株式投資は、世界中の様々な国で行われています。日本にいる限りは、東京証券取引所に上場しているような日本株に一番馴染みがあることでしょう。
あるいは、よく新聞やテレビのニュースなどで見聞きする、主にニューヨーク証券取引所に上場しているアメリカ株なども比較的身近に感じるかもしれません。
しかし、それ以外の国々にも、もっと言えば先進国のみならず新興国にも存在します。
現在の日本ではマイナス金利政策が採用され、もはや貯金では資産を増やすことが難しいです。
また、実質的な手取り給与は年々減る一方、社会保障費や税金といった支出はますます増加している現実もあります。
このような状況においては、すぐには使うあてがない資産を株式投資で増やすことは、資産運用の有効な選択肢のひとつです。
株式と言っても、先ほどあげたような日本株もあれば、あまり一般的には知られていない新興国市場の株式もあります。
なじみのない株式にはどのようなものがあるのか、紹介します。
1、株式投資という選択肢
株式投資という言葉はよく耳にしますが、それを行ったことがない人にとっては具体的にどのようなことを指すのか分からないかもしれません。
株式投資とは、企業が発行する株式を、将来得られる利益を見越して購入することです。
株式は企業の業績と連動し、その価格は上がることもあれば下がることもあります。
株式を保有していれば配当などの収入が見込める上に、株価が購入時より上がった時に株式市場で売ればその差額が利益となります。
リターンが期待できる一方、リスクも存在します。
株価が購入時の価格を下回る元本割れが主要なリスクと言えます。株価が下がる要因は、企業の業績の他に政治・経済の状況や為替の変動など様々に存在します。
2、日本株の特徴や、メリット・デメリット
株式は、それを発行している企業の拠点がどこにあるかで国別に分けることができます。それぞれの国の株式の特徴について紹介します。
まずは日本株です。
メリット:日本株の情報を入手しやすい/手数料が安い
基本的に日系企業の株式が日本株であるので、日本に在住してる限りは一番馴染みのある株式と言えるでしょう。
日本に住んでいて日本株を購入することには、様々なメリットがあります。
そのメリットとは端的に言うと、情報を入手しやすいこと、為替の影響を受けないこと、手数料が安いことなどです。
これらのメリットは、日本に住んでいれば自然と、日本の経済や政治の情報が入手できたり、日系銀行の口座を使用できたりすることに起因します。すなわち、単純に日本にいるならば日本株がいいということに過ぎないのです。
デメリット:日本株成長の期待は低い
日本株を選ぶことのデメリットも存在します。それは、日本株が今後大きく成長することはないだろうということです。
現在日系企業は一般的に言って、国内では人口減少という問題に直面し、国外ではグローバル競争の厳しい風を受けています。株価は、その企業の業績に連動するので業績が上がらなければ株価は上がらず、逆に業績が下がれば株価も下がります。
一昔前の経済が継続的に成長していた時代なら日本株は安全だと言い切ることができたかもしれませんが、現在は必ずしもそうではありません。
3、アメリカ株の特徴と、メリット・デメリット
次にアメリカ株の特徴を紹介します。
メリット1:グローバルに利益を上げる世界中の成長株が集まる
アメリカ株は世界を代表する株式と言えます。アメリカは現在世界経済の中心地であり、それゆえ業績の良い企業や成長可能性のある企業が集まっています。
そんなアメリカ株には、当然メリットがいくつかあります。まずは、アメリカ株にはグローバルに利益を上げている企業が多いということです。
世界中に展開する企業というのはグローバルに利益を上げているということであるので、一国の経済状況にとらわれないで安定的に業績を上げることができます。すなわち株価の安定的な成長が期待できます。
メリット2:長期的に安定成長する
アメリカ市場全体が未だに長く安定して成長していることもアメリカ株のメリットです。
新興国のように急激に伸びることは今後ないかもしれませんが、上記のような企業が存在することもあって今でもアメリカは日本に比べると経済成長しています。
そのため個々の企業の株式を超えて、全体的にアメリカ株は安定した銘柄だと言えます。
デメリット:アメリカ株の情報を得づらい/為替の影響
日本にいてアメリカ株に投資することのデメリットも存在します。
それは主に、情報を入手しづらいこと、為替の影響を受けること、手数料が高いことです。
これらのデメリットは、日本にいて日本株を買うメリットの、真逆にあると言えます。
すなわち、アメリカ株を買うことのデメリットは地の利がないということです。
もし何らかの方法でそのデメリットをクリアすることができるならば、アメリカ株は非常に魅力的な投資対象となるかもしれません。
4、新興国株式の特徴とメリット2つ
日本にいる限りは上記2つの株式が、主要な投資対象となりますが、あえて新興国株式に投資することも選べます。
(1)新興国ならではの爆発的な成長可能性
新興国株式の特徴は、何と言っても今後大きく成長する可能性があることです。
その国における経済の成長性は、その国の人口と生産性の伸びに影響されます。
(2)人口増と経済成長性は比例する
一般的に、発展途上国は人口が伸びる傾向があり、それに伴って経済も安定して成長します。
経済が成長するということはその国の企業の業績が上がるということであり、株価も上がるということです。
その経済および株の成長率というのは、アメリカも含めた先進国よりもずっと高いものになります。
ゆえに、新興国株式を購入することのメリットは、その株価の上昇値が大きいことが期待できるということにあります。
5、投資すべき・避けるべき新興国株式の5つの特徴
新興国の経済及び株式についてざっくりと説明すると、以上のようになります。
しかし一口に新興国といってもその特徴はいくつかに分かれます。
ここでは、その国の経済の将来的な成長可能性と、その株式を買うのは割安か割高かと言う視点で、新興国の株式を分類します。
(1)新興国だが人口増が見込めない
まずは、将来の成長があまり見込めず、株価も割高な国です。新興国であっても人口の伸びに陰りが見えるような国はこのタイプに分類されます。
このような国の代表格は中国です。人口の増加の鈍化やその他の様々な問題を抱えており、わざわざ投資するメリットはあまりないと言えます。
(2)将来性はあるが株価が割高
次に、将来の成長は見込めるものの、株価が割高な国です。
このような特徴を持つ国はASEAN諸国に多いです。
人口の増加は大いに見込めるものの、すでに国外の投資家向けに市場が開放されており、今株式を取得したとしても将来その株価が大きく上がることはあまり期待できません。
(3)中国に依存している新興国
また、ASEAN諸国は中国経済に依存している場合も多く、中国の動向に景気が左右されることにも注意しなければなりません。
(4)株価は割安だが経済成長が見込めない
株価は割安であるものの経済の成長が見込めない国です。いくら株価を割安に買うことができても、経済が成長しなければ大きな収益は見込めません。ロシアなどがこれに当てはまります。
(5)投資すべきは「割安」「経済成長見込める」新興国
最後に、経済の成長が見込める上に株価も割安である国です。
このような特徴を持つ国には、人口が増えることが予測されていて、かつ現在のところ外国人投資家の参入が困難な国が当てはまります。ミャンマーといった国がこのようなタイプに当てはまります。
このように分類すると、4番目のタイプの国が一番、新興国株式投資には向いている国とは言えます。
しかし現実には、株式市場が未開拓でありすぎるために、日本から参入するのは難しいという問題も抱えています。
6、新興国株式投資のデメリット2つ
言うまでもないことかもしれませんが、新興国株式に投資することにはデメリットもあります。
(1)政治・流動性リスク
その最たるものは、政治的リスクや流動的リスクといった、先進国の市場にはない様々なリスクが存在することです。
新興国は政治的に必ずしも安定していないため、極端な場合、戦争や政権の崩壊といったことが起こる可能性があります。
もしそうなった場合、株価はその国の政治・経済状況に大きく影響されるので、株価が暴落することも起こり得ます。
(2)株式市場が未成熟のため価格変動が大きい
また、新興国の株式市場は未成熟がゆえに小さく、価格変動が大きくなりがちだという特徴があります。
価格変動が大きいということは、株価が予想を大きく超えて値上がりまたは値下がりし、大きな損失を受ける可能性があります。
状況によっては売り買いの価格差が大きすぎて取引が成立しないことも考えられます。このようなリスクを流動性リスクと言います。
株式投資にはリスクがつきものですが、新興国株式への投資にはこのような新興国特有のリスクもつきまといます。
7、新興国株式を行う際のポイント
ここまで述べてきたように、新興国株式に投資することには先進国の株式に投資することにはないメリットがある一方で、デメリットも存在します。
そもそも日本国外の株式であるために、日本株よりは投資のハードルが高いということは事実でしょう。
新興国株式に投資する際は、リスクの分散が特に必須です。
そのため、もとから色々な国の株式に投資先を分散している投資信託やETFなどを利用することが、オススメの新興国株式投資の手段だと言えそうです。