自己資産1億円というのはなかなか達成できない大きな数字です。
そのため、1億円があれば一生遊んで暮らせるように思う人もいるかもしれません。
しかし、家族を養う金額も含めれば、個人の平均生涯支出額は2~3億円だといわれています。
現在何歳で扶養家族が何人いるかにもよりますが、1億円という金額は決して将来の安泰を約束してくれるものではないのです。
しかも、超高齢社会といわれる世の中で、100歳まで生きるケースも珍しくはなくなってきました。
長生きをするとそれだけ多くのお金が必要だという事実も忘れてはいけません。
そこで、考えなくてはならないのが1億円を元手にした資金運用方法です。手堅く資産を増やす方法、大幅な資産アップを狙う方法など、目的に合わせた運用方法を紹介していきます。
1、手堅い資金運用法として誰しもが頭に思い浮かべるのが定期預金
確かに、銀行などにお金を預ければ倒産をしない限り資金が目減りする心配はないわけで、安全という点では申し分ありません。
しかし、現在は超低金利の時代であり、バブル期には5%を超えていた都市銀行の定期金利も今では0.01%程度です。
1億円を預けても1年に1万円しか増えない計算になります。
ネット銀行なら都市銀行などに比べて高金利ですが、それでも0.1%台がせいぜいです。
これでは資産を増やして安定した生活を手に入れるといった目標には全く合致しません。
そこで、より高い利回りが期待でき、同時に、比較的リスクの少ない資産運用法として注目されているのがソーシャルレンディングです。
ソーシャルレンディングとはお金を借りたい企業などにweb上でお金を貸し、その利子で資産を増やしていく方法です。
もちろん、個人的にお金を貸すのではなく、間に事業者が入ってマッチングを行うので返済能力のない相手にお金を貸してしまうなどといった心配はありません。
信用に足る相手かどうかの審査はそのサービスを運営している事業者が行ってくれます。
そして、返済された金利の一部は事業者の利益となり、残りの金額が投資した人間の儲けとなるわけです。
この資金運用法の一番のメリットは初心者と経験者の差がつきにくいという点です。
株やFXなどは知識や経験がものをいいます。そのため、初心者が安易に手を出すと大きな損をしてしまいがちです。
それに対して、ソーシャルレンディングはお金を貸して返してもらうだけなので初心者でも安定して資産を増やすことができます。
利回りも4~14%程度と、銀行の利子に比べると遥かにお得です。
それに、株やFAXのように常に値動きをチェックしなくてもよいので、手間がかからないという点も見逃せません。
仮に、利回り5%だとしても、1億円投資すれば手間をかけずに1年間で500万円の利益を得ることができます。
ただし、メリットが多いように思えるソーシャルレンディングにもデメリットは存在します。
一つは途中解約ができないという点です。
株やFAXなら自分の好きなタイミングで売却することができますが、ソーシャルレンディングはお金が返済されるのを待たなければなりません。場合によってはその期間が1年以上に及ぶケースもあります。
そうなると、急にお金が必要になっても自分の資産を自由に使えないという事態もでてきます。
もう一つは、貸し倒れのリスクがあるという点です。いくら厳正な審査をしているといっても、相手が破産をするなどしてお金を返せなくなる可能性はゼロではありません。
最悪の場合、貸したお金をすべて失ってしまうことになります。
ソーシャルレンディングによって元本割れを起こす可能性は極めて低いという過去のデータはあるものの、絶対損をしないわけではないという事実は覚えておいた方がよいでしょう。
2、業績の安定している企業なら低リスク!株式投資による配当収入のメリットとデメリット
株はリスクの高い資産運用法だと思われがちですが、それは株の値動きによって利ざやを得ようとした場合です。
それなりの利益を得るためには値動きの大きな株に手を出す必要があり、その結果、株価が上がればよいのですが、暴落をすれば一気に資産を失うことになってしまいます。
しかし、株の利益は売買による利ざやだけではありません。
株を所有し続けていると年に1度か2度、配当金が支払われます。会社が利益を出した際に株主に還元するお金です。
したがって、業績が安定している優良企業の株を大量に保有していれば、それだけで安定した利益を得られることになります。
配当金の利回りは高い場合は5%以上になるので、1億円の株を所有していれば年間500万円以上の利益を得ることができます。
また、銘柄によっては配当金の他に、株主優待としてその会社の商品券や割引券がもらえるのもメリットだといえるでしょう。
ただ、実際問題として5%を超えるような高配当株はごく一部です。
それに、配当利回りの高い企業が必ずしも業績が安定しているとは限りません。
業績が悪化し、株価が暴落すれば所有している株は紙切れ同然になってしまいます。
かといって、業績の安定度で選ぶとそれほど高い配当金は得られないということになりがちです。
一般に、利回りが2%を超えると高配当と呼ばれています。
そこで、配当金2%の株を1億円分所有したとして、1年間の利益は200万円となります。
資産運用で得たお金だけで生活するには少し物足りない額です。
以上のように、他の方法と比べると、期待できる利益が少なくなりがちなのが株の配当金による資産運用のデメリットだといえるでしょう。
3、不景気でも大きな利益が期待できる!ヘッジファンドのメリットとデメリット
1億円の資産をより効率よく増やそうと思うのであれば、ヘッジファンドを活用するという手もあります。
ヘッジファンドとは投資信託と同じように、専門家にお金を預けて資金運用をしてもらう方法です。
それでは投資信託と何が違うのかというと、1つは最低投資額です。
投資信託は1万円程度の少額からの投資が可能なのに対して、ヘッジファンドの場合は会社によっても異なりますが、最低投資額が1000万円以上のところが多くあります。
そのため、資産を十分にもっていない人にとっては利用すること自体が困難です。
2つ目は手数料の違いです。
投資信託の場合はさまざまな手数料がかかります。購入時手数料や信託報酬などの他に、契約を解除するときには解約手数料も必要です。
一方、ヘッジファンドの場合、必要な手数料は基本的に契約手数料と成果報酬だけです。
ちなみに、成果報酬は利益が出たときに払う手数料なので運用成績がマイナスであれば不要になります。
そして、何よりも両者は利益追求のスタイルが違います。
日経平均株価などの特定の指標をベンチマークと呼びますが、信託報酬はこのベンチマークを上回ることを目標にしています。たとえば、所有している株が100円下がったとしても、日経平均株価が110円下がっていればベンチマークを上回っているので良しとされてしまうのです。
そうすると、不況が続けば自己資産はどんどん目減りすることになります。
それに対して、ヘッジファンドはどんな状況でも常に利益を追求するため、不景気であっても安定した利益を期待できるのが魅力です。
しかも、1年間の利回りは多くの場合、数十%にも達します。
ただし、どれだけ多くの利益を出せるかは担当するファンドマネージャーの能力にかかっています。
腕のよいマネージャーが担当すればよいのですが、そうでなければ思ったように利益がでないということにもなりかねません。
また、ヘッジファンドは一定期間で最大のリターンを出すことを目標としているため、解約制限を設けているのが一般的です。したがって、換金の自由度が低いのもデメリットだといえるでしょう。
4、ハイリスク・ハイリターン!株式投資型クラウドファンディングのメリットとデメリット
リスクを負ってでも資金を大幅に増やしたいという場合には株式投資型クラウドファンディングがあります。
これは上場していないベンチャー企業に、クラウドファンディングサービスと呼ばれるプラットフォームを通して投資をするというものです。
そして、もし、未上場企業が新規上場株式を達成したり、合併や買収の対象になったりすれば株価は数倍から数十倍に跳ね上がります。
その代わり、「上場しない可能性が高い」「上場しない限り売却ができない」「投資した企業が倒産すると株式は紙くずになってしまう」などといったリスクがあるのが大きなデメリットです。
そのため、出資者が過剰なリスクを背負わないようにと、1人が1社にできる出資額は最大50万円に制限されています。
いずれにしても、これはかなりハイリスク・ハイリターンの資産運用法です。
したがって、全資産を株式投資型クラウドファンディングに集中させるのは避け、余剰資金を応援したい企業に投資するなどといった方法をおすすめします。
それならば、投資に失敗しても諦めがつきやすいはずです。
5、資金運用の特徴を理解して自分に適したものを選択しよう!
1億円の資産運用にはさまざまな選択肢があります。
紹介した4つの方法の他にも、年間数百倍のリターンが狙える仮想通貨や不動産経営や転売によって利益を得る不動産投資など、挙げ始めるときりがないほどです。
しかし、いずれの方法にもメリットとデメリットがあることは忘れてはいけません。
たとえば、「株式投資型クラウドファンディングは大きなリターンが狙える代わりに失敗する可能性も高い」、「ソーシャルレンディングはリスクは低いが、お金が返済されるまでは資産を自由に使えない」などといった具合です。
大切なのはそれぞれの特徴をよく理解し、自分に適していると思われるものを選択することです。
そして、出来れば一つの方法に頼るのではなく、複数の方法を組み合わせてリスクの分散を図ることをおすすめします。
この記事などを参考にしながら資産運用の方法を学び、低リスクで効率的な運用を実現していきましょう。