本格的な高齢化社会を迎え、かつてのように「退職金と年金で安泰」という時代ではなくなりました。
特に年金に関してはさまざまな悲観的な予測が多く報道されています。
また、高齢になってくると病気やケガの入院費などの、思わぬ出費に悩まされることも少なくありません。そうなってくると、貯金や退職金などで5000万円の資産を作ったとしても安心した老後を迎えることは難しいのが現実です。
しかし、「投資を勧められて投資信託をやってみたが、一向に利益が出ない」「安全といわれる国内株を買ってみたものの、むしろ資産が減少している」という人も少なくありません。
そこで注目を集めているのが「オルタナティブ投資」です。
この記事では5000万円の資産をオルタナティブ投資で運用していく方法について解説していきます。
1、オルタナティブ投資とは
「オルタナティブ投資」とは、従来の上場株式や債券などの伝統的資産以外に投資したり、新しい投資手法によって資産運用を行うことを指します。
「オルタナティブ(alternative)」とは、「代替の」「代わりの」という意味です。このオルタナティブ投資が注目される理由のひとつに、急激な日本を取り巻く経済状況の変化があげられます。
日本は本格的な少子高齢化のフェーズに入り、少なくともかつてのような大きな経済成長は見込めないのが現実です。
その際によくいわれるのがインフレのリスクです。
インフレとは、簡単にいえばお金の価値が下がるということで、あらゆる物価が上昇します。インフレの際に最も被害を受けるのが貯金を沢山持つ高齢者です。
収入を上げることが難しい場合は貯蓄に頼らざるを得ないのですが、インフレになれば貯金の価値はどんどん目減りしていきます。
ハイパーインフレが起これば、一瞬にして貯金が紙くず同然になってしまうことは歴史が証明しています。
経済のグローバル化が進むにつれて、インフレのリスクは高まる一方です。
例えばドル/円(USD/JPY)が100円の時と200円の時を比較してみましょう。
ドルの価値が倍に上がれば、当然その分だけ円の価値は下がります。そうなると海外からの輸入品が単純計算で2倍になることになります。
もちろん5000万円の貯金の価値も半分に減るということです。
現実としては突然このようになることは考えにくいのですが、エネルギーをはじめ多くのものを輸入品に頼っているのが日本の現状です。
国内資産のみに頼るのであれば、常にこのようなリスクにさらされているということを理解しておく必要があります。
2、オルタナティブ投資の代表「リスク分散」としてのヘッジファンド
従来の投資信託などは、伝統的資産への投資が中心であり、グローバル社会におけるインフレリスクへの備えとしては適当とはいえません。
また、パフォーマンス自体が定期預金などとあまり変わらない投資信託も少なくありません。
そこでオルタナティブ投資の代表的な存在として注目を集めているのが「ヘッジファンド」です。
ヘッジファンドとは、投資家から集められた資金をプロが運用するという機関投資家のひとつですが、資金を「私募形式」で集めるということが特徴です。
投資信託などは「公募形式」であるために、監督官庁への詳細な届出が義務付けられており、投資手法や投資対象についても制限が課されています。
例えば為替予約取引や金融派生商品(デリバティブ)などについては一定の制限がありますが、法律で定められているものであるため、証券会社の裁量ではいかんともしがたい性質のものです。
このような規制から自由なヘッジファンドは、投資手法や投資対象が多岐にわたります。
ハイリスク・ハイリターンのイメージが強いヘッジファンドですが、さまざまな国のさまざまな金融商品を扱うため、国内の伝統的資産一辺倒の投資よりもむしろリスクが低いといえます。
投資の格言として「卵はひとつのカゴに盛るな」というものがあります。
つまりリスクは分散させるべきだという教えですが、グローバル社会においては「投資対象の国」も分散させることが基本です。ヘッジファンドはこういった投資対象地域の分散も当然のように行っています。
3、オルタナティブ投資で「増やす」ためのヘッジファンド
5000万円の貯金を投資信託などの一般的な資産運用で増やしていくのは現実としては非常に難しいものです。
なぜなら、いくら利回りを計算したとしても、それらは貯金に全く手をつけないことが前提になっているからです。
また、毎年利益を出し続ける投資信託は非常に限られており、良くても年利数%です。
さらにそこから諸費用を引かれることになり、大切な貯金をリスクにさらしているにもかかわらずリターンは微々たるものです。
一方、ヘッジファンドは年利20%程度は一般的な数字で、年利50%を超えるものも少なくありません。
このようなパフォーマンスの違いは、収益に対する考え方の違いから生まれてくるものです。
投資信託の収益は「相対収益」と呼ばれ、「ベンチマーク」という一定の基準を上回ることを運用目標にしています。
このベンチマークは一般的にTOPIXなどの「インデックス(株価指数や債券指数)」が採用されており、景気が悪くなれば当然これらも下がります。
ベンチマークが下がった場合、投資信託はこれらより下げ幅を小さくすることが目標になります。
つまり、収益がマイナスでもベンチマークを上回っていればよいという考え方なのです。
一方、ヘッジファンドの場合は「絶対収益(絶対リターン)」を追求します。
下げ相場でも積極的にショートポジションを立てるなど、景気に左右されず利益を上げ続けることができるのが特徴です。
相場がパニックになるような暴落時さえ、ヘッジファンドにとっては利益をあげるチャンスなのです。
4、さまざまなオルタナティブ投資
ヘッジファンドのほかにも、さまざまなオルタナティブ投資があります。
未公開株を扱う「PEファンド」もそのひとつです。PEファンドとは「プライベート・エクイティ・ファンド (Private Equity Fund) 」の略で、直接企業の経営に関与していくことが特徴です。
中長期での投資が主体であり、株を売却するのは経営を改善して企業価値を十分に高めた後になります。
「投機ではなく投資がしたい」「投資を通じて企業の成長に参画したい」という人にも支持されています。
「海外不動産」も注目されるオルタナティブ投資のひとつです。
5000万円の資産運用にも適切なサイズで、新興国であれば複数の場所に分散投資することも可能です。
日本国内の不動産投資は過熱気味であるほか、5000万円ではあまり良い投資ができません。
また、多少のインフレ対策にはなるものの、「資産を増やす」という観点では大きなリターンは期待できません。
新興国の場合は、株価が下落しても不動産価値は上昇を続ける性質があるため、資産運用に向いています。
5、オルタナティブ投資の特徴「資産運用」と「資産防衛」
このように、オルタナティブ投資にはさまざまな方法がありますが、いずれも高い利回りが期待できる魅力的な投資対象です。また、単に資産を増やすだけでなく、リスクを分散させて資産運用を行うことができるのが最大の特徴です。
リスクの分散は、投資対象を分けるというだけでは不十分な時代です。
大切なことは、投資対象の国や地域も分散させるということです。これによって「資産運用」と「資産防衛」が可能になるのです。
海外投資というとやや敷居が高いイメージですが、最近では「日本人が運用するヘッジファンド」が増えてきています。
海外不動産などについても同様で、日本国内にいながらにして海外投資が可能です。
資産運用を検討しているのであれば、まずは気軽に相談してみることをおすすめします。