不況でもリターンを出し続けるヘッジファンド「シタデル」の投資戦略とは?

シタデルはイリノイ州のシカゴに拠点を持つヘッジファンド会社です。

株、債券だけでなく様々な金融商品を取り扱うこのヘッジファンドは、新型コロナウイルスによる暴落相場を乗り切り、大きなリターンを出しました。

この記事ではヘッジファンドのシタデルの概要と投資方法について解説していきます。

シタデルの概要

会社名 シタデル・インベストメント・グループ(Citadel LLC)
設立 1990年
創設者 ケネス・グリフィン
本社所在地 131 South Dearborn Street、シカゴ、IL 60603
従業員数 約1,400人

シタデルは1990年にケネス・グリフィンに設立され、30年の運用実績があるヘッジファンド会社です。シカゴに本拠地を持っています。その他にもニューヨーク、ロンドン、サンフランシスコ、香港、ダラス、グリニッジ、ヒューストン、ダブリン、ボストン、シンガポール、上海、トロント、ロサンゼルス、オースティンの14拠点を持っています。

アジアにも拠点を拡大していますが、2021年時点では日本には拠点がありません。Googleマップでシカゴ本社の所在地を確認すると実在している会社であることが分かります。ヘッジファンドを調べる上で実際に拠点があるのかを調べるのは重要です。

歴史もあり、グローバル展開する巨大なヘッジファンドであるといえますが、ここまで大きくなった背景にはどのような戦略があるのでしょうか?

大きくなるには、投資実績はもちろん、数多くの投資家が預けたいと思える内容である必要があります。

ここからはシタデルの投資戦略を確認していきましょう。

シタデルの投資戦略

シタデルの投資戦略

シタデルは特定の手法にとらわれず、様々な運用をおこなう「グローバルマルチ戦略」が特徴のヘッジファンドです。具体的な投資戦略は主に3つあります。

  • 株式・債券・金利・通貨などの様々な金融商品に投資をする
  • それぞれの金融商品に対して専門家を雇っている
  • リスク管理を監督する専用のチームが存在する

シタデルの投資戦略は徹底的な分散投資とリスク管理です。様々な金融商品に分散投資することによってリスクを分散し、それぞれの金融商品に対して専門家を雇うことでその中でも最適な商品を選択できるようになります。

最大の特徴はリスク管理に特化した専用チームが存在することです。リスク管理チームがリスク資産の配分を指導し、適切なポートフォリオの作成をおこないます。

シタデルは分散投資とリスク管理をシステマチックに行い、適切なポートフォリオを作成することによって、30年にもわたって成果を上げ続けてきました。この戦略に落ち着くまでに様々な紆余曲折もあったかもしれません。

この投資戦略を作り上げた、リーダーはどんな人物なのか?

次は、シタデルを創設した代表について解説します。

シタデルの代表はどんな人?

シタデルの創立者兼代表はケネス・グリフィンです。経歴について下記の表にまとめました。

出来事
1968年 フロリダで誕生
1987年 ハーバード大学在学中にヘッジファンドを起こす
1989年 経済学の学位を取得し、ハーバード大学を卒業
1990年 シタデル・インベストメント・グループを創設
1998年 シタデルの運用資産は10億ドル、従業員数は100人を超える
2009年 妻と共にケネスアンドアングリフィン財団を設立
2019年 220セントラルパークサウスの3フロアを2億3,800万ドルで購入

ケネス・グリフィンのヘッジファンドの始まりは大学在学中のことでした。

最初の資金は約26万ドルでしたが、正式にシタデル・インベストメント・グループを設立して約10年後に運用資産と従業員数を増やし、ヘッジファンドを大きく成長させました。

2009年には公立学校や図書館などへの寄付を目的とするケネスアンドアングリフィン財団という慈善事業団体を妻のアン・ディアス・グリフィンと共に設立し、博物館や芸術領域に対しても寄付をおこなっています。

2019年には220セントラルパークサウスを2億3,800万ドルで購入。米国の住宅販売の中でも最も高価な取引だったため話題になりました。ケネス・グリフィンはシタデルにより莫大な純資産を築き上げたファンドマネージャーとして、米国でも大きく注目されている人物です。

シタデルの利回り

シタデルの利回り

シタデルの2020年のリターンは62億ドルで設定来の利回りは41.8%となりました。新型コロナウイルスの影響で損失が発生するヘッジファンドも多い中で結果を出しています。

26万ドルの運用から始まったシタデルのヘッジファンドの運用資産は現在300億ドルを超えています。2020年と同様に運用成績が伸び悩むヘッジファンドが多かった2018年は、旗艦ファンドであるウェリントンが9.1%のリターンでした。

ウェリントンはシタデル創設の1990年から運用が始まったシタデルの主力ファンドですが、年間平均リターンは20%を超える優秀なファンドです。

以上のことから様々な金融商品に投資をする戦略は、不況や新型コロナウイルスのような大規模な市場変動にも対応可能であり、安定したリターンを獲得できているといえるでしょう。

シタデルの投資方法と最低投資額

シタデルの投資方法と最低投資額

シタデルへの投資は日本の個人投資家に可能なのでしょうか? シタデルのヘッジファンドは最低投資額が億を超えるので、1,000万円以下から投資を考えていたのであれば不可能です。

また、直接投資をするにはヘッジファンドの担当者と英語でやり取りをする必要があります。その上で、英語の契約書の内容を理解できなければ投資は難しいです。

シタデルのヘッジファンドは情報公開が少なく、最新のリターンに関しては実際に投資していなければ関係者の発言を参考にするしかありません。

つまり、シタデルと英語でのやり取りが可能で、億単位の資産を有する個人投資家にのみシタデルへの直接投資が可能になります。

シタデルの口コミ・評判

シタデルの口コミ・評判は以下の通りです。

日本では実際にシタデルに投資をしている投資家の声はありませんでした。基本的にはファンドマネージャーであり資産家のケネス・グリフィンの動向に注目する発言や、シタデルの投資戦略について言及する発言が大半を占めています。

評判に関しては中立的な発言が多く、否定的な発言のほとんどはシタデルだけではなく、ヘッジファンド全体に対する批判でした。シタデル自体が情報の公開に積極的ではないため、具体的な情報を取り上げて称賛または否定することができないためだと考えられます。

最後に新型コロナの影響によるシタデルの動向について解説いたします。

コロナの影響によるシタデルの動向

コロナの影響によるシタデルの動向

シタデルは2020年の新型コロナウイルス相場においてもリターンを出していますが、その上で医療現場などへの支援をおこなってきました。

2020年5月1日にシタデルはロンドンにおける新型コロナウイルスの研究とワクチン開発を支援し、300万ポンドを寄贈しています。また、研究・開発とは別に新型コロナの救援活動のために2,000万ドルを拠出しています。

その他にも新型コロナ関連の慈善活動を多くおこなっており、中国武漢に真っ先に寄贈をおこなったのもシタデルでした。

ケネス・グリフィンはファンドマネージャーだけでなく慈善活動家としての側面を持っています。シタデルは投資で得た利益を社会のために役立てる活動もおこなうヘッジファンド会社といえるでしょう。

参考:Citadel Securities

まとめ

シタデルのヘッジファンドについて解説しましたが、記事のポイントは下記の通りです。

  • 様々な金融商品に投資をする分散投資を重視した投資戦略
  • ケネス・グリフィンは大学在学中にヘッジファンドを立ち上げた、米国でも注目度の高いファンドマネージャー
  • 新型コロナ相場や市場が不況の際にも安定したリターンを出す
  • コロナの感染が拡大する中でも感染症対策を支援した

シタデルのヘッジファンドは不況に強い安定した投資戦略を持ち、慈善事業も積極的におこなう社会的価値の高いヘッジファンドですが、残念ながら日本から投資するのは難しいです。ただし、日本のヘッジファンドにも安定したリターンを獲得し続けているファンドがあります。

日本のヘッジファンドは最低投資額も1,000万円程度のものが多く、英語が使えなくても直接投資が可能です。現実的にヘッジファンドへの投資を考えるなら日本のヘッジファンドも検討してみましょう。

おすすめの記事