「いつかは富裕層の仲間入りをしたい」と思っている人も多いことでしょう。
しかし、給料などの収入を増やして富裕層といえるほどの資産を形成することは容易ではありません。
そこで、富裕層がどうやって資産を維持したり増やしたりしているのかに注目してみましょう。
そうすると浮かび上がってくるのが「ヘッジファンド」の存在です。
なぜ富裕層はヘッジファンドを選ぶのでしょうか。そういった疑問に答えるために、この記事ではヘッジファンドの歴史や、ヘッジファンドを利用することのメリットについて解説していきます。
もちろん、一般の個人投資家でも参考にできることが多くあります。ヘッジファンドに関する知識を整理して、ぜひ富裕層への仲間入りを果たしてください。
1、ヘッジファンドの基礎知識
「ヘッジファンド」とは機関投資家のひとつで、富裕層などから集めた資金を運用することで知られています。
そのため運用する資金も非常に大きく、通常の取引でも数億円単位にのぼります。大きな取引では、数兆円という規模になることも珍しくありません。
また、ハイリスク・ハイリターンの取引を積極的に行うこともヘッジファンドの特徴のひとつです。
「ファンド」という呼び名の通り、資金を募って運用するという点では、一般的な投資信託などによる投資とあまり変わりませんが、投資の手法は大きく異なります。
投資信託などは、株式や債券などの伝統的資産を中心にポートフォリオを組み、安全な運用を目指すことが一般的です。
一方、ヘッジファンドは先物や為替はもちろん、金融派生商品(デリバティブ)なども積極的に組み入れ、大きなリターンを目指した手法をとります。
また、通常のロング(買い)ポジションだけでなく、ショート(売り)ポジションを意図的に多用することもヘッジファンドの手法の特徴といえます。
ヘッジファンドのもたらす大きなリターンにより、富裕層はますます資産を増やすことが可能になるのです。
2、ヘッジファンドと富裕層の歴史
ヘッジファンドと富裕層の歴史には密接なつながりがあります。
正確にいえば、ヘッジファンドとは富裕層のために作られたものなのです。
第一次世界大戦・第二次世界大戦前後は、富裕層にとっても苦難の時代でした。
戦争によって為替が不安定であり、各国でインフレが頻発していたのです。
特にハイパーインフレが起きてしまえば、国内の現金は一瞬で価値がなくなってしまいます。
当然インターネットもない時代であり、現代のように簡単に外貨取引を行うこともできません。それどころか、国による財産の接収なども行われていた時代です。
そのため、富裕層はこういったさまざまなリスクから資産を守ることを投資の専門家に依頼しました。
これがヘッジファンドの始まりです。
ヘッジファンドの「ヘッジ」は文字通り「(リスクなどを)回避する」という意味です。
ヘッジファンドといえばハイリスク・ハイリターンの取引が特徴ですが、ヘッジの名がついているのはこういった経緯があるからなのです。
時代が進むにつれて、ヘッジファンドは富裕層の資産を防衛するだけでなく、積極的に運用してリターンを増やすようになっていきます。
最初に現代のヘッジファンドのようなスタイルを始めたのはA.W.ジョーンズです。
株式を買うだけではなく、空売りによるヘッジを積極的にファンドに組み入れる手法を編み出しました。
A.W.ジョーンズはファンドを1949年に開始していますが、この「ロングショート戦略」はすぐに世界中に広がり、次々にヘッジファンドが誕生しました。1960年代になると200を超えるヘッジファンドが存在するまでになっています。
3、富裕層が納得する「成果」
富裕層は多くの金融機関と取引があるうえ、自ら直接事業などへの投資をすることもあります。
決してヘッジファンドだけが富裕層の資産運用手段ではなく、さまざまな選択肢を持っています。
また、投資対象への目も肥えており、投資を行うかどうかの判断基準は極めて厳しいものです。
にもかかわらず、富裕層がこぞってヘッジファンドを利用するのには理由があります。
それは、ヘッジファンドの「成果」、つまり運用の実績です。
ヘッジファンドが成果を出し続けられる最大の理由は、「投資手法への制限がほとんどない」ということです。
ヘッジファンドは「私募形式」によって資金を集めるため、一般の金融機関のように監督官庁への細かい届出が不要で、規制もほとんどありません。
そうなると、金融工学にもとづいて自由にトレードを行うことが可能になり、富裕層が納得する成果につなげることができるのです。
特筆すべきは、「不景気でも利益を上げることが可能」ということです。
一般的な投資信託では株や債券などを買い入れてポートフォリオを組みますが、マーケットが下向きのときにはどうしても価格が下がってしまいます。
しかし、投資信託は「ベンチマーク」を上回ればよいという考え方です。
ベンチマークは主にTOPIXや日経平均などの「インデックス」で、マーケットが下向きのときにはインデックスより下げ幅を小さくすることが目標になります。
そのため、投資信託は「相対収益」を運用目標としているのです。
一方、ヘッジファンドは「絶対収益(絶対リターン)」を目指して運用を行います。つまり、マーケットの下降時にも積極的に利益を追求するという考え方です。
4、なぜヘッジファンドは信頼されるのか
富裕層は目先の損得に左右されず、取引相手との「信頼関係」を重視することでも知られています。
結果として、信頼できる相手と取引することで資産を守ることにもつながります。
ヘッジファンドが富裕層から信頼される理由は、「Same Boat」というヘッジファンドのスタンスにあります。
のスタンスは直訳すれば「同じ船」ということになりますが、英語では「同じ状況・同じ立場」という意味で使われます。このスタンスの根拠になるのは、「成果報酬」と「運用者出資」というヘッジファンドのビジネスモデルです。
一般的な投資信託は、販売手数料が証券会社などの主な収入源になっています。
この場合、運用成績がどうであろうと販売担当者にはあまり関係ありません。
本当に確実な利益が見込めるのであれば、販売担当者も投資するはずですが、もちろんそういったことはまれです。
また、実際にポートフォリオを組んだり運用したりするのは販売部門とは全く別の機関です。これでは富裕層の信頼を勝ち得るのは難しいのが現実です。
一方、ヘッジファンドは成果報酬モデルを採用しています。顧客の利益とヘッジファンドの利益は正比例するため、まさに利害が共通しているスタイルなのです。
さらに、ヘッジファンドは出資も同時に行っています。
他人の資産を運用することは、プレッシャーがかかる一方で最終的なリスクを負っていません。
運用成績がマイナスだったとしても、実は全く責任を負っていないことになります。これでは富裕層のような厳しい目を持った顧客は納得しません。
ヘッジファンドの創始者であるA.W.ジョーンズは、この点に早くから気づき、自らの資金もファンドに出資しました。
こうしたスタイルがヘッジファンドでは原則となり、富裕層から信頼される存在として確固たる地位を築いてきたのです。
5、個人投資家は富裕層の行動を取り入れよう
このように、ヘッジファンドは富裕層が納得するだけのさまざまな特徴を備えた機関投資家です。
銀行の預金や投資信託とは比較にならないほど利回りが高く、年利が50%を超えるヘッジファンドも決して珍しくありません。
また、マーケットの動向に関係なく利益をあげ続けることができるのは大きな魅力です。
インフレや恐慌などの経済低迷時にも、安定した収益を期待することが可能です。
そのため、資産を増やしたいと考えるのであれば、富裕層の行動を取り入れてヘッジファンドを利用することがおすすめです。
これまでのヘッジファンドは対象を富裕層に限定していましたが、最近は個人投資家を対象に門戸を広げています。
また、国内のヘッジファンドにもそうした動きが波及しています。
もちろん日本語で確実にコミュニケーションが取れるため、安心して利用することが可能です。まずは気軽に相談してみてはいかがでしょうか。