世界のファンドマネージャー年収ランキング 優秀なファンドマネージャーに運用してもらう方法

世界の優秀なファンドマネージャーがどれくらいの報酬をもらっているかご存知でしょうか?高報酬なイメージがあるファンドマネージャーですが、世界でもトップクラスのファンドマネージャーは破格の報酬を獲得しています。

ファンドマネージャーの報酬の高さは優秀さを示す1つの指標です。

本記事では、世界のヘッジファンドマネージャーの年収ランキングを紹介します。ヘッジファンドマネージャー以外に、世界のベテラン著名投資家、日本の著名ファンドマネージャーも紹介します。

記事の後半では優秀なファンドマネージャーに資金を預ける方法もご紹介します。資金の預け先に迷っている方はぜひ参考にしてください。

世界のヘッジファンドマネージャー 年収ランキング

世界のヘッジファンドマネージャー 年収ランキング

世界のヘッジファンドマネージャーがどれくらいの収入を得ているのか、ブルームバーグが公表した2018年のヘッジファンド年収ランキングを確認してみましょう。なお、円貨計算はすべて1ドル=105円で計算します。

ジム・シモンズ 16億ドル(1,680億円)

1位になったのは「ルネッサンス・テクノロジーズ」の「ジム・シモンズ氏」です。2018年は16億ドルもの年収を得ていました。日本円で1,680億円もの金額になります。

数学者でもあるジム・シモンズ氏が率いる同ファンドは1982年に設立され、数学的技法を用いた「クオンツ運用」を行う点に特徴があります。

レイ・ダリオ 12.6億ドル(1,320億円)

世界最大級のヘッジファンド「ブリッジウォーター・アソシエイツ」のファンドマネージャー「レイ・ダリオ氏」が2位になりました。報酬額は12.6億ドルで、日本円で約1,300億円もの報酬を得ています。

ブリッジウォーター・アソシエイツの運用資産は15.6兆円にも上り、同氏はヘッジファンドの帝王とも呼ばれています。執筆活動にも熱心で、2021年1月には新著「Changing World order: Why Nations Succeed and Fail」が発行予定です。

ケネス・グリフィン 8.7億ドル(910億円)

著名ヘッジファンド「シタデル」の創業者「ケネス・グリフィン氏」が3位になりました。報酬は8.7億ドルで、日本円で910億円です。個人資産は99億ドル(約1兆円)を超え、2019年にはニューヨークのペントハウスを2.38億ドル(約250億円)という超高額で購入し話題になりました。住宅の購入額としては米国史上最高額でした。

同氏はハーバード大学在学中の1987年からトレーディングを開始し、1990年にシタデルを創業しました。同ファンドは株式や債券、商品を投資対象にしており、運用資産は約280億ドル(約2.9兆円)です。

【同率4位】ジョン・オーバーデック デビット・シーゲル 7.7億ドル(810億円)

クオンツ運用ヘッジファンド「トゥー・シグマ」の共同創業者、「ジョン・オーバーデック氏」と「デビット・シーゲル氏」が4位にランクインしました。2018年の報酬は7.7億ドルで、日本円で約800億円の報酬を得ています。

シモンズ氏と同じく、2人は数学者としての一面を持っています。オーバーデック氏は1986年にポーランドで開かれた国際数学オリンピックで銀メダルを獲得しました。オーバーデック氏がまだ16歳の時です。

2001年創業のトゥー・シグマは、ビッグデータを活用し、機械学習を活用した運用を行います。2011年から2016年の間に運用資産を50億ドルから280億ドルに膨らませ、巨大なファンドに成長しました。

参考:ブルームバーグ The Best-Paid Hedge Fund Managers Made $7.7 Billion in 2018

ヘッジファンドの運用戦略

ヘッジファンドの運用戦略

桁違いの報酬を受け取るヘッジファンドマネージャーですが、そもそもヘッジファンドはどんな資産運用を行っているのでしょうか。

相場の影響を受けない「絶対収益」の追求

一概にはいえませんが、ヘッジファンドは「絶対収益」を追求する点に特徴があります。絶対収益とは相場の影響を受けにくい収益のことです。ヘッジファンドはさまざまな運用戦略を用い、相場がどちらの方向に動いても安定的な収益を目指す運用方針を持っています。

運用戦略の例

日興リサーチ社の「ヘッジファンド概況」によると、ヘッジファンドの運用残高に占める運用戦略別の構成比は以下のようになっています。

運用残高の戦略別の構成比

引用:日興リサーチ社 ヘッジファンド概況8月

それぞれの運用戦略の特徴を以下にまとめます。

株式ロング・ショート 理論価格より割安な株式をロング(買い)し、同時に割高な銘柄をショート(売り)する戦略
マルチ・ストラテジー さまざまな運用戦略を組み合わせる戦略
イベント・ドリブン M&Aなど、企業価値に重要な出来事を収益源とする戦略
高い情報収集能力が求められる
マネージドフューチャーズ 株式や商品などの先物を駆使し、買いと売りの両方のポジションを同時に持つ戦略
マクロ
(グローバルマクロ)
金利や世界情勢など、経済の基本的な構造から行う投資戦略
個別企業を分析するボトムアップ型に対し、マクロ戦略はトップダウン型の戦略といえる
債券アービトラージ 同一の発行体で異なる条件の債券に対し、割安な銘柄を買い、同時に割高な銘柄を売る戦略
アービトラージ 同一価値を持つにも関わらず複数の価格で取引されている場合、割安な価格で買い、同時に割高な価格で売る戦略
リラティブバリュー 割安銘柄を買う一方、割高銘柄を売る戦略
株式ロング・ショートに似ているが、市場の影響を排することを目的に行われる
破綻債券
(ディストレス)
財務が困難な状況に陥っている企業に対し投資する戦略
事業の売却や精算まで行うため専門的な知識が求められる

ヘッジファンドはこれらの運用戦略を用い、単純な市場の値動きとは違う目線で収益の獲得を目指します。

世界の著名なファンドマネージャー及び投資家

世界の著名なファンドマネージャー及び投資家

これまで紹介したヘッジファンドマネージャー以外にも、世界には著名な投資家がまだまだいます。特に有名なベテラン4名をご紹介します。

オマハの賢人 ウォーレン・バフェット

米資産運用会社「バークシャー・ハサウェイ」を率いる「ウォーレン・バフェット氏」は、世界で最も有名な投資家の1人です。割安株へ投資する「バリュー投資」を得意とし、投資の神様とも呼ばれます。

バークシャー・ハサウェイの時価総額は2020年6月に4,410億ドル(約46.3兆円)を超えており、同年に初めて日本株式を購入したことでも話題になりました。1930年生まれで2020年に90歳になりますが、現役で運用を行っています。

グローバルマクロの先駆け ジョージ・ソロス

ジョージ・ソロス氏」は、ヘッジファンドの代表的な運用戦略「グローバルマクロ」を手がけ財をなしました。1973年から運用した「クォンタムファンド」は10年間で40倍以上のリターンを残したといわれています。

ソロス氏の代表的な実績が1992年の大規模な英ポンド売りです。マクロ的観点から英ポンドが割高であると判断し、100億ドルに上る売りを仕掛けました。当時イギリスは「ERM(欧州為替相場メカニズム)」を導入しており、為替レートの変動幅を抑制する操作を行っていましたが、ソロス氏の売りにより変動相場への移行を余儀なくされました。

冒険投資家 ジム・ロジャース

ジョージ・ソロス氏とともに「クォンタムファンド」を設立した「ジム・ロジャース氏」は冒険投資家と呼ばれています。ソロス氏とともにクォンタムファンドで大きな成功を収めた後、わずか37歳で引退し、バイクで6大陸を横断する世界一周旅行を2回も行いました。

世界中を旅した経験から、投資感覚をわかりやすい言葉で解説するため投資家から人気があります。冒険旅行の後はアジアに注目し、シンガポールに移住しました。

債券王 ビル・グロース

債券運用に定評がある米PIMCOの共同創業者「ビル・グロース氏」は債券王と呼ばれています。同社を強力な債券の機関投資家に育て上げ、3,000億ドル(約31.5兆円)もの運用を行っていました。

後年は 「ジャナス・ヘンダーソン」でファンドマネージャーを勤めていましたが、2019年に惜しまれながら引退しました。

日本の著名なファンドマネージャー

日本の著名なファンドマネージャー

日本にも優秀なファンドマネージャーはいます。ヘッジファンドと公募投信のファンドマネージャーから4名ご紹介します。

山口 功一郎(暁翔キャピタル) 「ベストヘッジファンドジャパン2019」受賞

山口功一郎氏」は国内ヘッジファンド「暁翔(あきと)キャピタル」の代表を務めています。外資系証券会社「UBS証券」の出身で、徹底したボトムアップリサーチによる中小型株の株式ロング・ショート戦略を得意としています。

同社の「アキト・ファンド」は主に個人富裕層やファンド・オブ・ファンズの資金を運用しており、近年では調査会社「ユーカリヘッジ」主催の「ベストヘッジファンドアワード」で、「ベストヘッジファンドジャパン2019」を受賞しました。

藤野 秀人(レオスキャピタル) 「ひふみ投信」で6000億円を運用

藤野秀人氏」は「レオスキャピタル」の代表でファンドマネージャーです。旗艦ファンド「ひふみ投信」の純資産総額は6,000億円を超え(同運用のひふみプラス含む)、日本株ファンドとしては国内最大です。

同ファンドはもともと高い実績がありましたが、最近ではコロナショック前に現金ポジションを高めた運用が有名です。2020年1月末で現金はわずか0.7%でしたが、2月末には31.2%まで引き上げました。実に1,800億円もコロナショック前に売却していたことになります。

岩谷 渉平(アセットマネジメントOne) 日本の公募投信で最高リターン

現在も運用している日本の公募投信は約4,700本ありますが、直近5年及び10年で最も高いリターンを出したのが「DIAM新興市場日本株ファンド」です。「岩谷捗平氏」は同ファンドのファンドマネージャーです。

同ファンドは2007年から運用していますが、設定来リターンは累計1,000%を超えています。主な投資対象は国内中小型株です。銘柄は企業の創業動機や市場規模などから判断し、岩谷氏が大きな裁量で決めているようです。

宇佐美 博高(エンジェルジャパンアセット) ファンドアワードの常連

宇佐美博高氏」は野村総研、DBモルガングレンフェルなどを経験し、2002年に運用助言会社「エンジェルジャパンアセット」を設立しました。国内中小型株式の分析に定評があり、投資の判断は複数のメンバーで行っているようです。

同社が助言する「Jrevive(ジェイリバイブ)」や「Jnext(ジェイネクスト)」はロイター社「リッパーファンドアワード」やR&I社の「R&Iファンド大賞」を毎年のように受賞しています。

どうすれば優秀なファンドマネージャーに運用してもらえる?

どうすれば優秀なファンドマネージャーに運用してもらえる?

優秀なファンドマネージャーに資金を運用してもらうにはどうすればよいのでしょうか。通常の投資信託とヘッジファンドで方法が違いますので確認しましょう。

公募型の投資信託なら証券会社や銀行から買える

通常の「公募型」投資信託は証券会社や銀行で買うことができます。ただし、金融機関によって取り扱い銘柄が違いますので注意しましょう。

投資したい投資信託が見つかったら、運用会社HPなどから「販売会社(その投資信託を販売している金融機関)」を確認しましょう。

私募型のヘッジファンドは直接問い合わせ

通常の投資信託と違い、「私募型」で投資家を集めるヘッジファンドは直接問い合わせるのが基本です。問い合わせ窓口などからコンタクトを取りましょう。

ヘッジファンドは事前に情報を集めにくい傾向にあります。できれば直接面談等で過去の運用実績などを確認し、投資判断を行うほうが望ましいです。

また、通常の投資信託はネット証券などで100円から買えますが、ヘッジファンドは最低でも1,000万円程度の資金が必要になるケースが多いです。そもそも、個人投資家の資金を受け付けてくれるかどうかも定かではありません。個人投資家の割合が大きくなるとファンド全体の資金が小さくなるため、基本的には機関投資家の莫大な資金を募ることが一般的です。最低投資額はヘッジファンドごとに違いますので、その点も事前に確認しましょう。

海外ファンドは英語でやり取り 必要投資額も大きめ

海外ヘッジファンドの場合も直接問い合わせるのが基本ですが、やり取りは基本的に英語です。運用報告書なども英語である場合が普通なので、言語の壁には注意しましょう。

また最低投資額も国内ヘッジファンドより高い傾向にあります。数千万円から数億円が必要になる場合もあります。

助言会社などの仲介業者を利用するのもあり

直接コンタクトを取ることにハードルを感じるなら、投資助言会社など、ヘッジファンドの仲介者を利用するのも手です。仲介手数料などが掛かる可能性がありますが、ヘッジファンドの選別やコンタクトのサポートをしてくれるでしょう。

せっかく資金を預けるなら優秀なファンドマネージャーに

せっかく資金を預けるなら優秀なファンドマネージャーに

投資信託やヘッジファンドはたくさんの種類がありますが、せっかくなら優秀なファンドマネージャーに資金を任せたいと思うのは自然なことでしょう。

過去の実績などからファンドを選別し、優秀なファンドへ資金を預けましょう。

ご紹介してきたファンドマネージャに必ず資金を預かってもらえるかというと、最低金額や言語の問題もあり難しい可能性もあります。さらに、私募型の場合人気のため募集の人数も限られています。

個人で預ける場合は、ファンドマネージャーだけで選ぶよりは、ファンドの戦略や実績を確認して優秀なファンドを検討してはいかがでしょうか?

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