1000万をどこに預ける?預金のコツとリスク許容度別のおすすめ預け先7選

1000万円という大金を銀行以外でどこに預けるべきかをリスク許容度別に10種類紹介。銀行預金の金利を上げる方法や、1000万を預ける際の3つの保護制度も理解して、安全に資産を増やしましょう。

1,000万円といえば大金です。少額なら預け先に悩むことはないでしょうが、まとまったお金ならできるだけ有利に預けたいですよね。

そこで本記事では、1,000万円のおすすめの預け先について解説します。記事の前半では銀行でどれくらいお金が増えるか解説し、後半では銀行以外の預け先についてリスク別に紹介します。

まとまったお金の預け先に悩んでいる方はぜひ参考にしてください。

銀行預金の平均金利はどれくらい?

銀行預金の平均金利はどれくらい?

1,000万円の預け先としてまず考えるのは銀行預金でしょう。ここで銀行預金の平均金利について解説します。

金利の平均は0.001% 1000万円でも利息は100円

日本銀行によると、銀行預金金利の平均は以下の通りです。

預金金利の平均
普通預金0.00%
定期預金0.002~0.003%

引用:日本銀行 預金種類別店頭表示金利の平均年利率等について

普通預金の平均金利は0.001%。1,000万円預けても1年で100円しか増えない計算です。定期預金はわずかに金利が高いですが、それでも0.002~0.003%。1,000万円で200~300円の利息しか付きません。

金利が高い銀行

上記はあくまで金利の平均です。中には金利が高い銀行もあるでしょう。代表的なものを以下にご紹介します。

金利の高い銀行の例
銀行名預金の種別金利
あおぞら銀行BANK支店普通0.20%
オリックス銀行5年定期
(スーパー定期300)
0.23%
SBJ銀行2年定期
(ミリオくん)
0.25%
引用元:表内の各テキストにURLをリンク ※確認日:2021年7月16日
  • あおぞら銀行BANK支店
  • オリックス銀行 eダイレクト預金
  • SBJ銀行

上記のような銀行ならいずれも0.2%以上の金利が付きます。1,000万円で1年に2万円以上の利息が付く計算です。

平均よりは大きな利息を得られますが、それでも大きな利回りとはいえないでしょう。

インフレに注意!実質的に目減りする可能性

銀行預金ではインフレに注意が必要です。物価上昇を指し、お金の実質的な価値を下げる効果があるためです。例えば1970年~2020年で1年あたり約1.62%のインフレが起こりました。物価の推移は以下の通りです。

物価の推移
年代消費者物価指数(全国・総合)インフレ率1年あたりインフレ率
1970年31.5
1980年74.5136.50%8.99%
1990年91.222.40%2.04%
2000年99.18.70%0.84%
2010年96.5▲2.6%▲0.26%
2020年101.85.50%0.54%

引用:総務省統計局 消費者物価指数

1970年代が最も顕著ですが、直近でも年率0.54%のインフレが起きています。上述した銀行でも金利は0.2~0.25%だったので、金利以上に物価が高くなっていることがわかります。これを「実質マイナス金利」といいます。

1,000万円の預け先は、せめてインフレ以上の利回りが期待できるものが望ましいでしょう。

本記事の最後でリスク別におすすめの預け先について紹介しています。インフレ率以上の利回りが期待できる預け先もあるので気になる方はそちらも参考にしてください。

銀行預金の金利を上昇させる方法

銀行預金の金利を上昇させる方法

銀行預金の金利を上げる方法はないのでしょうか?

大きな上昇は見込みにくいですが、金利を上げる方法はあります。

そこで、本記事では以下2つの方法を紹介します。

  1. 大口優遇金利を受ける
  2. 証券口座と連携して金利を上げる

それぞれを具体的に解説していきます。

大口優遇金利を受ける

銀行によっては大口預金者に優遇金利を適用させるケースがあります。大口の基準は銀行によって異なりますが、1,000万円あれば比較的多くの銀行で適用されるでしょう。

ただ、昨今は大口の優遇金利と通常の金利に大きな差がありません。中には大きく上昇するケースもあるでしょうが、利回りの大幅な上昇には期待しにくいでしょう。

証券口座と連携して金利を上げる

その銀行と同じグループに証券会社がある場合、両者の口座を連携させることで金利を優遇させるサービスを行っているケースがあります。参考に、代表的なものを以下にまとめました。

証券口座との連携で優遇金利が適用される例
銀行名連携させる証券会社通常の金利優遇金利
楽天銀行楽天証券0.02%0.10%
住信SBIネット銀行SBI証券0.00%0.01%
auじぶん銀行auカブコム証券0.00%0.01%
引用元:表内の各テキストにURLをリンク ※確認日:2021年7月16日
  • 楽天銀行 マネーブリッジ
  • 住信SBIネット銀行 SBIハイブリット預金
  • auじぶん銀行 優遇金利プログラム

インフレを超えるほどの利回りとはなりませんが、通常よりは金利が優遇されます。証券会社で取引している方は利用してみてはいかがでしょうか。

1000万円を預けるなら知っておきたい3つの保護制度

1000万円を預けるなら知っておきたい3つの保護制度

「銀行には1,000万円までしか預けてはいけない」と聞いたことがあるでしょう。これは「ペイオフ」を意識しているためだと思われます。銀行が破綻しても一定までは保護される制度のことです。

ここで、改めてペイオフについて概要を確認しておきましょう。

ペイオフとは?

ペイオフは銀行預金を保護する制度です。万が一銀行が破綻しても、「預金保険機構」が1,000万円とその利息まで保護を行います。

出典:預金保険機構

したがって、1,000万円までならペイオフによって銀行が破綻しても預金が守られることになります。銀行が破綻する可能性は低いですが、いざというときに保護されるのは心強いですね。

ペイオフ以外の保護制度

ペイオフのような制度は銀行預金以外にもあります。ここでは以下2つを紹介します。

  1. 投資者保護制度
  2. 保険契約者保護制度

投資者保護制度

証券会社に預ける資金を保護する制度です。万が一証券会社が破綻した場合に1,000万円までは「日本投資者保護基金」から補償を受けられます。

出典:日本投資者保護基金

もっとも、証券会社はもともと顧客からの預かり金を信託銀行に分別管理しており、破綻した場合もお金は保護されます。投資者保護制度は、万が一証券会社が破綻し、さらに分別管理まで怠っていた場合を保証する制度といえます。

保険契約者保護制度

保険契約を保護する制度です。万が一保険会社が破綻した場合、生命保険については「生命保険契約者保護機構」が、損害保険については「損害保険契約者保護機構」が保険契約を保護します。

 

これらの制度から、銀行、証券、保険のいずれが破綻してもお金は守られます。安心してお金を預けましょう。

リスク別1000万円のおすすめ預け先

リスク別1000万円のおすすめ預け先

ではここから、1,000万円の預け先についてより具体的に確認しましょう。本記事ではリスク別に以下7商品をおすすめします。

リスク別7商品の比較
リスクレベル(参考利回り)商品おすすめする人おすすめする理由
ローリスク(0~1%)定期預金金利の高い銀行を自分で選べる人高金利銀行を選ばないとほぼ増えないため
個人向け国債1年以上動かす予定がない資金を持つ人1年間は売却できないため
社債ある程度資金がある人個人向け国債と比較し、最低投資額が大きいため
ミドルリスク(3~5%)バランス型投資信託自分で銘柄を選べる人多くの選択肢から選ぶ必要があるため
ヘッジファンド相場の影響を受けない運用をしたい人下落相場でも利益獲得を目指せるため
ハイリスク(7~10%)個別の株式時間に余裕がある人銘柄の分析や相場の監視に時間がかかるため
FX

それぞれ概要を押さえましょう。

ローリスクの商品

まずはリスクの低い商品から確認しましょう。いずれも低利回りですが元本の安全性が高いため、リターンよりも低リスクを重視したい方におすすめです。

定期預金

冒頭でも紹介した定期預金はローリスク商品の代表格です。普通預金よりも一般に金利が高く、元本保証もあります。

銀行によって金利水準が異なるので、上述した金利の高い銀行を選ぶといいでしょう。

個人向け国債

日本が発行する債券のうち、個人向けに発行されるものを指します。国が元本と利息の支払いを保証する、安全性の高い商品です。

ただし、金利はそう高くありません。0.05%を下回ることはありませんが、大きな利回りは期待しにくいでしょう。

また個人向け国債は1年間売却できません。最低でも1年間は預けていられる資金を持っている方が選びましょう。

社債

企業が発行する債券です。仕組みは国債と似ていますが、発行者の破綻リスクに注意が必要です。破綻しない限りは、国債と同じく元本と利息が支払われます。また国より破綻リスクが高い分、国債より高い金利が付きます。

注意点は、比較的まとまった投資金額が必要な点です。個人向け国債は1万円から買えますが、社債は100万円程度から募集していることが多いので注意しましょう。

ミドルリスクの商品

続いてミドルリスクの商品を確認しましょう。ここから元本保証の商品はありません。

ただし、いずれも極端に高いリスクにはなりにくく、またローリスク商品よりは高い利回りが期待できる商品です。したがって、リスクとリターンどちらもバランスよく得たい方におすすめです。

バランス型投資信託

投資信託のうち、さまざまな資産で運用されるタイプを指します。株式と債券に投資するものが多く、ほかに不動産や金などにも投資するケースもあります。

1つの資産に集中投資する投資信託よりも分散投資効果が強いため、リスクが低くなります。元本保証はありませんが、中程度のリスクで運用できるといえるでしょう。

バランス型投資信託は種類が多いため、ある程度銘柄を選べる方におすすめです。

ヘッジファンド

「ヘッジ」とはリスクを避けるという意味があります。ヘッジファンドは一般の投資信託より高度な運用戦略を用い、相場の影響を受けずに一定の利益確保を目指す運用会社のことです。

運用手法はさまざまですが、「売り」取引を行うヘッジファンドが多いです。値下がり時に利益を得られる投資手法で、これを行うことで相場全体が下落するときも利益を得ることができます。

広く流通していないため、投資したい場合はヘッジファンドへ直接コンタクトを取りましょう。

ハイリスクの商品

最後にハイリスクの商品を紹介します。一般に損失の可能性も大きいですが、大きな利益を得る可能性もあります。低リスクよりリターンを重視する方におすすめです。

個別の株式

上場している株式を直接購入する方法です。銀行では買えないため、証券会社での口座開設が必要です。国内のほか、海外の株式に投資することもできます。

買う銘柄は「ファンダメンタルズ分析」と「テクニカル分析」で判断しましょう。前者はその銘柄の質をチェックする方法で、決算書などで財務や業績の分析を行います。後者は株価の動向をチェックする方法で、過去の値動きから将来の値動きを分析します。どちらも行うことが望ましいでしょう。

分散投資も考えましょう。個別の値動きは比較的大きいため、1銘柄に集中投資するよりもいくつかの銘柄に分散投資するとリスクを低くすることができます。取引に慣れるまでは分散投資を心がけましょう。

FX

海外の通貨を取引する方法です。証券会社かFX専業会社で口座を開設しましょう。銀行が行っているケースもありますが、その場合でも専用口座を設けることが一般的です。

FX最大の特徴は「レバレッジ」にあります。自己資金以上の取引を指し、FXの場合は最大25倍の取引が可能です。100万円で2,500万円の取引ができる計算で、為替が利益の方向に4%動けば資産を倍にできます(2,500万円×4%=100万円)。

ただし、レバレッジはリスクの高い取引方法でもあります。最初は低いレバレッジで取引することをおすすめします。

また株式と同じく、銘柄の分析が望ましいので時間に余裕がある方の選択肢といえるでしょう。

預け先別シミュレーション

預け先別シミュレーション

ではここで、リスク別の商品に1,000万円預けると仮定し、どれだけお金が増えるかシミュレーションしてみましょう。10年後、20年後、30年後それぞれで1,000万円がいくらになるか計算します。

シミュレーションには利回りが必要です。仮にそれぞれの利回りを以下のように設定しましょう。

  • ローリスク:1%
  • ミドルリスク:3%
  • ハイリスク:7%

上記利回りで1,000万円を運用する場合、以下のようになります。「将来どれくらいお金を増やしたいか」を考えながら見るといいでしょう。

1,000万円の運用シミュレーション
リスクレベル 想定利回り 0年目 10年後 20年後 30年後
ローリスク 1% 1,000万円 1,104.6万円 1,220.2万円 1,347.8万円
ミドルリスク 3% 1,000万円 1,343.9万円 1,806.1万円 2,427.3万円
ハイリスク 7% 1,000万円 1,967.2万円 3,869.7万円 7,612.3万円

例えば「10年後に300万円増やしたいなら3%程度の利回りが必要」ということが上記の表から読み取れます。この場合ミドルリスクの商品を選ぶといい、ということがいえるでしょう。

1,000万円の預け先を選ぶ際は上記シミュレーション結果も参考にしてください。

まとめ

まとめ

最後に本記事の内容を以下にまとめます。

  • 銀行預金金利の平均は0.001~0.003。高くても0.2%程度
  • インフレ率以上の利回りを得ないと実質的にマイナス
  • リターン&リスク重視ならバランス型投資信託、ヘッジファンドがおすすめ
  • リターン重視なら株式、FXがおすすめ

銀行預金金利は低く、1,000万円を預けてもわずかな利息しか付きません。金利が高い銀行を選んでもインフレ率を下回る可能性が高いことから、実質的に目減りすることが考えられます。

リスクを許容できないなら定期預金などのローリスク商品でいいですが、そうでないならある程度リターンのある商品も選択肢に含めましょう。

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