仕事が辛い、他にやりたいことがあるのでセミリタイアしたいと考える方は多いです。5000万円があればセミリタイアを本気で検討できる金額を持っていると考えて問題ありません。
しかし、年代によっては5000万円の貯蓄だけではリタイアをするのが難しい場合もあります。セミリタイアを考えるなら5000万円は貯蓄するのではなく資産を運用するのがおすすめです。
この記事では
- 年代別5000万円でセミリタイアは可能かどうか
- セミリタイアのための5000万円の運用方法
について解説します。
50代かつ5000万円でセミリタイアは可能?
セミリタイアは年代が高ければ高いほど難易度が低くなります。
日本の平均寿命が多く見積もって85歳程度なので、仮に85歳まで生きると仮定したときに50歳であれば寿命まで35年です。
40歳であれば45年、30歳であれば55年を保有している5000万円で生活していかなければならないため、難易度が変化します。
また、現在は人生100年時代とも呼ばれ、医療技術が進歩し100歳まで生きる人が増える可能性もあります。
そのため、年代が若ければ若いほどどれくらい生きられるかどうかという予想もつきにくいです。仮に平均寿命まで生活できることを計画できたとしても100歳まで生きられたとしたら後の祭りです。
また、年金や退職金の額も50代の方が有利になりやすいので、50代でのセミリタイアは30代・40代と比較すると簡単であるといえます。
それでは、具体的に可能であるかに関してですが、二人以上の世帯の消費支出は平均で約27万円といわれています。
つまり、結婚している人でセミリタイアを考えるなら年間で324万円の支出があるということになります。
324万円を35年間支出するとなると合計で1億1340万円で、5000万円を切り崩すだけでは2倍以上足りない計算になります。
しかし、退職金と年金とセミリタイア後の収入も含めて7000万円が賄えたとすれば、4340万円の支出になるため5000万円を切り崩すだけで理論上は生活することが可能です。
また、こちらは家族がいる状態のシミュレーションです。1人暮らしの支出であればさらに余裕があるでしょう。
50代の方は85歳まで生きると仮定すれば、5000万円の貯蓄だけでセミリタイアは不可能ではありません。
もちろん、大きなトラブルにより資産の減少がないことが前提になりますが、家族のいる方でもセミリタイアは可能です。
40代かつ5000万円でセミリタイアは可能?
5000万円あれば、50代で家族のいる方でも「セミリタイアは不可能ではない」ということを解説しましたが、40代であればどうでしょうか?
40代の場合は平均寿命の85歳まで生きると仮定したときの年数は45年間になります。家庭を持つなら最終的な支出が324万円×45年=1億4580万円になります。
用意した5000万円の3倍近くが必要であり、リタイアの年齢が若くなればなるほど退職金と年金の条件も悪くなるので、家庭を持つ40代が5000万円でリタイアするのは現実的に難しいでしょう。
それでは独身であればどうでしょうか?
独身の平均支出は約16万円といわれています。年間の支出に直すと192万円です。192万円を45年間支出すると85歳までに8649万円がかかることになります。
年金と退職金、セミリタイア後の収入で4000万円以上用意できればセミリタイアが可能になる計算になるので、独身であれば40代でのセミリタイアは理論上可能です。
もちろん、45年間も時間があるのでその間に何が起こるか分かりません。理論上可能ではありますが100%安心とはいいがたいでしょう。
30代かつ5000万円でセミリタイアは可能?
30代のセミリタイアは、5000万円の元手だけでは「家族がいる場合は不可能である」ことが40代でのシミュレーションで理解できたかと思います。
独身の場合のみシミュレーションしてみると、独身の平均の年間支出は192万円なので、85歳までの55年間の支出は1億560万円です。
50代で家族のいる方のシミュレーションでは1億1340万円必要であったため、30代でセミリタイアは可能と考える方もいるかもしれません。ですが、退職金と年金が「受け取れる状態で用意するお金」と「まともに受け取れない状態で用意するお金」では難易度がまったく異なります。
そして、30代の方には寿命まで55年という時間があります。平均寿命より長生きをして90歳になれば60年、つまり自分が生きてきた時間の2倍の時間をリタイアして過ごすことになるのです。
また、30代であれば40代、50代よりも独身から結婚する可能性も高くなります。結婚すれば独身を前提に計画したリタイアプランは崩れますし、リタイアプランを通すために結婚を諦めることになるかもしれません。
30代でセミリタイアをするのは55年という期間を重く見れば貯金を切り崩して生活するのは難しいといえるでしょう。
ただし、30代でセミリタイアをした場合は40代と50代と異なり、途中でセミリタイアを諦めた場合に復帰しやすい独自のメリットもあります。
また、セミリタイアは今の仕事をやめて好きなことや仕事をして生活をすることなので、仕事の収入によっては30代でのセミリタイアも実現できないとはいえません。
そのため、30代でのセミリタイアは成功する可能性は40代・50代よりは低くなりますが、絶対にあり得ない選択肢ではないのです。
しかし、ここまでの話はあくまで5000万円の貯蓄を切り崩してセミリタイアをする前提です。
5000万円は貯蓄するだけでなく運用すればセミリタイアも実現しやすくなります。
ここからは資産運用の重要性について解説していきます。
5000万円を運用すればセミリタイア・アーリーリタイアが可能
ここまで5000万円の貯蓄だけでセミリタイアが可能であるかシミュレーションしてきましたが、シミュレーションでは自分が平均寿命以上に生きた場合の保険がないことが気になった方もいるかと思います。
- 「理論上はセミリタイアができても長く生きることが怖くなる」
- 「資産を切り崩していくので少しずつ目減りしていく資産に不安を感じる」
このような問題が、実際に貯蓄を切り崩して生活するとなると発生します。
セミリタイアはあくまで今の生活よりもいい生活を手に入れるための手段なので、セミリタイアをしたことで生活に不安を感じるようであっては本末転倒です。
よって5000万円の資産を貯蓄して切り崩すのではなく、5000万円を運用して利益を得ながら生活する方ができる限り不安のない計画的なリタイアプランを立てやすいです。
また、資産運用すれば貯蓄や資産の運用だけで生計を立てるアーリーリタイアも可能になります。
セミリタイアとアーリーリタイアの違いは今の仕事をやめることは共通していますが、セミリタイアはアルバイトなどの他に収入を得る活動をおこないます。
よって、アーリーリタイアの方がセミリタイアよりも難易度が高いです。しかし、資産を運用すれば難易度が高いアーリーリタイアも可能になるので、次は5000万円で得られる年間の利益について解説します。
5000万円の運用で得られる年間の利益
5000万円の運用で得られる年間の利益は、利回りが3%、5%、10%の場合は以下の通りです。
利回り | 利益 |
---|---|
3% | 150万円 |
5% | 250万円 |
10% | 500万円 |
先ほどのシミュレーションでは、独身の場合の年間生活費は平均192万円、家族がいる場合の生活費の平均が324万円でした。
5%の利回りで5000万円を運用した場合、独身であれば十分に生活費を賄えていることになります。10%の利回りで運用した場合であれば、どちらの場合であってもアーリーリタイアが可能な利回りを得られている計算です。
3%の利回りで運用した場合はどちらの場合でもアーリーリタイアは不可能ですが、独身であればセミリタイアは不可能ではないでしょう。
資産運用は期待できるリターンと同等のリスクを伴いますが、短期間であればともかく長期投資であればあるほど考えられる期待値通りの利回りが見込みやすいです。
生活費を差し引きながら10%で運用した場合
それでは、5000万円を運用しながらリタイアをするためのシミュレーションをしていきましょう。
10%の利回りが見込めるヘッジファンドに投資して、独身の生活費を200万円、既婚者の生活費を350万円と平均よりも大きい額であると仮定したときの利回りは次の通りです。
年数 | 独身 | 既婚 |
---|---|---|
1年目 | 5300万円 | 5150万円 |
2年目 | 5630万円 | 5315万円 |
3年目 | 5993万円 | 5496万円 |
4年目 | 6392万円 | 5695万円 |
5年目 | 6831万円 | 5914万円 |
6年目 | 7314万円 | 6155万円 |
7年目 | 7845万円 | 6420万円 |
8年目 | 8429万円 | 6712万円 |
9年目 | 9071万円 | 7033万円 |
10年目 | 9778万円 | 7386万円 |
f5%、10%の場合は以下の通りです。
独身であればアーリーリタイアをしながら1億円近くが貯められる計算となり、既婚の場合でも少しずつ運用資産が増えることが分かります。
5000万円の貯蓄だけでのリタイアは、考えれば考えるほど心許ない不安要素もあります。しかし、このように5000万円を運用することで資産を減らすことなく、増やしながら生活することができます。
貯金を切り崩す不安がないので、セミリタイア・アーリーリタイアを目指すなら運用も含めて毎月の生活費を賄ったうえで、できる限り資産がプラスになる状態を保ち続けるのが重要です。
最後にセミリタイアを目指す資産の運用方法について解説していきます。
5000万円でセミリタイアを目指す3つの運用方法
5000万円でセミリタイアまたはアーリーリタイアを目指す運用方法は3つあるのでそれぞれ紹介していきます。
- 本気でリタイアを目指すならヘッジファンド
- 他に収入を得ながら慎重に運用するなら投資信託
- 毎月まとまった収入を得られる不動産投資
本気でリタイアを目指すならヘッジファンド
ヘッジファンドは10%以上の利回りを毎年出している商品もあるほど利回りが高い商品です。
先ほどもシミュレーションした通り、ヘッジファンドは本気でセミリタイアまたはアーリーリタイアを考えている方におすすめの資産運用方法です。
ファンドマネージャーに運用を任せられるので、投資初心者で投資の知識がない方でも運用が可能になります。資産を預けるだけで代わりに運用してくれるので投資に時間が取られることもありません。
知識がなくても運用できる優秀な商品であるにも関わらず、株や投資信託のような商品と異なり聞いたことがないことに疑問を持った方もいるかと思います。
ヘッジファンドは富裕層のための投資商品です。通常の証券会社では購入することができず、投資も1000万円以上から始めるのが一般的です。
投資家であっても資産がその域に達していなければ投資をすることができないので話題になりにくいのです。
5000万円を持っていればハードルの高さを乗り越えられるので、5000万円を持っていてリタイアを考えている方にこそおすすめの商品といえます。
また、ヘッジファンドは海外だけでなく日本にも存在します。
海外のヘッジファンドに投資する場合には投資助言会社の仲介が必要ですが、日本のヘッジファンドの中にはインターネットから申し込めるものもあり、直接投資するなら仲介は必要ありません。
手数料もかかりにくいので日本のヘッジファンドへの投資がおすすめです。
アーリーリタイアを本気で目指すなら5000万円はヘッジファンド運用しましょう。
他に収入を得ながら慎重に運用するなら投資信託/h3>
年間利回りはリタイアの資産としては心許ないですが、慎重に運用するなら投資信託がおすすめです。
そのため、セミリタイアを考えるなら他にまとまった収入を得る必要があります。
投資信託は3%~5%の利回りが期待できる商品で、「債券を対象にした投資信託」であればリスクと利回りが少なくなり、「株式を対象にした投資信託」であればリスクと利回りが大きくなります。
また、ヘッジファンドと同様に資産運用のプロに運用を任せられるので知識がなくても運用が可能です。
長期投資を前提にするなら投資信託の最適な選び方は手数料の安さで選ぶことです。
なぜなら投資信託には多くの種類がありますが、長期で運用すれば運用するほど手数料によって利回りに差がつくことが多く、結果的に信託報酬の安い投資信託の利回りが高くなりやすいです。
投資信託の手数料には購入手数料・信託報酬・解約手数料の3つがあります。
最近では購入手数料と解約手数料は無料のものも多いので、2つの手数料が無料かつ信託報酬の安い投資信託がおすすめとなります。
具体的には「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」は、米国株式を投資対象にした投資信託で、信託報酬が0.0968%(2020年9月現在)と非常に安いのが特徴なのでおすすめできるといえます。
投資信託の手数料争いは激化しているので、紹介した投資信託は現在の時点で信託報酬が最低クラスの投資信託ですが、今後さらに手数料が安い投資信託が登場する可能性もあります。
利回りが少ない分、長期投資でのリスクも少ないので、慎重に運用しながらリタイア後の生活費を賄うのであれば投資信託がおすすめです。
毎月まとまった収入を得られる不動産投資
不動産投資の魅力は毎月まとまった収入が得られるので、リタイアと相性が良い点です。5000万円があれば東京の新築マンションは難しいですが、立地を選ばなければ新築マンション、中古マンションでもよければ東京のマンションを購入できる資産であるといえます。
購入したマンションを不動産投資に利用すれば、家賃収入を得ることができます。
利回りは条件にもよりますが、5%程度と仮定すると独身であれば家賃収入で生活するアーリーリタイアも可能で、既婚者であってもセミリタイアが検討できるでしょう。
しかし、ヘッジファンドと投資信託のように資産を預けるだけでできる投資方法ではないので、住人探しや物件管理を考えると難易度が高いと思う方もいるかもしれません。
不動産投資にも運用をプロに任せられるシステムがあり、サブリース契約は不動産会社に住人の募集、物件の管理を任せることができます。
不動産投資に関する知識がない方や、投資に時間をかけたくない方は手数料がかかるので利回りは少なくなりますがサブリース契約をするのがおすすめです。
ヘッジファンド・投資信託の場合は利益を一部売却する必要があり、売却の時期によってはうまく利益を回収できないこともあります。
しかし、不動産投資は毎月決まった収入が得られるので安定してリタイア後の生活ができるのはメリットといえるでしょう。
まとめ< h3>
5000万円の貯蓄で年代別にセミリタイアを検討しましたが、セミリタイアを確実に成功させるためや、不安を残さないためには5000万円を運用する必要があります。
今回の記事では3つの運用方法を紹介しましたが、
- リタイア後にも仕事をして収入を得るのか
- 持っている資産だけで生活するのか
自分のリタイア後の生活を考えて選ぶとよいでしょう。
5000万円の資産を有効に活用し、リタイア後の生活をより充実したものにしていきましょう。