自分の資産を使って投資するのであれば出来るだけリスクを抑え、大きな利益が得られるようにしたいと考える投資家も居ます。

それを実現するための一つの選択肢となるのが、ヘッジファンドへの投資です。

ヘッジファンドは投資をしたいと言う人から資金を集め、運用のプロが様々な手法を使って利益を追求します。

運用する人の方針や実力によって違いますが、数億から数十億規模の資産運用をします。

個人では資金を集めたり、投資したりすることが不可能な金額を投資したり、少ない資金では投資することが出来ないものにも投資が出来るのです。

さらに色々な情報を持っているので運用を有利にする力があるのがメリットです。

このようなヘッジファンドの中にも市場の変化を待っているだけでなく、自分たちで投資先に働きかけて利益を生む方法があります。

それがアクティビストファンドです。

そこで積極的に利益を得るために動く、アクティビストファンドや話し合いを中心とした新型のアクティビストファンドについて解説します。

 

アクティビストファンドは株主という立場から利益を最大化させるための助言や提言を投資している会社にして行い、企業の経営などにも積極的に携わる人のことです。

積極的に経営にもかかわってくるので「もの言う株主」「ハゲタカ」とも呼ばれます。

アクティビストファンドと似たような投資方法に投資信託がありますが、投資信託は集めた資金で株式や公社債を購入します。

得られた利益を出資者に還元する仕組みで、アクティビストファンドとシステムはあまり変わりません。

 

資金力の少ない個人や小さなグループでは持ち株も少なく、発言権も限られてしまうので大きな資金を持っている人が動くケースが多いです。

アクティビストファンドには二種類あり、積極的に利益を追い求める旧型のアクティビストファンドと対話を中心とした新型アクティビストファンドがあります。

1、アクティビストファンドの目的と新型アクティビストファンドとは?

 

アクティビストファンドの目的は投資した企業の経営内容を改善して、その会社の価値を高めることです。

企業の経営状況に合わせて役員の交代や指名、M&Aや事業委託、事業再編などを求めます。

企業価値を高めることが出来れば、自分自身の利益にも繋がります。

本来アクティビストは企業にとって貴重な存在となりますが、投資家に利益を得たら違う会社に投資先を変えてしまう可能性があるのがデメリットです。

 

その中でも新型アクティビストファンドは経営陣との対立関係はなく、対話を重視しているのです。

今までのアクティビストファンドは株主への配当金が少なかったり、経営陣に要求が受け入れて貰えなかったときには敵対的買収や委任状の争奪をして強引に利益を奪い取っていました。

 

ですが新型のアクティビストファンドは企業に対して直接的な攻撃や発言は避けて、経営陣との面談や意見書の提出をします。

あくまでも友好的なスタンスで、短期的な利益ではなく長期的な目で企業の価値の向上を目指すのです。

友好的なスタンスを貫けば他の株主の賛同を得やすくなり、持っている株の数が少なくても発言権を得られます。

2、新型アクティビストファンドの戦略とは?

 

新型アクティビストファンドの戦略の一つが、利回りの最大化を行うことです。

経営陣がどのような資本を分配しているのかに注目し、これからどのような戦略をとれば株主の配当金と自社株買いの利回りを最大化させることが出来るのかを考えます。

 

短期間で出来るだけ利回りを増やせるようにバランスシートを再構築します。

幾つかの企業が拮抗している場合には、競合企業同士を合併させる戦略もあるのです。

競合している企業を合併させることが出来れば不安定な経営状態も安定し、生産性が高い会社が作れます。

その分野を独占することも可能となるので、取締役の再選や資本構成の変更などの手法を駆使して合併させるのです。

さらに相互補完的ではない部門を抱えている企業は全体的な株主利益を最大化させるのは難しいケースも多いので、分社化をして資産構成を別々にして利益を最大化させます。

 

それぞれの分野で利益を上げていたとしても、資本要件が異なる場合があります。

そこで各業績を最大化させて、さらなる利益を狙う戦略を使うのです。

また利益を得られない部門を売却して、売却した利益を再配分して会社の成長を促します。このような積極的な要求でも、要望書の提出や話し合いをして経営陣に意見を伝えるのです。

 

これに加えて新型アクティビストファンドは中長期的な利益を得ることも目的としているので、経営陣に要求する内容も穏やかなケースもあります。

自己資本利益率の見直しや株主への還元、企業状況の改善です。

自分たちの利益を追い求めるだけでなく、会社の将来も同時に考えるのが新型アクティビストファンドの特徴です。

3、日本での新型アクティビストファンド

 

日本には比較的アクティビストの活動を容認している傾向があり、活動自体を助長する要素もあります。

これからも旧型のアクティビストの活動が活発になったり、新型のアクティビストファンドの増加も考えられます。

 

その理由はアベノミクスで採用されたコーポレートガバナンス・コードとスチュワードショップ・コードです。

コーポレートガバナンス・コードは企業が株主や従業員、顧客や地域社会などの立場を踏まえた上で、公正で透明性がある意思決定を行うシステムです。

スチュワードショップ・コードは会社の継続的な成長を促すため、投資家と企業が対話をして受託者責任を果たします。

 

スチュワードショップ・コードとコーポレートガバナンス・コードは投資家と企業の対話を求めている制度です。

会社側もこれまで以上に投資家のために活動する必要が出て来るので、新型アクティビストファンドの意見を聞くようになっています。

そしてこの二つのシステムによって相互持合いの改善や経営に注目が集まるなど、アクティビストや新型アクティビストファンドが活動しやすい環境となっているのです。

 

世界的な金融緩和も理由の一つで、金利の世界的な低下によって国債などの投資では利益が出にくくなっています。

投資家は新しい投資先を探し求めていて、アクティビストファンドも投資先としての選択肢に含まれるようになったことで活動しやすくなっています。

4、新型アクティビストファンドのメリット

 

新型のアクティビストファンドでは相場の変化を待つ投資方法よりも、高い利益が得られると考えられています。

投資先の多くが市場で評価されておらず、株価が低迷している状態です。

低迷している状態から株価が上がるように自ら経営陣に助言を行い、高い専門性と資金力を駆使することで利益となります。

安く購入した株が結果的に自分の力によって利益となるのは新型のアクティビストファンドならではです。

無謀な要求や常識から外れた行動もあまり起こさないので経営陣からの信頼も得られ、自分の意見を言いたいときにも耳を傾けてくれます。

会社の成長を株主という立場でサポートしながら、自分の利益を追い求めるという企業側も投資家もメリットがある関係が築けるのが良い点です。

企業側も有益な意見を得られたり、自分たちでは考えつかなかったアイデアを出してくれたりとメリットがあります。

投資家に株を売られてしまって損失が出ないように努力もするので、結果的に経営の改善になるのです。

5、友好的な話し合いで企業価値を高める新型アクティビストファンド

 

日本はこれまでアクティビストファンドにあまり良いイメージはありませんでしたが、現代では企業と友好的な関係を築く新型アクティビストファンドが次々と誕生しています。

経営陣とともに企業価値を高め、株主にきちんと利益を還元出来る存在として国内外で注目が集まっています。

新しい株主の姿としても注目されていて、企業側も積極的に意見に耳を傾けようとしているのです。

無理な要求はせずに長期的に利益を得ようと考えているのが、新型アクティビストファンドなのです。

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