使う予定がないまとまったお金があると、ただ銀行に眠らせるだけではもったいないと思いませんか?
資産運用を検討する方も多いでしょうが、「どう運用していいかわからない」という方も少なくないでしょう。
そこで本記事は2,000万円を運用すると仮定し、おすすめの具体的な資産運用をご紹介します。10年間運用するときの目標別に紹介するので、どれくらい増やしたいか想像しながら参考にしてください。
2000万の運用におすすめの方法
おすすめの資産運用はどれくらい増やしたいかで異なります。本記事では以下のように目標を定めました。
- 10年で2,000万円を2倍(4,000万円)にする
- 10年で2,000万円を1.5倍(3,000万円)にする
- 10年で2,000万円を1.1倍(2,200万円)にする
これら3つの目標を実現する方法について、それぞれ解説していきます。
10年で2倍にしたいときにおすすめの方法
2,000万円を10年で4,000万円にする場合、目標利回りは7.2%です。2,000万円を7.2%で運用した場合のシミュレーションを以下にまとめました。
0年目 | 2,000万円 |
---|---|
1年目 | 2,144万円 |
2年目 | 2,298.4万円 |
3年目 | 2,463.9万円 |
4年目 | 2,641.2万円 |
5年目 | 2,831.4万円 |
6年目 | 3,035.3万円 |
7年目 | 3,253.8万円 |
8年目 | 3,488.1万円 |
9年目 | 3,739.2万円 |
10年目 | 4,008.5万円 |
利回り7.2%は比較的高い目標です。ある程度高いリスクを取る必要があるでしょう。以下2つの方法をおすすめします。
- 株式
- 株式型投資信託
それぞれ解説します。
株式
日本や海外の株式に直接投資する方法です。リスクは大きいですが大きな利回りも望めます。
これまで株式は比較的大きな利回りを残しています。全世界株式指数(MSCI ACWI Index)の利回りを確認すると、直近10年間では1年あたり13.49%、1987年12月末からは8.17%の利回りを残しています(2021年5月末時点)。
引用:MSCI「MSCI ACWI Index (JPY)」ファクトシート
今後もこの利回りが保証されているわけではありませんが、2,000万円を倍にするなら有力な選択肢になるでしょう。
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株式型投資信託
株式で運用される投資信託に投資する方法です。
投資信託とは、いくつかの資産を組み入れて1つの商品にしたパッケージ型の金融商品です。株式型投資信託は株式だけで構成された投資信託を指し、組み入れた株式が値上がりすると利益を得られます。
自分で直接株式を選ぶ必要がないので、銘柄選びに不安がある方におすすめです。
10年で1.5倍にしたいときにおすすめの方法
2,000万円を10年で3,000万円にしたいときの目標利回りは4.2%です。同じように以下にシミュレーションしてみましょう。
0年目 | 2,000万円 |
---|---|
1年目 | 2,084万円 |
2年目 | 2,171.5万円 |
3年目 | 2,262.7万円 |
4年目 | 2,357.8万円 |
5年目 | 2,456.8万円 |
6年目 | 2,560.0万円 |
7年目 | 2,667.5万円 |
8年目 | 2,779.5万円 |
9年目 | 2,896.3万円 |
10年目 | 3,017.9万円 |
目標利回りが下がる分、リスクも少し引き下げることができます。以下3つの方法をおすすめします。
- バランス型投資信託
- REIT(不動産投資信託)
- ヘッジファンド
それぞれ詳しく見てみましょう。
バランス型投資信託
バランス型投資信託は株式以外にもさまざまな資産を組み入れた投資信託を指します。株式だけで運用される株式型投資信託よりもリスクが低くなるメリットがあります。
REIT(不動産投資信託)
実物の不動産で運用される投資信託です。一般的な投資信託は企業(株式や債券)に投資しますが、REITはオフィスや物流施設などに投資する特徴があります。不動産に入居する企業などからの賃料が主な収益源です。
REITは一般的に、株式よりはリスクが低く、債券よりはリスクが高いとされています。したがってREITはミドルリスクの商品といえます。なお、債券については後述します。
ヘッジファンド
ヘッジファンドも投資信託と同じく株式などで運用されますが、運用方法に違いがあります。投資信託は単純に「買い」しか行いませんが、多くのヘッジファンドは「売り」の取引も行う点に大きな違いがあります。
「買い」しか行わない投資信託の場合、組み入れ資産が値上がりしないと利益は得られません。したがって相場全体が値下がりする状況では利益を得にくい仕組みになっています。
一方「売り」も行うヘッジファンドの場合、資産が値下がりしても利益を得られます。つまり、相場全体が値下がりしていても利益を得ることができるため、相場の影響を受けない収益を追求することができます。
他の資産と異なる収益構造を持つヘッジファンドは分散投資としても優秀です。2,000万円全額でなくても、資金の一部をヘッジファンドに預けるという選択肢もいいでしょう。
ヘッジファンドに関しての詳しい情報は下記もご参考ください。
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10年で1.1倍にしたいときにおすすめの方法
10年で2,000万円を2,200万円にする場合の目標利回りは1%です。同じように以下にシミュレーションしてみましょう。
0年目 | 2,000万円 |
---|---|
1年目 | 2,020万円 |
2年目 | 2,040.2万円 |
3年目 | 2,060.6万円 |
4年目 | 2,081.2万円 |
5年目 | 2,102.0万円 |
6年目 | 2,123.0万円 |
7年目 | 2,144.3万円 |
8年目 | 2,165.7万円 |
9年目 | 2,187.4万円 |
10年目 | 2,209.2万円 |
大きくは増えませんが、「銀行預金以上の利回りで十分」という方の目標といえるかもしれません。以下2つの方法をおすすめします。
- 米ドル債
- 国内劣後債
それぞれ解説します。
米ドル債
米ドルで発行される債券です。購入代金のほか、受け取る利息や償還金(満期で受け取れるお金)もすべて米ドルでやり取りされます。米ドルの金利は日本円より高いため、国内債券より高い利回りが期待できます。
債券は発行者により利息の支払いと償還金が約束されています。発行者が破綻しない限り、事前の約束通りに利息と償還金が支払われるため、リスクの低い商品といえます。
代表的な米ドル債は「米国債」です。米国財務省が発行する債券で、米ドル債の中では最も破綻リスクが低いと考えられます。
国内劣後債
日本円で発行される債券のうち、通常の債券(普通債)より弁済順位が低い債券を指します。低金利の国内でも比較的高い利回りが期待できます。
弁済順位とは利息や償還金が支払われる順番です。通常は劣後債も利息や償還金は支払われますが、発行者の財務状況が悪化した場合(または破綻した場合)、弁済順位が高い債券から順番に支払われ、弁済順位が低い劣後債には支払われないケースがあります。
つまり、劣後債は通常の債券よりもリスクが高い債券です。その分金利が上乗せされているので、通常の債券よりも大きな利回りが期待できます。
2000万円のポートフォリオ構成の例
「ポートフォリオ」とは資産の組み合わせのことを指します。1つの資産に集中投資するのではなく、いくつかの資産に分散投資するとより効率的な運用が期待できます。
ここで、上記で紹介した資産を組み合わせたポートフォリオの例をご紹介します。
(リスク高め)利回り重視のポートフォリオ例
利回りを重視する場合、以下の比率でポートフォリオを構成してみてはいかがでしょうか。
- 株式型投資信託:50%
- ヘッジファンド:30%
- 株式:20%
高利回りが期待できる株式と株式型投資信託で8割を占めます。個別の株式選びに自信がない場合は株式型投資信託だけで8割を占めてもいいでしょう。分散投資の観点からヘッジファンドも3割組み込みました。
(ミドルリスク)バランス重視のポートフォリオ例
リスクと利回り、どちらもバランスよく得たい場合は以下のようなポートフォリオを作ってみてはいかがでしょうか。
- ヘッジファンド:30%
- REIT:20%
- 株式型投資信託:20%
- 米ドル債:20%
- 国内劣後債:10%
5つの資産に分散し、より分散を強めたポートフォリオです。2種の債券を全体の30%まで組み込みリスクを抑えています。
主力はミドルリスクのヘッジファンドおよびREITで、全体の半分を占めます。株式型投資信託を20%組み込むことで利回りも追求できます。ただし、リスクが高くなりやすい個別の株式は除外しました。
2000万円運用で確認すべき2つの注意点
2,000万円を運用するとき、気を付けたいのは運用商品だけではありません。運用の際には以下2つの注意点も確認しておきましょう。
- 明確&現実的な目標を立てる
- 分散投資を心がける
それぞれ確認しましょう。
明確&現実的な目標を立てる
運用する場合、必ず運用目標を立てましょう。必要な利回りが計算できるのでポートフォリオ構築の参考になります。また大きすぎるリスクや利回り不足といった事態を避けることもできます。
運用目標は曖昧ではいけません。できるだけ具体的で明確な目標を立てるようにしましょう。上述のように、「いつまでに、いくらにする」を決めると目標が具体的になります。
またその際、あまりに野心的な目標を立てないようにしましょう。
分散投資を心がける
まとまった資金の運用は分散投資が基本です。どれだけ期待できる資産だとしても1つの資産に集中投資しないようにしましょう。投資対象が万が一破綻した場合、資産の大部分を失ってしまうためです。
利回りを下げたくない場合でも、同じ資産の複数銘柄に投資するなどし、リスクを下げる工夫を行いましょう。
これから2000万円を作る人は積立型の資産運用がおすすめ
ここからは「これから2,000万円を貯める方におすすめの方法」を3つご紹介します。いずれも少しずつ積み立てていく方法で、今まとまった資金がない方でもすぐに始められるメリットがあります。
積立定期預金
元本保証の定期預金に少しずつ貯める方法です。リスクは基本的にないので確実に貯められるでしょう。
つみたてNISA
投資信託を少しずつ購入する方法です。非課税で運用できるメリットがあります。
注意点は年間で40万円までしか利用できない点です。利回り0の場合、2,000万円貯めるのに50年かかってしまいます。利回りが3%なら約31年、5%なら約26年かかります。
あまりにリスクの低い銘柄を選ばないこと、また他の方法も併用することが大切です。
iDeCo(個人型確定拠出年金)
元本確保型商品(定期預金など)か投資信託に少しずつお金を積み立てる方法です。運用益が非課税で、さらに積立金の全額が所得控除になるメリットがあります。ただし、60歳までお金を引き出せないというデメリットがあります。
老後資金として2,000万円を貯める方の選択肢といえるでしょう。
まとめ
本記事の内容を以下にまとめます。
- 運用目標ごとに必要な利回りは異なる
- 10年で2倍にするなら「株式」や「株式型投資信託」がおすすめ
- 10年で1.5倍なら「バランス型投資信託」や「REIT」、「ヘッジファンド」
- 「いつまでにいくら」という目標+分散投資が大切
おすすめの運用方法は、資金をいつまでにいくらにしたいかによって異なります。10年で倍にしたいなら株式など高い利回りが期待できるものを選び、それより低い目標ならリスクの低いものを選びましょう。
運用を始めるときはできるだけ具体的な目標を立て、分散投資を心がけて行いましょう。