4000万円を貯蓄してもどのように運用をしたほうがいいのか、そもそも運用するべきなのか分からない方は多いかと思います。
運用するのであれば短期間で資産を倍にするような運用方法や投機といったリスクの高い方法は絶対に避けたいと考えており、できる限り手堅く運用したいと考えているのではないでしょうか?
この需要を満たすのは資産を減らさずに資産を増やすことです。もちろん、投資において100%資産が減らない運用方法は存在しませんが、資産の減るリスクをできる限り最小化させて運用することは不可能ではありません。
「資産は減らしたくないけど使わない貯蓄があるなら有効活用したい」「老後や持っている資産のインフレ対策」の2つが4000万円を運用する主な動機になり、この記事ではこのニーズを満たすためのリスクの低い4000万円の運用方法について解説します。
4000万円を貯金ではなく運用する必要がある理由
4000万円を運用する理由とはなんでしょうか?また、4000万円あれば貯金だけで十分ではないかと考える方もいるかもしれません。
しかし、現実問題4000万円がリタイア後の資産形成として十分であるかどうかは問題ですし、4000万円を貯金しているだけでも実はリスクを抱えているのです。
- 4000万円はリタイア後の資産としては十分でない
- 資産の価値は貯金をしていても変動してしまう
それぞれ詳しく解説していきます。
4000万円はリタイア後の資産としては十分でない
「老後を暮らしていくには2000万円必要である」と金融庁の発表したレポートによって、一時期老後までに2000万円を貯めなければ老後を暮らしていくことが難しいというニュースが話題になりました。
4000万円は2000万円の2倍なので十分な貯蓄と思う方もいるかもしれません。しかし、2000万円はあくまで金融庁の試算する「一般的な2人暮らしの老夫婦の家庭」を想定したものです。
4000万円を貯めることができた生活レベルの高い方が、生活レベルを落とさずに暮らしていけることを保証するものではありません。
「定年退職をして働かなくなるのだから生活レベルを落とすのは仕方がない」と思う方もいるかもしれませんが、生活レベルを大きく下げれば現役時代の金銭感覚は通用しなくなりますので想像以上のストレスになることが予想されます。
そのため、4000万円は貯金するのではなく運用をして増やすことで老後の生活レベルをできる限り下げることなく、定年退職後の生活をよりよいものにすることが可能です。
資産の価値は貯金をしていても変動してしまう
そもそも貯金はなぜ大事なのでしょうか? 半年以内に消費する可能性がある資産は貯金しておかなければ、いざというときに困ってしまうので、必要なお金を残しておくという意味で貯金をするのであれば間違っていません。
しかし、4000万円という貯金額はマイホームなどの購入が半年以内に控えているのでなければ、基本的に半年以内で消費するために必要なお金とはいえません。
また、銀行に預けて貯金をしておけばお金が減ることはないので安全と考えている方もいるかもしれませんが、この考え方にも落とし穴があります。
日本円にはインフレ率があり、年間で最大2%のインフレが発生する可能性があります。インフレが発生すると現在の4000万円の価値と1年後の4000万円の価値が変わり、結果的に資産が目減りしてしまいます。
4000万円の2%は80万円です。つまり貯金をしているだけでもインフレが起きれば毎年実質的に最大80万円の損失が発生する可能性があります。
10万円や100万円の資産であれば、インフレが発生しても許容できる範囲だと思いますが、保有資産が大きいので2%のインフレでも目減り額は非常に大きいのです。
現在は低金利の時代であるため銀行の金利もほとんどつかないので、銀行に預けておくこと自体がインフレのリスクを考慮しておらず資産もほとんど増えないのでリスクを背負っている状態になります。
「投資は損をする可能性があるからダメ」「貯金をしておけば安全」このような考えは日本人であれば多くの方が持っているものですが、定期預金の金利が高い時代であればともかく今の時代は貯金をすることが資産の価値を100%守ることにはつながりません。
一番リスクが少ないのはインフレに負けない3%以上の利回りで資産を運用して低リスクで資産を増やしていくことになります。
4000万円を手堅く運用するために必要なこと
貯金しているだけでは資産が目減りするので資産運用を始めようと考えても、何も知らずに始めていきなり資産を半減させてしまう損失を発生させてしまうことがあれば逆効果です。
資産の運用方法には種類がありますが、中には1日で20%以上の損失が発生する可能性があるハイリスクな投資もあります。
100万円を投資して20万円の損失が発生したのであれば立ち直れるかもしれませんが、4000万円を投資して800万円の損失が発生すれば投資初心者であれば立ち直るのが難しいと思います。
しかし、4000万円があれば選べる運用方法の種類が多いので、わざわざハイリスクな投資を選ばなくても結果を出すことができます。
ここからはリスクを避けて4000万円を手堅く運用する方法について考えていきましょう。
元本確保型の商品で運用する
投資をするうえで元本は減らしたくないので元本を減らさずに運用をしたいと考える方もいるかと思います。
資産を運用する以上、絶対に損をしない商品はありませんが、投資先が破綻しない限りは元本を返還してもらえる投資を選べば元本割れのリスクをできる限り軽減する投資方法になるかと思います。
元本確保型の商品は、利回りはけっして大きくありませんが、最大のインフレ率の2%に負けない商品であれば手堅く4000万円を増やしながらインフレ対策するのは難しくありません。
国債のように元本確保であっても利回りが3%を超えない商品もありますが、元本確保型の投資信託であれば3%以上の利回りを期待することも可能です。
とにかく利回りは少なくてもリスクは最小にしたいと考えるなら元本確保であるかどうかを確認しましょう。
分散投資をしてリスクを軽減する
高額の運用であればあるほどリスクを分散することが重要になります。1つの債券や株式に全額を投資した場合、その会社の株価が大きく下落した場合や、会社が倒産した場合に大損してしまいます。
投資の世界では「Don't put all your eggs in one basket」日本語に訳すと卵は一つのカゴに盛るなという言葉がありますが、1つのカゴに卵を盛ればカゴが傾いたときに卵がすべて割れてしまいます。
投資先は分散させたほうがリスクは少ないということを表す格言としてよく使われているので覚えておきましょう。
この格言を実行するには資産が少なければ難しく選択肢が限られます。しかし、4000万円あれば複数の商品を購入することは難しくないので分散投資を意識して投資するようにしましょう。
4000万円の投資は長期投資が前提
投資には短期間で利益を得る短期投資と、長期間の運用で利益を得る長期投資があります。
短期投資は資産を倍にすることも可能ですが、投資のリスクとリターンは比例しているので失敗をすれば資産が半減することも。
投資初心者で4000万円を投資する方が、短期で資産を半減させるリスクを負ってまで資産を倍にしたいと考える方は少ないと考えます。
つまり、4000万円の運用方法はリスクの少ない長期投資が前提です。
短期間で利益を上げる投資は10万円や100万円から始めて、元本は失う覚悟があればダメージも少ないので問題ありませんが、4000万円の運用で投資初心者が間違っても短期投資を選ぶのはリスクが高いです。
4000万円を運用するなら長期投資、短期投資に興味があっても少額以外で始めるのはおすすめできません。
4000万円を運用する目的達成するための方法4選
4000万円を運用する具体的な方法になりますが、目的に合わせて選ぶのがおすすめです。
毎月安定した収入源を確保したい方、元本確保で運用したい方、多少のリスクを許容してある程度の利回りを求めたい方など様々な目的があるかと思います。
目的を達成できる運用方法を4つピックアップしましたので1つずつ紹介していきます。
- 毎月安定した収入源になる不動産投資
- お金を貸すだけで5%以上の利回りになるソーシャルレンディング
- 元本確保型の投資信託への投資
- 多少のリスクを許容して利回りを求めるならヘッジファンド
毎月安定した収入源になる不動産投資
不動産投資は物件を購入するだけで毎月の安定した収入になり、リタイア後や老後の貴重な収入源となります。
特にリタイア後に収入がなくなることを見越して不労所得を手に入れたいと考える方におすすめの運用方法です。
インカムゲインの高さが魅力で、投資で毎月安定した収入を得たいと考えるなら不動産投資がおすすめになります。
不動産投資には不動産を売買して利益を得る方法と、不動産で家賃収入を得る方法がありますが、インカムゲインを得るなら家賃収入を得る方法で運用することになります。
また、物件の管理が面倒な方や、住人を探すのが難しい方はサブリース契約がおすすめです。
サブリース契約は不動産管理会社と契約することで物件の管理から住人の募集までおこない、毎月の収入まで保証してくれます。
もちろん、サブリース契約をすると管理費用が取られるので利益は少なくなりますが、物件の管理などの手間をなくしたい方にはおすすめです。
4000万円あれば大きな家賃収入が見込める高い物件を購入し、複数の物件を購入して分散投資をすることもできるので4000万円の投資先を不動産投資にするのはおすすめです。
お金を貸すだけで5%以上の利回りになるソーシャルレンディング
ソーシャルレンディングは一定期間お金を貸し付けるだけで10%以上の利回りが発生することもある運用方法です。
お金を貸し付ける投資方法なので、投資先が破綻しない限りは元本が返還される仕組みとなっています。
お金を貸す投資方法には国や企業の借用書を購入する債券がありますが、債券の利回りは国債が1%程度と低めに設定されているので、10%の利回りは非常に高いことが分かります。
インターネット証券でお馴染みのSBI証券の「SBIソーシャルレンディング」は、累計融資額が1,414億円の実績を持つソーシャルレンディングです。
ソーシャルレンディングは基本的には元本が返還されますが、貸し倒れが発生すると元本が返還されないリスクがあります。
SBIソーシャルレンディングは2011年から開始しており、ソーシャルレンディングの中では歴史が長いため貸し倒れはいくつか発生しています。
しかし、利回りが2.5%~5.0%と少ない不動産担保ローン事業者ファンドでは2020年8月現在、貸し倒れは発生していません。
また、利回りの高いソーシャルレンディングほど利回りを高くしてお金をすぐに借りなければならないほど厳しい状態であることも多いので、貸し倒れのリスクが高くなります。
ソーシャルレンディングで貸し倒れリスクを下げるなら利回り3~5%程度の案件に投資をするのが無難といえるでしょう。
元本確保型の投資信託への投資
元本を返還してもらう投資方法には元本確保型の投資信託での運用もあげられます。
通常の投資信託は元本が確保されていないので、損失が発生する可能性がありますが、元本確保型の投資信託を選べば長期間の運用での元本を守ることができます。
アセットマネジメントOneの「ゴールドマン・サックス社債」を購入すれば元本確保で投資信託を運用することが可能です。
返済の必要があるお金を投資家から集め自由に運用をして、利益が出たのであれば投資家に分配し、仮に損失が発生したのであれば10年間の金利と割り切って損失分を補填して投資家に返済すればいいので、ゴールドマン・サックスから見てもメリットのある商品です。
元本確保型の投資はソーシャルレンディングと元本確保型投資信託がありますが、ソーシャルレンディングの歴史は浅く信用できない方もいると思いますので、その場合は投資信託を検討してもよいでしょう。
多少のリスクを許容して利回りを求めるならヘッジファンド
投資をする以上小さなリスクでも許容する必要がありますが、多少のリスクはあってもある程度高い利回りで運用したい方にはヘッジファンドがおすすめです。
ヘッジファンドは元本が確保された商品ではありませんが、年間で10%以上の高利回りが期待できる投資方法です。
しかし、そこまで優秀な商品であるにも関わらず、株や投資信託のような商品と異なり聞いたことがないことに疑問を持った方もいるかと思います。
ヘッジファンドは富裕層のための投資商品であるため、通常の証券会社では購入することができず投資も1000万円以上から始めるのが一般的です。
そのため、投資家であっても資産がその域に達していなければ投資をすることができないので話題になりにくいのです。
4000万円の資産を持っている方はヘッジファンドという選択肢を簡単に選べるくらいの資産を持っていることになりますので、元本確保でないという理由でヘッジファンドを検討しないのはもったいないといえるでしょう。
投資のリスクとリターンは比例しているので年間10%以上の利回りが期待できるのであれば、年間で同じ割合の損失が発生する可能性があると考えてよいでしょう。相場通りの動きをするのではなく、いかなる時もプラスとなるように絶対収益を目的としたプロの運用があるために期待することができます。
ある程度のリスクを許容できるならヘッジファンドへの投資が特におすすめになります。
4000万円を一定の利回りで運用した場合のシミュレーション
最後に運用の具体的なイメージをつかんでもらうために4000万円を一定の利回りで運用した場合のシミュレーションをおこないます。
元本確保で最低リスクの3%、ヘッジファンドで運用した場合の10%、その中間の5%でそれぞれシミュレーションしたので参考にしましょう。
4000万円を3%の利回りで運用した場合
4000万円を毎年3%の利回りで10年間運用した場合の利益はこのようになります。
年数 | 元金 | 増加金額 | 運用結果 |
---|---|---|---|
1年 | 4000万0,000円 | 120万0,000円 | 4120万0,000円 |
2年 | 4120万0,000円 | 123万6,000円 | 4243万6,000円 |
3年 | 4243万6,000円 | 127万3,080円 | 4370万9,080円 |
4年 | 4370万9,080円 | 131万1,272円 | 4502万0,352円 |
5年 | 4502万0,352円 | 135万0,610円 | 4637万0,962円 |
6年 | 4637万0,962円 | 139万1,128円 | 4776万2,090円 |
7年 | 4776万2,090円 | 143万2,862円 | 4919万4,952円 |
8年 | 4919万4,952円 | 147万5,848円 | 5067万0,800円 |
9年 | 5067万0,800円 | 152万0,124円 | 5219万0,924円 |
10年 | 5219万0,924円 | 156万5,727円 | 5375万6,651円 |
10年間の利益の合計 | 1375万6,651円 |
3%の利回りで運用できる資産運用は元本確保型の投資信託など非常に低リスクなものが多いですが、毎年の利回りは100万円を超えており、8年目には資産は5000万円に到達します。
元本が確保されている商品への投資でもここまで利回りが得られるのであれば、運用せずに貯金することのもったいなさが分かるかと思います。
4000万円を5%の利回りで運用した場合
次は少しリスクが上昇しますが4000万円を5%の利回りで運用した場合の利益はこのようになります。
年数 | 元金 | 増加金額 | 運用結果 |
---|---|---|---|
1年 | 4000万0,000円 | 200万0,000円 | 4200万0,000円 |
2年 | 4200万0,000円 | 210万0,000円 | 4410万0,000円 |
3年 | 4410万0,000円 | 220万5,000円 | 4630万5,000円 |
4年 | 4630万5,000円 | 231万5,250円 | 4862万0,250円 |
5年 | 4862万0,250円 | 243万1,012円 | 5105万1,262円 |
6年 | 5105万1,262円 | 255万2,563円 | 5360万3,825円 |
7年 | 5360万3,825円 | 268万0,191円 | 5628万4,016円 |
8年 | 5628万4,016円 | 281万4,200円 | 5909万8,216円 |
9年 | 5909万8,216円 | 295万4,910円 | 6205万3,126円 |
10年 | 6205万3,126円 | 310万2,656円 | 6515万5,782円 |
10年間の利益の合計 | 2515万5,782円 |
5%以上の利回りを求めるならソーシャルレンディングや元本確保でない投資信託に投資する必要がありますが、4000万円を投資すれば毎年200万円以上増加し、10年間で2500万円以上の利益が出ることになります。
3%はとにかくリスクを負いたくない方、5%は現実的な範囲でリスクヘッジするだけでも十分に出せる利回りです。
4000万円を10%の利回りで運用した場合
最後に4000万円を運用して年間で10%の利回りが毎年発生した場合のシミュレーションをまとめました。
年数 | 元金 | 増加金額 | 運用結果 |
---|---|---|---|
1年 | 4000万0,000円 | 400万0,000円 | 4400万0,000円 |
2年 | 4400万0,000円 | 440万0,000円 | 4840万0,000円 |
3年 | 4840万0,000円 | 484万5,000円 | 5324万0,000円 |
4年 | 5324万0,000円 | 532万4,000円 | 5856万4,000円 |
5年 | 5856万4,000円 | 585万6,400円 | 6442万0,400円 |
6年 | 6442万0,400円 | 644万2,040円 | 7086万2,440円 |
7年 | 7086万2,440円 | 708万6,244円 | 7794万8,684円 |
8年 | 7794万8,684円 | 779万4,868円 | 8574万3,552円 |
9年 | 8574万3,552円 | 857万4,355円 | 9431万7,907円 |
10年 | 9431万7,907円 | 943万1,790円 | 10374万9,697円 |
10年間の利益の合計 | 6374万9,697円 |
ヘッジファンドへの投資は元本確保でないためある程度リスクを許容する必要がありますが、10年間の運用で4000万円は1億円になりました。
長期運用で積極的に資産を増やしたい方や4000万円を1億円にしたい方はヘッジファンドへの投資をおすすめします。
まとめ
4000万円を持っている方が資産を低リスクで運用するべき理由と、具体的な運用方法について解説しました。
シミュレーションの結果も載せましたので、実際に運用する前に過去の運用実績から利回りを計算し、3%、5%、10%の利回りのどれに近いかを確認してから投資をしてみるのもいいと思います。
4000万円は貯金ではなく運用をして、老後やインフレリスクに備えていきましょう。