シミュレーション
金利や配当利回り別のシミュレーションは以下のとおりです。0.5%までは少し心もとないですが、1%以上だとある程度まとまった収入になります。
金利・配当利回り | 税引き前収入 | 税引き後収入 |
---|---|---|
0.10% | 60万円 | 47.8万円 |
0.50% | 300万円 | 239.1万円 |
1.00% | 600万円 | 478.1万円 |
2.00% | 1,200万円 | 956.2万円 |
3.00% | 1,800万円 | 1,434.3万円 |
シミュレーションから、銀行預金では6億円預けても生活は難しいかもしれません。日銀によると、全国の普通預金金利の平均は0.001%、定期預金(1年)でも0.003%です。6億円預けても年に0.6~1.8万円の利息にしかなりません(税引前)。
6億円で利息・配当生活を送りたい場合、銀行預金以外の方法を選択しましょう。
- 普通預金:0.001%
- 定期預金 (1年):0.003%
- 定期預金(10年):0.002%
実際にはインフレによる目減りも気を付けたい
「インフレ」とは物価の上昇を指します。インフレには実質的にお金の価値を目減りさせる効果があるため、特に6億円というまとまった資産を運用するときには注意が必要です。
インフレによる目減りとは
インフレによる目減りとは「お金のモノを買う能力の減少」を指します。同じ6億円でも、インフレで物価が上昇すると購入できるものが減ってしまうため、実質的に価値が減少してしまうのです。
例えば物価が安く「年400万円で十分生活できる世界」と、物価が高く「生活費に年2,000万円かかる世界」では、前者のほうが6億円に価値を感じるでしょう。前者では6億円で150年暮らせますが、後者では30年しか暮らせません。そしてインフレは物価が高い世界へ近づくことを意味しており、お金の価値を減少させるのです。
2%以上の金利・配当利回りが望ましい
インフレによる目減りは「インフレ以上にお金を増やす」ことで防げます。ではどれくらいお金を増やせばいいのでしょうか。日本銀行が物価の成長目標を2%に定めていることから、2%以上の利回りが望ましいでしょう。
「……日本銀行は、今後、日本経済の競争力と成長力の強化に向けた幅広い主体の取り組みの進展に伴い、持続可能な物価の安定と整合的な物価上昇率が高まっていくと認識している。この認識に立って、日本銀行は、「物価安定の目標」を中心的な物価指標である消費者物価の前年比上昇率で2%とすることとした……」
2%以上の金利・配当利回りが期待できる商品
2%以上の利息・配当利回りが期待できる商品には主に以下のようなものがあります。
「利息・配当の目安」はインカムゲイン(利息などの定期的な収入)の目安で、キャピタルゲイン(値上がり益)は含まれません。またあくまで目安なので参考程度にとどめてください。
利息・配当の目安 | 利息・配当の源泉 | 利息・配当の安定性 | |
---|---|---|---|
劣後債 | 2% | 金利 | 比較的高い |
米ドル建て社債 | 3% | 金利 | 高い |
新興国通貨MMF | 10% | 金利 | 高い |
ヘッジファンド | 5% | 運用益 | 流動的 |
REIT(リート) | 3% | 家賃 | 比較的高い |
株式 | 2% | 企業の利益 | 流動的 |
劣後債
「劣後債」は通常の債券(普通債)よりも弁済順位が低い債券のことです。弁済順位とは発行体(企業など)が支払う債務の優先順位のことで、普通債よりも順位が劣るため劣後債といいます。
仮に発行体が破産した場合、発行体に残ったお金は債権者に分配されます。劣後債の保有者も債権者ではありますが、弁済順位が高い順に配られるため、順番が回ってくるときには発行体にお金が残っていない可能性があります。つまり、劣後債は普通債より破綻時の損失が大きくなるのです。
そのリスクがあるため、劣後債は普通債よりも金利が高いメリットがあります。破綻時の取り扱いには注意が必要ですが、6億円の利息生活を行なうなら検討したい商品といえるでしょう。
米ドル建て社債
企業が発行する債券のうち、元本の払い込みと利息・償還金の支払いが米ドルで行なわれるものを指します。償還金とは満期時点で支払われる元本のことです。
米ドル建て社債は日本円で発行される債券よりも金利が高い傾向があります。しかし利息・償還金ともに米ドルのため、為替リスクには注意しましょう。
新興国通貨MMF
「MMF」とは「マネー・マーケット・ファンド」を指し、満期までの期間が短い(一般に数十日程度)債券や銀行預金などで運用される投資信託です。額面の保全性が高いため、イメージとしては外貨預金が近いでしょうか。
低金利の影響から、日本円のMMFはほとんどが解散されていますが、米ドルや新興国通貨のMMFはまだ残存しています。特に「南アフリカランド」や「トルコリラ」建てのMMFは高い利回りが期待できます。ただし為替リスクは先進国通貨よりも大きいため注意しましょう。
なお、MMFの分配金(配当に相当)は元本へ組み込まれます。受け取りたい場合、相当する口数を都度解約しましょう。
ヘッジファンド
「ヘッジファンド」は運用会社の一つです。投資家の資金を運用し、運用の成果を投資家に払い出します。
ヘッジファンドの大きな特徴はその運用方針、「絶対収益の追求」にあるでしょう。「絶対」とは必ずという意味ではなく、「比較対象がない」という意味です。ヘッジファンドの運用方針においては、「相場に依存しない収益を追求する」という意味になります。
例えば通常の投資信託は「買い」しか行ないません。上方向のポジションしか持たないため、相場全体が上昇傾向にないと利益を上げることは難しいでしょう。
一方「ヘッジファンド」は「売り」の取引も併せて行ないます。上下どちらの方向にもポジションを持てるため、相場のトレンドがどちらにあってもヘッジファンドは収益機会を得られるのです。
したがって、ヘッジファンドはファンドマネージャーの手腕次第でいつでも利益を獲得できますが、「運用成績はファンドマネージャー次第」ともいえます。過去の実績や運用戦略を確認し投資を判断しましょう。
REIT(リート)
REITは不動産で運用される投資法人です。投資家などから資金を調達し、オフィスビルやマンションなどの物件を保有しています。その賃貸収入が主な収益源で、利益の90%以上を投資家に分配する仕組みです。
家賃は多くの企業にとって固定費で、大家(REIT)の立場からみれば定期収入です。物件にもよりますが、一般に不動産の契約期間は長く、不景気でも一定の収入を維持しやすいでしょう。
株式
株式は企業が一定の利益の還元を約束し発行する証券です。上述した劣後債との関係から、弁済順位が最も低い有価証券という見方もできます。
株主は、企業から一定の利益を「配当金」として受け取れるケースがあります。必ず支払われるわけではありませんが、財務健全な大企業は配当金を支払うケースが多いです。過去の実績なども参考に選ぶといいでしょう。
まとめ
本記事の内容を以下にまとめました。
- 6億円あれば利息・配当生活は可能
- 銀行預金は金利が低く、6億円でも利息生活は難しい
- インフレを考えれば2%以上の利回りが望ましい
もしも宝くじで6億円当たった場合、利息や配当金で生活することは十分可能です。ただし低金利のため、銀行預金では6億円でも数万円程度の年収にしかなりません。銀行預金以外の方法を選ぶ必要があるでしょう。
インフレを考えると2%以上の利回りが望ましいです。上述した「債券」のほか、「ヘッジファンド」や「REIT」などが主な選択肢になるでしょう。もしも6億円が当たったら、上述した商品で不労所得をつくってみてはいかがでしょうか。