「キャピタルアセットマネジメント」は国内の資産運用会社です。ユニークな公募型アクティブファンドを9本運用しています。
この9本ではどのような運用が行われているのでしょうか?本記事で全ファンドの成績と概要をご紹介します。
キャピタルアセットマネジメントの概要
キャピタルアセットマネジメントの概要は以下の通りです。
商号等 | キャピタルアセットマネジメント株式会社 |
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登録番号等 | 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第383号 (投資運用業、投資助言・代理業、第二種金融商品取引業) |
代表者 | 代表取締役社長 山崎 年喜 |
本社所在地 | 〒101-0047 東京都千代田区内神田1-13-7 四国ビルディング9階 (代表)TEL:03-5259-7401 FAX:03-5259-7402 |
設立年月 | 2004年1月26日 |
資本金 | 280百万円 (2018年3月31日時点) |
役職員数 | 26名 (2020年7月1日時点) |
加入協会 | 一般社団法人 投資信託協会 一般社団法人 日本投資顧問業協会 |
監査法人 | 監査法人五大 |
アクティブ運用の投資信託会社
キャピタルアセットマネジメントは国内の運用会社です。2021年5月18日時点で9本の公募型ファンドを運用しています。
アセアン株に強み
キャピタルアセットマネジメントは、アセアン株式、特にベトナム株式について強みがあります。それらに投資するファンドは5本運用しており、同社の主力商品です。
日本株式やグローバル株式ファンドの運用も行っていますが、どちらもユニークなテーマで運用されています。日本株式は、日本の公募投信として初めて「ESG(環境、社会、国際問題を解決すると思われる事業)」をテーマに運用しており、グローバル株式では「ツーリズム(観光や旅行)」をテーマに運用しています。
大手運用会社にない独特のファンドは、キャピタルアセットマネジメントの魅力といえるでしょう。
アセアン株式の見通し
キャピタルアセットマネジメントが注力するアセアン株ですが、「実際のところどうなの?今後も伸びるの?」と思われる方もいるのではないでしょうか?
そこでまずは、アセアン株式の実績を確認しましょう。代表的な株価指数「ベトナムVN指数」と「フィリピン総合指数」の値動きを以下にご紹介します。
※2014年末=100とした相対チャート
2014年末以来、ベトナム株式は好調に推移してきました。2014年末から約2.3倍に上昇しています。対してフィリピン株式は約14%下落しました。上記期間では対照的な値動きとなったといえます。
2017年 | 2018年 | 2019年 | 2020年 | 2021年 | |
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ベトナムVN指数 | 48.03% | ▲9.32% | 7.67% | 14.87% | 13.48% |
フィリピン総合指数 | 25.11% | ▲12.76% | 4.68% | ▲8.64% | ▲12.54% |
※2021年は5月18日まで
今後の見通しについて一概にはいえませんが、経済見通しを考えると明るそうです。IMF(国際通貨基金)によるとアセアン諸国は2022年まで堅調な経済成長が見込まれています。
2021年 | 2022年 | |
---|---|---|
アセアン5か国 | 4.90% | 6.10% |
内ベトナム | 6.50% | 7.20% |
内フィリピン | 6.90% | 6.50% |
(参考)世界 | 6.00% | 4.40% |
(参考)日本 | 3.30% | 2.50% |
※アセアン5か国:インドネシア、マレーシア、フィリピン、タイ、ベトナム
参考:IMF World Economic Outlook (April 2021) - Real GDP growth
特にキャピタルアセットマネジメントが強みを持つベトナムは大きな成長が期待されており、2022年は7.2%の成長が予想されています。
株価は一般に経済成長を反映します。アセアン株式は、今後も堅調に推移する可能性は十分にあるでしょう。
キャピタルアセットマネジメントのファンドマネージャー
キャピタルアセットマネジメントは、公式サイトで以下4名の運用担当者を紹介しています。
- 杉本 年史 氏(運用本部長)
- 土屋 直樹 氏(株式運用部長)
- 上野 一成 氏(シニアポートフォリオマネージャー)
- フランクリンクスマン 氏(シニアポートフォリオマネージャー)
いずれも国内外の金融機関で運用業務を数十年経験しています。運用面で不安になる必要はないでしょう。
キャピタルアセットマネジメントの運用方針
キャピタルアセットマネジメントは、「調査・計画」「運用・管理」「評価・検証」の3つのプロセスを繰り返し、運用を行います。それぞれ以下のような役割を担っています。
- 情報収集(現地調査)
- マクロ環境の分析、ミクロ(企業)の定性・定量評価
- 銘柄選択、投資配分の決定
- 運用計画の策定
- 運用資産の資金管理
- 運用計画に基づく銘柄入れ替えと投資比率調整
- 銘柄売買の最良執行
- 運用資産のパフォーマンス分析
- 売買検証
- ポートフォリオのリーガル・チェック、リスク管理
上記の内容から、ステップが細かく何をしているのかがわかるため、安心できる運用といえるでしょう。
キャピタルアセットマネジメントの全9ファンド
キャピタルアセットマネジメントが運用を行う9ファンドの概要を以下にまとめます。ここ1年はいずれも20%超のリターンがあったようです(「知的資本日本株ファンド」を除く。同ファンドの運用期間は1年未満)。
累積リターン (2021年4月末) | ||||
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1年 | 3年 | 設定来 | ||
新興国株式 | CAMベトナムファンド | 62.90% | 5.80% | 141.80% |
新興国株式 | ベトナム成長株インカムファンド | 64.30% | 6.60% | 72.70% |
新興国株式 | フィリピン株ファンド | 20.20% | ▲13.9% | 128.80% |
新興国株式 | アセアンワールド ファンド | 45.20% | ▲0.2% | 2.10% |
新興国株式 | アセアンCAM-VIPファンド | 50.90% | 2.40% | 114.20% |
日本株式 | CAM ESG日本株ファンド | 27.10% | 16.70% | 45.60% |
日本株式 | 知的資本日本株ファンド | ─ | ─ | ▲2.3% |
北米株式 | 世界シェールガス株ファンド | 43.70% | ▲12.9% | 58.30% |
グローバル株式 | 世界ツーリズム株式ファンド | 61.10% | ─ | ▲1.3% |
※─は運用期間が短いため評価不可
参考:パフォーマンス | キャピタルアセットマネジメント株式会社
それぞれ見てみましょう。
新興国株式ファンド
キャピタルアセットマネジメント主力の、アセアン株式で運用されるファンドです。単一国へ投資するファンドはベトナム2本とフィリピン1本、アセアン複数国に投資するファンドは2本の、計5本があります。
それぞれの概要は以下の通りです。
設定日 | 投資国 | 業種構成 |
---|---|---|
2010年8月10日 | ベトナム |
|
※2021年4月末時点
設定日 | 投資国 | 業種構成 |
---|---|---|
2014年8月20日 | ベトナム |
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※2021年4月末時点
設定日 | 投資国 | 業種構成 |
---|---|---|
2010年5月28日 | フィリピン |
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※2021年4月末時点
設定日 | 投資国 | 業種構成 |
---|---|---|
2015年4月28日 |
|
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※2021年4月末時点
設定日 | 投資国 | 業種構成 |
---|---|---|
2011年11月22日 |
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※2021年4月末時点
日本株式ファンド
日本株式に投資するファンドは2本あります。どちらも独自テーマで運用されるファンドで、うち「知的資本日本株ファンド」は2021年4月15日に設定されたキャピタルアセットマネジメント最新のファンドです。
それぞれの概要は以下の通り。
設定日 | 投資国 | 業種構成 |
---|---|---|
2017年1月27日 | 日本 |
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※2021年4月末時点
設定日 | 投資国 | 業種構成 |
---|---|---|
2021年4月15日 | 日本 |
|
※2021年4月末時点
その他のファンド
その他2本のファンドは主に先進国の株式に投資します。こちらも日本株式ファンド同様、独自のテーマで銘柄を選んでいます。
それぞれの概要は以下の通りです。
設定日 | 投資国 | 業種構成 |
---|---|---|
2012年8月30日 |
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※2021年4月末時点
設定日 | 通貨別構成比 | 業種構成 |
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2019年6月28日 |
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※2021年4月末時点
参考:ファンド情報 | キャピタルアセットマネジメント株式会社
キャピタルアセットマネジメントのファンドを買える証券会社
キャピタルアセットマネジメントのファンドは、いくつかの証券会社で購入できます。特に以下の4社は多くのファンドを取り扱っています。
キャピタルアセットマネジメントのファンド取り扱いが多い証券会社
アセアンワールドファンド | 知的資本日本株ファンド | その他7ファンド | |
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キャピタル・パートナーズ証券 | ─ | 〇 | 〇 |
SBI証券 | 〇 | ─ | 〇 |
楽天証券 | 〇 | ─ | 〇 |
松井証券 | 〇 | ─ | 〇 |
※2021年5月18日時点
「キャピタル・パートナーズ証券」は、キャピタルアセットマネジメントと同じグループの証券会社です。「アセアンワールドファンド」以外の8ファンドを取り扱っています。
「SBI証券」「楽天証券」「松井証券」はネット証券の大手です。設定から日が浅い「知的資本日本株ファンド」以外の8ファンドを取り扱っています。
銀行等での販売はない
2021年5月18日時点で、証券会社以外の販売会社はありません。銀行などでは買えないので注意しましょう。
キャピタルアセットマネジメントのファンドを買いたい場合、上述のような証券会社に口座を開設する必要があります。
ヘッジファンドとどちらがいい?
キャピタルアセットマネジメントはアセアン株式など、独自の運用に強みがあります。ただし運用面でいえば、一般に「ヘッジファンド」の方が高度な運用戦略を用います。
ヘッジファンドは、キャピタルアセットマネジメントのような通常の運用会社とどのように異なるのでしょうか。
通常のファンドとヘッジファンドの違い
上述したキャピタルアセットマネジメント運用の9ファンドのように、証券会社などで投資家を幅広く集めている通常のファンドを「公募型」といいます。100円~1万円程度で誰でも購入できるメリットがあります。
一方、ヘッジファンドは「私募型」で、投資家を限定して集めています。投資家を多く集められないため、1人あたりの投資額(出資額)は大きくなる傾向があります。一概にはいえませんが、最低でも1,000万円以上は用意しておきたいところです。
公募型と私募型であるヘッジファンドの大きな違いは運用面にあります。公募型ファンドは「相対収益」を追求し、ヘッジファンドは「絶対収益」を追求します。
相対収益とは「ベンチマーク(運用の目安)」を基準に運用を行う方法です。ベンチマークと同じように(あるいは上回るよう)銘柄を買い、ベンチマークが上昇したときの利益獲得を目指します。
一方絶対収益とはベンチマークを持たず、相場の影響を受けない方法で行う運用です。さまざまな運用戦略がありますが、多くのヘッジファンドは「ショートポジション(売りの取引。値下がり時に利益が出る)」を持つ点に特徴があります。
両者の違いを以下にまとめます。
- 通常のファンド:公募型、小額投資可能、相対収益
- ヘッジファンド:私募型、まとまったお金が必要、絶対収益
それぞれの主な運用戦略
通常のファンドは主に以下2つの運用を行います。違いはありますが、いずれも「買い」だけ行い、「ショートポジション(空売り」は普通持ちません。
パッシブ運用 | ベンチマークと全く同じ運用成果を目指す方法。 基本的に、ベンチマークの構成銘柄を機械的に組み入れる |
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アクティブ運用 | ベンチマークを上回る運用成果を目指す方法。 ベンチマーク構成銘柄より割安、または成長性が高いと考えられる銘柄などを厳選し組み入れる。 キャピタルアセットマネジメントはこちらに該当。 |
ヘッジファンドの運用戦略は多岐にわたるので一概にはいえませんが、以下のようなものが代表的です。
株式ロングショート | 割安銘柄には「ロング(買い)」を、割高銘柄には「ショート(売り)」を仕掛ける戦略。 相場全体の動向にかかわらず、常に利益の機会を得られる。 |
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マーケットニュートラル | 割安銘柄に「ロング」を仕掛けると同時に、市場全体(例えば先物)に「ショート」を仕掛ける戦略。 市場の影響を排し、純粋に個別銘柄からの投資収益獲得が期待できる。 |
アービトラージ | 同一資産が2つ以上の価格で取引されている場合、安い価格では「ロング」を、同時に高い価格では「ショート」を仕掛ける戦略。 理論上、価格差が必ず利益になる。 |
資金が十分あればヘッジファンドもあり
キャピタルアセットマネジメントのような通常の運用会社とヘッジファンド、どちらが優れているか断定はできません。運用方法が異なり、同列に語れないためです。
両者には一長一短あります。資金が十分にあればヘッジファンドを選択してもいいでしょう。なお、どちらも元本保証ではないので、投資(出資)の判断は慎重に行いましょう。
まとめ
本記事で紹介したキャピタルアセットマネジメントの内容を以下にまとめます。
- キャピタルアセットマネジメントは運用会社
- 公募型アクティブファンドを9本運用(2021年5月18日時点)
- アセアン株式(特にベトナム株式)に強み
- 「ESG」や「ツーリズム」など独特のテーマ型ファンドも
キャピタルアセットマネジメントはアセアン株式に強みがある運用会社です。同社のファンドは同グループの「キャピタル・パートナーズ証券」などの証券会社で購入可能です。
資金があるならヘッジファンドもおすすめ。高度な運用戦略で絶対収益を追求します。
ヘッジファンドについては、下記の記事で解説しています。