安全な資産運用としてよく取り上げられるのが個人向け国債です。国債は発行元が国であるため比較的安心して始めることができます。

また、個人向け国債ならば1万円から購入することができるため、資産運用初心者でも扱いやすい債券と言えます。

しかし、いくら国が発行しているからと言っても、無計画に購入・運用すると十分な利益を得ることができない可能性があります。

 

国債でできるだけ多くの利益を得るためには、どのような点に注意をすれば良いのか事前にチェックしておきましょう。

また、実際に国債を購入する前に、そもそも日本の国債自体が安全かどうかを知っておく必要があります。

国債の安全性を示すデフォルトリスクについても把握しておきましょう。

1、個人向け国債とは?

 

国債とは国が資金を調達するために発行する債券のことです。国が発行しているため、一般企業などの株式に投資するよりも安全性が高いと言われています。

個人向け国債は個人でも購入しやすいように工夫されており、1万円から購入可能で、購入に関する手数料は発生しません。

また、証券会社の他にも提携銀行や郵便局からでも購入できるため、気軽に国債を購入できるようになっています。

 

個人向け国債の最大の特徴は元本割れをしないという点です。

国債保有期間中は半年に1回利子が支払われ、満期になると元本が返金されます。

個人向け以外の国債を満期前に解約しようとすると、国債の買取価格が解約時点の相場となってしまうため、相場によっては元本割れを起こす可能性があります。

 

個人向け国債は元本の価格が保証されているため、発行から1年以上経っていれば途中解約しても元本は購入時の金額で返済されます。

しかし、個人向け国債にもデメリットがあります。それは他の金融商品と比べると利益が少ないという点です。

個人向け国債は投資信託や株式投資などよりリスクが小さい分、リターンも小さくなってしまいます。

 

ただし、メガバンクの定期預金の金利よりは利率が高いため、ただ貯金をしておくよりも個人向け国債を購入した方が、資産を増やすことができるでしょう。

また、最低1年は解約することができないので、すぐにお金が必要な場合は注意が必要です。長期的に使用する予定のない資産がある場合のみ、国債の購入を検討しましょう。

2、ポイント1.金利を見極める

 

個人向け国債と一口に言っても、「変動10」「固定5」「固定3」の3種類用意されています。

「変動10」は金利が変動型で、10年満期の債券です。そして、「固定5」「固定3」固定金利型の債券で、それぞれ満期が5年と3年になっています。

 

「変動10」の金利は、10年固定利付国債の実勢金利に0.66をかけた値となっており、10年固定利付国債の入札状況によって変動します。

ただし、最低金利保証制度が導入されているため、金利が最低金利である0.05%を下回ることはありません。

 

「固定5」および「固定3」の金利は、国債発行時の市場実勢利回りを参考に計算した満期までの想定利回りから、「固定5」ならば0.05%、「固定3」ならば0.03%を引いた金利が固定金利となります。

したがって、金利は国債発行時の状況に左右されるため、少しでも金利が高いときを見極めることで利益を増やすことにつながります。

2018年8月発行分の利率は「固定5」「固定3」ともに最低金利である0.05%となっており、「変動10」の初回利率も0.05%となっています。

 

変動金利型は金利が下がるリスクがある反面、金利が上がることも期待できます。

上記のように固定金利型が最低利率の0.05%ならば、変動金利型の方が経済状況次第では多く利益を得られるかもしれません。

また、逆に固定金利型の利率が高いときならば敢えてリスクは取らずに、固定金利型の国債を購入した方が賢い資産運用だと言えるでしょう。

少しでも資産を増やすためには、金利を見極めて購入時期や債権の種類を選びましょう。

3、ポイント2.長期保有が基本

 

途中解約しても元本割れがないのが個人向け国債の魅力です。

しかし、購入してから1年程度で解約してしまっては利益を得ることができないため注意が必要です。

購入時には手数料が必要ない個人向け国債ですが、途中解約時には中途換金調整額というものを支払わなければいけません。

中途換金調整額とは、直近2回分の利子相当額に約0.8をかけた金額になります。

 

利子は半年に1回支払われるので、直近2回分の利子は1年分の利子ということになります。

もし、国債を購入してから1年で解約してしまうと、その1年間で得た利子を返すことになるため、国債によって得た収入がほぼゼロになってしまいます。

それならば、銀行に預けていた方が高い金利を得られるかもしれません。

 

国債は満期まで保有しているのが基本です。

何らかの事情により途中解約するにしても、なるべくたくさんの金利を受け取ってからの方が望ましいです。

ただし、金利に大きな変動があったときはその限りではありません。

低い金利時に固定金利型の国債を購入しており、現在の方が高い金利で国債を買えるのならば、現在所有している国債を解約して買い直すのも一つの手です。

国債を買った後でも金利などの動向をこまめにチェックしながら、上手に資産運用を行いましょう。

4、ポイント3.デフォルトリスクを把握する

 

デフォルトリスクという言葉を知っていますか?

デフォルトとは債券を発行している国などが返済できなくなることを言います。

つまり、デフォルトリスクとは金利の受け取りのみならず、元本の返済すらされなくなるリスクのことを指しているのです。

 

デフォルトリスクを判断する材料として、信用格付というものがあります。

信用格付とは格付会社によって、元本や金利の支払いが問題なく行われるかどうかを記号化して評価し、その債券のリスク度を知らせるものです。

格付会社によって評価方法などは異なるものの、大抵はアルファベットで評価されます。

 

信用格付での最高評価はAAAで、最も確実に債務履行することが期待できます。

その次にAA、Aと来て、BBBとなります。BBBは債務履行の確実性は高いものの、将来的には確実とは言えない状態です。

このBBB以上が投資適格と言われており、投資をするのならばBBB以上の債券が望ましいとされています。

 

世界的な大手格付会社による2018年7月現在の日本の評価はA+となっています。

最高評価のAAAには及びませんが、投資適格のボーダーラインを超えた十分に信用度が高い状態だと言うことができます。

ただし、信用格付は変動するものであり、良い評価を得ているからと言って必ずデフォルトに陥らないわけではありません。低いだけでリスクは必ずあると言うことを念頭に、個人向け国債の購入を検討しましょう。

5、安全な資産運用をしたいのならば個人向け国債

 

個人向け国債は気軽に購入できるよう工夫された国債です。

1万円という低額から購入可能でありながら、元本保証や最低金利保証がされているので、資産運用に詳しくない人でも手が出しやすくなっています。

決してリターンは大きくありませんが、安全で確実に資産を増やしたい人には向いている運用方法だと言えるでしょう。

個人向け国債には変動金利型と固定金利型があるため、そのときの金利に応じて適切なタイプを選ぶことが、上手な資産運用の鍵となってきます。

 

また、購入した後でも気を抜かずに利率などをチェックして、国債の保有を継続するか買い直すかを見極めることで、更なる利益を生み出すことができるかもしれません。

2018年現在の日本の国債は投資に値すると評価されていますが、デフォルトリスクは少なからず存在しています。あくまで個人向け国債は低リスクな金融商品です。

常にアンテナを張って、上手な運用を目指しましょう。

 

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